激変に次ぐ激変! 日産「エルグランド」は2回のマイチェンでどう変わった?
くるまのニュース / 2020年10月19日 17時10分
日産が2010年に発売した3代目エルグランドは、2020年10月までに2回のマイナーチェンジを受けています。いったい、これまでどのような進化をつづけてきたのでしょうか。改良の歴史を振り返ります。
■いまでは定番? 踏み間違い衝突防止アシストを世界初搭載したエルグランド
日産は2020年10月12日にマイナーチェンジした新型「エルグランド」を発売しました。現行型となる3代目エルグランドは2010年に発売され、2014年に1回目のマイナーチェンジを実施。今回のマイナーチェンジは2回目となります。
同社のフラッグシップミニバンに相応しい存在で居続けるべく、改良を続けてきたエルグランドは、これまでにどのような進化を遂げたのでしょうか。
2010年8月に発売された3代目エルグランドは、初代モデルと2代目モデルとはまったく異なる特徴を持っています。それは、低重心な新FFプラットフォームを採用したことです。
初代モデルと2代目モデルがFRプラットフォームを採用していたのに対し、FFを基本としたボディに改められたことで、高いボディ剛性と低床低重心なパッケージングを実現。
より車高の低い乗用車に近い乗り心地を実現したほか、多人数乗車でもゆったりと座ることができる快適性を手に入れました。
外観は、新FFプラットフォームのメリットを生かしたロー&ワイドなプロポーションが特徴で、安定感を感じさせるデザインを採用。
デザインの元となったコンセプトカーは、東京モーターショー2005に出展された「アメニオ」だといわれています。ちなみに、この年の東京モーターショーには、当時発売2年前だったR35型「GT-R」のコンセプトモデル「GT-R PROTO」も出展されていました。
3代目エルグランドに搭載されるエンジンは、登場から2回目のマイナーチェンジまで変わらず、最高出力170馬力・最大トルク245Nmの2.5リッター直列4気筒エンジンと、最高出力280馬力・最大トルク344Nmの3.5リッターV型6気筒エンジンです。2.5リッターはレギュラー仕様、3.5リッターはハイオク仕様となります。
組み合わされるトランスミッションは、エクストロニックCVT-M6(6速マニュアルモード付きCVT)となります。
世界初搭載される装備として、人間の生理学特性に着目し、シーンにより温める場所を最適化した「クイックコンフォートシートヒーター」や、ワンタッチスイッチを1回押すと、解錠するだけでなく、オートスライドドアが作動する「ワンタッチオートスライドドア」などが搭載されました。
また、2011年の一部仕様向上では、車両周囲に歩行者や買い物カートなどの移動物を検知すると、モニター画面表示と音でドライバーにお知らせする世界初の「移動物検知機能」を採用。
そして2012年の一部仕様向上ではペダルの踏み間違い事故を防止する世界初の「踏み間違い衝突防止アシスト(駐車枠検知機能付)」を搭載するなど、改良と共に先進的なさまざまな装備が追加されていきました。
■エルグランドは2回のマイナーチェンジでどう変化した?
3代目エルグランドは、2014年1月に1回目のマイナーチェンジを受けました。
このとき、ハイウェイスター系のグレードはヘッドライト、フロントグリル、フロントバンパーのデザインが一新され、顔つきが大きく変わります。
2014年に1回目のマイナーチェンジを受けた3代目「エルグランド」
なかでも注目されるのが大型化したフロントグリルで、全周をクロームメッキで囲むことで押し出し感と高級感を高めたほか、シグネチャーLEDポジションランプを配して目ヂカラを強調。
クラス初となるLEDタイプを採用した新デザインのヘッドライトと組み合わせることにより、強い存在感と先進性を表現しました。
また、室内高が拡大されたほか、3列目シートに前方向240mmのスライド機能を追加することで、フル乗車時でも荷室容積の拡大ができるようになり、使い勝手が向上しています。
その後も改良により商品力の強化がおこなわれていますが、なかでも2018年の一部仕様向上では、「LDW(車線逸脱警報)」や「インテリジェントLI(車線逸脱防止支援システム)」、「進入禁止標識検知」、「インテリジェント エマージェンシーブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)」、「ハイビームアシスト」を標準装備化。
「踏み間違い衝突防止アシスト」を前方の歩行者の検知も可能なタイプへと進化させました。
「インテリジェントクルーズコントロール」についてはハイウェイスター系のグレードに全車標準装備されます。
そして2020年10月に3代目のエルグランドは2回目のマイナーチェンジを実施。
フロントグリルのデザインを再度改め、大型グリルという部分は継承したものの、従来の横基調のメッキ―バーから、緻密なドットが敷き詰められたデザインのグリルに進化しています。大型グリルの持つ迫力に加え、洗練さを増したデザインです。
なお、今回の2回目のマイナーチェンジで標準系グレードは廃止され、全グレードがハイウェイスター系のフロントフェイスになりました。
内装では、ディスプレイ周りに大きく手が加えられています。近年トレンドとなっているディスプレイの大型化を受け、新型エルグランドも10インチナビの装着に対応。また、インパネのスイッチのデザインもシンプルになりました。
安全装備では今回新たに、前方を走行する2台前の車両を検知する「インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)」、走行中に隣接レーンの後側方を走行する接近車両との接触を回避するようステアリング操作を支援する「インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)」、BSW(後側方車両検知警報)、RCTA(後退時車両検知警報)が標準装備されています。
また標識検知機能は最高車速標識や一時停止標識も検知するタイプとなりました。
※ ※ ※
ちなみに、3代目エルグランドでは2010年11月から販売が開始されたモデルとして、エグゼクティブに向けた特別仕様車「VIP」が存在。
走る執務室をコンセプトに、読書灯や乗降用ステップなどの特別装備が装着された豪華仕様で、2020年10月のマイナーチェンジモデルにも引き続き設定されます。
マイナーチェンジを受けた新型「エルグランド VIP」の車両価格は、3列仕様車が596万5300円から626万2300円、2列仕様車が759万3300円から789万300円です。
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