衝撃の登場から10年 日産「ジューク」人気爆発も2代目は日本未発売なぜ?
くるまのニュース / 2020年10月24日 16時10分
2010年に登場した日産のコンパクトSUVとなる初代「ジューク」は日本で爆発的な人気となりました。2019年9月には2代目モデルが欧州市場に登場していますが、2代目ジュークは日本で発売されていません。いったい、なぜなのでしょうか。
■コンパクトSUV市場を開拓したジューク。なぜ2代目は日本に来ない?
2020年10月14日、日産の欧州法人はコンパクトSUVの「ジューク」が2010年の登場から10年経ったことと、2019年10月に2代目ジュークが登場するまでに150万台以上を売上たことを祝うリリースを出しました。
日産にとって、コンパクトクロスオーバーSUVのジュークを欧州市場に導入したことは、当時のユーザーに従来の選択肢に代わる新たなモデルを提案するきっかけになったといいます。
グローバル市場をターゲットに開発されたジュークは、これまでにないコンパクトカーの新しいスタイルを提案する新型モデルとして登場。
ジュークは、コンパクトスポーツカーの俊敏さとSUVの力強さや安心感、それぞれが持つ魅力をそのままひとつに融合することで、斬新で独創的で新しいクルマでした。
外観デザインでは、スポーティなイメージの前後のランプや、大きく張り出したフェンダーなど大胆で存在感の強いデザインを採用。
パワートレインには、デュアルインジェクターを量産エンジンとして世界で初めて採用するなど大幅に改良した1.5リッターガソリンエンジンを搭載しています。
また、変速機付きの新世代エクストロニックCVT、高剛性サスペンションの採用などにより、アクセルやハンドルの操作に対して意のままにクルマが反応する優れた運動性能と高い走行安定性、快適な乗り心地を実現していました。
ジュークのデビュー当時について、当時携わった人達は、口々に「それまでの常識を変えるコンセプトを目指した」「ジュークで過激なことに挑戦したかった」とコメント。
これらのように、先進的なデザインを採用したジュークは、2010年に欧州や日本で発売され後、瞬く間にそれまでのSUVの常識を覆し、日本ではコンパクトSUVという新たな市場を開拓したのです。
それまで、日本市場ではコンパクトなSUVは販売されていたものの、現在のようなコンパクトSUVというジャンルは存在していませんでした。
しかし、ジューク発売の翌2011年には、登録車販売台数ランキングにおいて3万4224台を記録し全体18位にランクインするなど、従来のSUVの概念(大きなサイズ・室内空間)を破ったデザイン性が高い評価を受けたのです
この人気を見ていた国産メーカー各社は、ホンダ「ヴェゼル(2013年)」、マツダ「CX-3(2015年)」、トヨタ「C-HR(2016年)」、レクサス「UX(2017年)」といったコンパクトSUVモデルを次々と新車市場へ投入。
輸入ブランドでもBMW「X2」やボルボ「XC40」、フォルクスワーゲン「Tクロス」「Tロック」など一大市場を築き上げたのです。
しかし、コンパクトSUV市場を開拓したジュークでしたが、近年ではライバル勢に押され、販売台数は低迷していました。
2019年9月には、欧州市場にて2代目ジュークが登場したことで、日本でもフルモデルチェンジが期待されましたが、しばらくは初代ジュークの販売が継続されます。
そして、2020年6月に日産の新型コンパクトSUVとなる「キックス」と入れ替わる形で日本市場から姿を消したのです。
■9年ぶりの全面刷新、2代目ジュークの魅力とは
2代目ジュークは、初代モデルのデザイン的な特徴でもある丸形のヘッドライトを採用しています。
また、機能面では日産の先進技術「プロパイロット」が新たに採用されました。
プロパイロットとは、先行車を検知して追従する機能やハンドル操作を支援するもので、クルマだけでなく歩行者や自転車も認識する衝突被害軽減ブレーキ「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」などで構成される運転支援機能です。
2代目ジュークのデザインは、ヨーロッパ日産のデザイナーたちによって手を加えられました。ボディサイズは全長4210mm×全幅1800mm×全高1595mmと、初代ジュークと比べてひと回り大型化。
これにより、後席のニースペースは5.8cm、ヘッドルームは1.1cm拡大され、荷室容量は約20%拡大した422リッターとなるなど実用性が大きく向上しています。
パワートレインは、最高出力117馬力を発揮する3気筒1リッターターボが搭載され、6速MTと7速DCTのいずれかが組み合わされます。
初代ジュークと2代目ジューク。
初代ジュークの特徴を上手く継承した2代目ジュークでしたが、なぜ日本には導入されないのでしょうか。日産は次のように説明します。
「ジュークを日本に導入するかどうかについて検討はしておりましたが、ジュークはデザインは優れているものの、後席や荷室の狭さが日本のユーザーには適していないのではないかと考えました。
一方でキックスは、後席も荷室も広く確保しており、デザイン性だけではなく実用性も兼ね備えています。
そのため、日本には新型キックスを導入し、後席や荷室の広さよりもデザイン性を重視する傾向がある欧州ではジュークを販売しています」
※ ※ ※
日本のコンパクトSUV市場では、直近で前述のキックスを始めトヨタ「ライズ」や「ヤリスクロス」、ダイハツ「ロッキー」、マツダ「CX-30」「MX-30」など国産各社が続々と新型モデルを投入しています。
これらに共通するのは、コンパクトながら室内空間の快適性や使い勝手の良さです。
そのため、日産の説明と同じくジュークよりも広く使い勝手の良いキックスが日本には適しているため、今後もジュークの日本導入は難しいかもしれません。
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