「スープラ」をACシュニッツァーがチューニング! BMWチューナーがなぜ?
くるまのニュース / 2020年10月23日 19時10分
BMWの名門チューナーであるACシュニッツァーが「GRスープラ」を手掛けた。どうしてACシュニッツァーが、BMWではなくトヨタのクルマをチューニングしたのだろうか。
■BMW「Z4」とトヨタ「GRスープラ」は、エンジン&プラットフォームを共有
トヨタ「GRスープラ」は、トヨタとBMWの共同開発によってつくられたクルマだ。「スープラRZ」に搭載されている直列6気筒ターボの「B58型」エンジンや、「スープラSZ−R/SZ」の直列4気筒ターボ「B48」エンジンは、ともにBMW製であり、プラットホームはBMW「Z4」と共通のものとなっている。
こうした生い立ち持つGRスープラは、ひさしぶりにトヨタから発売されたハイパワースポーツモデルということもあって、数多くの国内チューニングメーカーやチューニングショップが、さまざまなアイテムを開発している。そのレベルは高く、世界の最先端といっていい。
しかし、ベースとなっているのがBMWのテクノロジーである、ということを考えた場合には、これまでBMWでノウハウを積み重ねてきたチューナーブランドにも目を向けるべきだろう。
そこで注目したのが、ACシュニッツァーである。
1967年にモータースポーツチームとして設立されたシュニッツァー・モータースポーツは、BMWの販売代理店も手掛けている関係から、BMWのクルマをベースとしてツーリングカーレースに参戦していた。
1987年には、シュニッツァー・モータースポーツに資金提供をしていたBMWディーラーのコール・オートモービルが、シュニッツァーの名を冠したチューニングパーツやコンプリートカー製造会社を設立する。それがACシュニッツァーである。
ペンタゴンデザインのセンターキャップをトレードマークとするホイールに代表されるACシュニッツァーのパーツは、こういった経緯から生まれたものだ。
現在ACシュニッツァーは、BMW車用のパーツを数多く開発・販売している。ホイールはもちろん車高調整式のサスペンションキットや、エアロパーツ、ペダルやインテリアパネルといった内装関係パーツ、そしてエンジンのパワーアップを実現するサブコンピュータなどがラインアップされている。
そんなACシュニッツァーが、GRスープラ用のチューニングパーツを手掛けるのは、当然といえることかもしれない。
■老舗BMWチューナーが「GRスープラ」をチューニング!
ACシュニッツァーから現在デリバリーされているGRスープラ用のチューニングパーツは、どういったものがあるのだろうか。
BMWの名門チューナーであるACシュニッツァーが手掛けた「GRスープラ」
代表的なチューニングとして、6気筒のB58エンジンの最高出力を387psから400psに、最大トルクを500Nmから600Nmに向上させる「パフォーマンスアップグレード」というサブコンピュータがある。
メインコンピュータであるDMEの内部データを書き換えるのではなく、DMEと各種センサーの間に挟み込ませるカタチで取り付けることで、DMEの制御を生かしたままパワーアップを実現するというのがその特徴となっている。
次にサスペンションが定番のメニューだ。ACシュニッツァーのサスペンションには、純正のショックアブソーバーをそのまま使うローダウンスプリングのほか、車高調整式のサスペンションキットもラインアップしている。
この車高調サスペンションの「ACシュニッツァーRSアジャスタブルサスペンション」には、アダプティブ・バリアブル・サスペンションシステム(AVS)のキャンセラーが装備されていて、減衰力はバンプとリバウンドを別調整できるようになっている。
マフラーはステンレスを採用したものとなる。テールパイプはカーボン製となっていて、「パフォーマンスアップグレード」と同時装着した際、その性能を効率良く発揮させる。これもB58エンジン搭載車のみの対応だ。
そのほか、耐候性の高い樹脂素材を採用したフロントスプリッターや、カーボン製のリアウイング、アルミ製のアクセル&ブレーキペダル、同じくアルミ製のフットレスト、ドリンクホルダーにピッタリ収まるスマートキー用ホルダー、ドライブモード切り替えダイヤルカバー、トヨタのエンブレムとACシュニッツァーのロゴが配されたエンジンカバーなどもラインアップしている。
さらに、ホイールも含めてこれらチューニングパーツをフルに装備した、ACシュニッツァー・コンプリートコンバージョンモデルも販売している。
ACシュニッツァーといえば、日本国内でもカスタムシーンで一斉を風靡したBMWのチューナーである。ACシュニッツァーのホイールやエアロパーツなどを見るとすぐにBMWが連想されるが、最近ではMINIだけでなくジャガーやランドローバーも手掛けるようになった。
かつて国産車をACシュニッツァー風やABT風、AMG風に仕立てるカスタムが流行したが、正真正銘の「フルシュニ(フルシュニッツァーの略)」仕様のGRスープラを手に入れることができる時代になった。
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