高回転までブン回す快感! 平成のノンターボ・スポーツ車5選
くるまのニュース / 2020年10月22日 6時10分
近年、高性能なスポーティモデルといえば、ターボエンジンが主流です。ターボチャージャーを装着することで、排気量アップと同等の効果が得られるとあって、1980年代から爆発的に普及しました。一方、かつてはシンプルな自然吸気エンジンを搭載した高性能モデルも数多く存在。そこで、平成の時代に隆盛を誇ったノンターボのスポーティモデルを、5車種ピックアップして紹介します。
■NAエンジンを搭載したスポーティモデルを振り返る
2000年代になって、欧州車を中心にダウンサイジングターボ・エンジンが普及しました。小排気量のエンジンにターボチャージャーを装着することで、排気量アップと同等の効果が得られ、高速道路などの定速走行では燃費も良いというメリットがあります。
そうしたターボ化の波は、すでに1980年代には始まっており、とくにスポーティモデルを中心にターボ車が普及し、現在も高性能車にはターボエンジンは欠かせない存在です。
一方で、かつては自然吸気エンジンを搭載した高性能モデルも数多く存在し、ターボ車とは異なるドライビングプレジャーが味わえました。
そこで、平成の時代に隆盛を誇ったノンターボのスポーティモデルを、過激なモデルから大人しめなモデルまで、5車種ピックアップして紹介します。
●スズキ「スイフトスポーツ」
安価な価格ながら性能や装備は折り紙付きの初代「スイフトスポーツ」
スズキのコンパクトカー「スイフト」は、「カルタス」の後継車として2000年に登場し、2003年のマイナーチェンジで、専用のエンジン、サスペンション、ボディパーツを搭載した「スイフトスポーツ」が追加されました。
3ドアハッチバックのみとされたボディに、最高出力115馬力を発揮する1.5リッター直列4気筒エンジンを搭載し、トランスミッションは5速MTのみです。
足まわりには強化スプリングと減衰力が高められたショックアブソーバーが装着され、ブレーキは4輪ディスクとし、シャシ剛性の強化も図られています。
外装では専用のエアロパーツとワイドフェンダーによって、ベーシックなコンパクトカーを戦闘的に演出し、内装もレカロ製シートや240km/hまで刻まれたスピードメーターを装備することで、スポーティさを強調。
決してパワフルなエンジンではありませんが、900kg台の軽量な車体と優れたシャシ性能により、優れたドライビングプレジャーを実現していました。
価格が119万円(消費税含まず)と安価だったことから人気が高まり、その後も同様のコンセプトで代を重ね、現行モデルは、シリーズ初のターボエンジンを搭載した4代目です
●日産「マーチ 12SR」
スーパーターボ以来の高性能モデルだった「マーチ 12SR」
1982年にデビューしたコンパクトカー日産初代「マーチ」は、グローバルで販売することを目的に開発された新時代のベーシックカーで、日本のみならず欧州でも人気となりました。
この初代マーチには「マーチターボ」や「マーチ スーパーターボ」が設定されるなど、高性能なリッターカーとして不動の地位を獲得。
その後、2代目には高性能モデルは設定されませんでしたが、2002年に登場した3代目では、2005年のマイナーチェンジで「マーチ 12SR」が登場。
開発はオーテックジャパンの手によるもので、スタンダードグレードの1.2リッターエンジンをベースに、シリンダーヘッド周りのチューニングや、圧縮比アップに伴うハイオク仕様とすることで、最高出力は110馬力を発揮。トランスミッションは5速MTのみの設定です。
車重は960kgと軽量で、足まわりの強化やシャシの剛性アップが図られており、優れたコーナリング性能を発揮。
12SRのコンセプトは現行モデルの4代目マーチにも継承され、1.5リッターエンジンを搭載する「マーチ NISMO S」がラインナップされています。
●マツダ「ファミリア S-ワゴン スポルト20」
コンパクトな車体に2リッターエンジンを搭載した「ファミリア S-ワゴン スポルト20」
マツダ初代「ファミリア」は1963年に発売された大衆車で、欧州車をイメージさせるモダンなデザインが特徴でした。
1967年に登場した2代目ではロータリーエンジン搭載車をラインナップするなどスポーティなモデルとなり、1985年発売の6代目と1986年発売の7代目では、高性能なDOHCターボエンジンにフルタイム4WDを組み合わせた高性能グレードが設定され、ラリーなどモータースポーツで活躍します。
ところが、1994年に登場した8代目では一転してベーシックカーに原点回帰し、1998年に発売された9代目ではハッチバックが消滅して、セダンとステーションワゴンのラインナップとなります。
8代目から高性能モデルは設定されていませんでしたが、1999年のマイナーチェンジで、170馬力を誇る2リッター直列4気筒エンジンを搭載したステーションワゴンの「ファミリア S-ワゴン スポルト20」が登場しました。
シリーズ最大排気量のエンジンによって余裕ある走りを実現し、シャシ剛性のアップや足まわりの強化で、スポーティな走りが復活。
2001年にはセダンにもスポルト20が追加され、さらに2002年にはS-ワゴン スポルト20をさらにチューニングした「スポルト20スペシャル」を発売。より精悍な外装と、FF車には専用のサスペンションが採用されました。
しかし、ファミリアは販売の低迷が続いて2004年に生産を終了。後継モデルとして2003年に「アクセラ」が登場し、現在も「マツダ3」として販売されています。
■ハイパワーな1.6リッターエンジンを搭載した2台のコンパクトカーとは
●三菱「ミラージュ サイボーグR」
打倒「シビック」を旗頭に開発された「ミラージュ サイボーグR」
2020年4月にビッグマイナーチェンジがおこなわれて話題となった現行モデルの三菱「ミラージュ」は、初代から数えて6代目にあたります。おもに新興国向けのエントリーカーとして開発されたモデルのため、スポーティなグレードは設定されていません。
しかし、歴代のミラージュのなかには、高性能エンジンを搭載したモデルが数多く存在。
なかでも1992年に追加ラインナップされた「ミラージュ サイボーグR」には高回転、高出力の1.6リッター直列4気筒エンジンが搭載されました。
最高出力は175馬力を発揮し、バルブ駆動には三菱独自の可変バルブタイミングリフト機構「MIVEC」が採用されるなど、低回転域でも扱いやすいエンジンとなっています。
足まわりはフロントがストラット、リアにマルチリンクを採用し、優れた路面追従性を発揮。ブレーキは4輪ディスクブレーキがおごられるなど、高性能グレードにふさわしいシャシ性能を誇っています。
また、モータースポーツの世界では「シビックSiR」の対抗馬として善戦し、とくにアマチュアや学生が数多く参戦していたジムカーナでは、好成績を残しました。
●ホンダ「シビックタイプR」
1.6リッターエンジン車で最強といわれたマシン「シビックタイプR」
1972年に誕生したホンダ初代「シビック」は、FF駆動のコンパクトな車体に広い室内を実現し、低燃費なエンジンと相まって大ヒットを記録。
1983年に発売された3代目では、1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載した高性能グレードの「Si」が登場し、レースで活躍することでシビック=高性能スポーツ車というイメージが定着します。
さらに4代目では究極の自然吸気エンジンともいうべき、可変バルブタイミングリフト機能の「VTEC」エンジンを搭載する「SiR」が登場し、最高出力160馬力(MT車)を発揮しました。
そして、1997には6代目シビックをベースにした第3のタイプRとなる「シビックタイプR」を発売。
シビックタイプRに搭載されたエンジンは、圧縮比アップや摩擦抵抗の低減などのチューニングが施された結果、最高出力185馬力を8200rpmという量産車として類まれな高回転で発揮しました。
さらに、サーキット走行を想定してハードにチューニングされたサスペンションや、制動力、耐フェード性向上のために強化されたブレーキ、ボディ剛性のアップなどが図られています。
外装ではタイプR専用のパーツを採用しながらも派手な装飾は控えめで、前後アンダースポイラーとリアのルーフスポイラー、専用デザインのホイールなどを装着。
内装ではレカロ製バケットシート、チタン製シフトノブ、ヒール&トウの操作性向上のためのペダルレイアウトを採用するなど、個々のパーツも走りに相応しいものを装備しつつ、快適装備が省略されたことで軽量化もおこなわれています。
この初代シビックタイプRは最初で最後の1.6リッターモデルとして、2001年に販売が終了した後も高い人気を誇っており、2020年7月にオークションで764万円という法外な値段で落札され、大いに話題となりました。
※ ※ ※
高性能な自然吸気エンジンは世界的にも減少し、とくに2リッター以下の排気量では、絶滅が危惧されているほどです。
反対にターボエンジンの進化は凄まじく、たとえばメルセデス-AMG「A45S 4MATIC+」に搭載されている2リッター直列4気筒ターボエンジンは、最高出力421馬力と途方も無いパワーを発揮。
それでいて普段使いにもまったく問題はなく、テクノロジーの進化には驚くばかりです。
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