乗って楽しい高性能車がお手頃価格!? 安くて速いMT車5選
くるまのニュース / 2020年10月24日 6時10分
現在、国内の自動車市場では、MT車の比率は2%ほどといわれています。実際のラインナップを見ても、ひと昔前にくらべてMT車は激減してしまいました。一方、少し前の中古車に目を向けると、数多くのMT車が販売されており、しかも高性能なモデルのなかには比較的安価なクルマも存在。そこで、お手頃価格の高性能MT車を5車種ピックアップして紹介します。
■ドライビングプレジャーあふれる高性能MT車が安い!?
昭和の時代に普及が始まったオートマチックトランスミッション(以下AT)ですが、技術的な進歩やイージードライブを求めるニーズの高まりから、急激にシェアを拡大しました。現在、国内の自動車市場では、MT車の比率は2%ほどといわれています。
かつてはスポーツカーやスポーティなグレードというと、MT車が一般的でしたが、DCTやCVTの進化によって、いまではあらゆる性能がMTを上まわり、高性能車でも2ペダルが当たり前になりました。
そのため、近年はMT車が激減しており、選択肢は限られている状況です。
しかし、中古車に目を向けると、まだまだ数多くのMT車が販売されており、しかも高性能なモデルでも比較的安価なクルマも存在。そこで、お手頃価格の高性能MT車を5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「セリカ」
スタイリッシュかつ高い運動性能が特徴の7代目「セリカ」
トヨタ初代「セリカ」は1970年に発売されたスペシャリティカーです。それまで特別な存在だったDOHCエンジンを搭載したことで、DOHCエンジン普及の足がかりになりました。
その後代を重ね、セリカには高性能なターボエンジンやフルタイム4WDが搭載され、ラリーでの活躍もあり、2リッタークラスのスポーツモデルというイメージが定着。
しかし、1999年に発売された7代目ではターボエンジンと4WDが廃止され、シンプルなFFスポーツカーと、コンセプトが大きく変わりました。
外観は縦長のヘッドライトと空気を切り裂くようなシャープなフォルムが特徴で、生粋のスポーツカーへと変貌します。
エンジンは全グレードが1.8リッター直列4気筒自然吸気で、トップモデルの「SS-II」には高回転タイプの「2ZZ-GE型」を搭載し、最高出力190馬力を発揮。トランスミッションは6速MT(SS-II)、5速MT、4速ATが設定されました。
足まわりはフロントにストラット、リアにダブルウイッシュボーンを採用した4輪独立懸架となっており、優れたコーナリング性能を実現。
しかし、販売台数の低迷から7代目セリカは2006年に販売を終了し、長い歴史に幕を閉じました。
現在はクーペ人気が下落していることから、中古車相場は安価に推移しており、低走行のSS-IIでも100万円前後、スタンダードなSS-Iならば50万円前後と、魅力的な価格です。
●マツダ「RX-8」
現在までで最後のロータリーエンジン搭載車となった「RX-8」
マツダは1967年に、世界初の量産ロータリーエンジン搭載車の「コスモスポーツ」を発売。その後は、ロータリーエンジン車の拡充をおこない、1978年にはピュアスポーツカーの「サバンナRX-7」が登場。
RX-7シリーズはマツダを代表するスポーツカーとして代を重ねますが、2003年に生産を終了し、一旦ロータリーエンジンの系譜が途絶えてしまいました。
しかし、同年、新しいコンセプトの4ドアFRスポーツカーである「RX-8」が登場。搭載されたエンジンは新開発の654cc×2ローター自然吸気ロータリーの「13B型」で、「RENESIS(レネシス)」と命名。
トランスミッションは6速MT、5速MT,4速AT(後に6速ATが追加)の設定で、トップグレードの「TYPE-S」6MT車では最高出力250馬力を8500rpmで発揮。レブリミットは9000rpmという高回転を誇りました。
また、車体の前後重量配分を理想的な50:50とし、足まわりではフロントがダブルウイッシュボーン、リアをマルチリンクとするなど、4ドア4シーターと実用性も考慮しながら高い運動性能を発揮。
RX-8は改良を続け進化していきましたが、2012年に生産を終了し、再びロータリーエンジンの系譜が途絶えてしまいました。
現在、一部の限定車を除くと100万円台で低走行車が入手可能ですが、ロータリーエンジンはメンテナンスがとくに重要なエンジンのため、記録簿の確認など注意が必要です。ただし物件数も多いので、選択肢は豊富といえるでしょう。
●スバル「レガシィ B4/ツーリングワゴン 2.0GT」
オールマイティに使える高性能車として人気を博した4代目「レガシィ」
1989年に発売されたスバル初代「レガシィ」は、新開発で高性能な「EJ20型」水平対向エンジンを搭載し、フルタイム4WDを組み合わせた高性能モデルがクローズアップされ、大ヒットしました。
ボディタイプはセダンとステーションワゴンの「ツーリングワゴン」を設定し、どちらもターボエンジンを搭載した高性能グレードをラインナップ。
3代目からセダンは「レガシィ B4」となりましたが、初代からのコンセプトを継承しつつ進化を続け、2003年に4代目が登場します。
4代目では海外市場への対応や衝突安全性能向上のために、ボディの全幅を拡げたことにより3ナンバー登録車となる大きな改革がおこなわれました。
それにともない、ボディデザインやインテリアデザインなども質感が高められ、1クラス上級のクルマに思える仕上がりとなります。
エンジンは新たに開発された、ツインスクロール式シングルタービン仕様の2リッター水平対向4気筒を高性能グレードに搭載し、最高出力は280馬力を発揮。トランスミッションは5速MTと4速ATです。
また、電子制御式スロットル仕様としたことで、圧倒的パワーだけでなくスムーズさと低燃費も兼ね備える洗練されたエンジンに進化しています。
そして、2009年にさらにボディサイズを大型化した5代目にバトンタッチし、4代目は生産を終了。
現在、4代目レガシィの中古車はセダン、ステーションワゴンともに豊富で、MT車の数も多く、100万円未満の相場で推移しています。また、ボディサイズも手頃な大きさなのは、好印象です。
■タイプRだけど価格高騰していないモデルとは!?
●スズキ「スイフトスポーツ」
使い勝手が良く走りも秀逸な3代目「スイフトスポーツ」
スズキのコンパクトカー初代「スイフト」は2000年に発売。安価なベーシックカーとして人気となり、2003年には専用の1.5リッターエンジン、サスペンション、ボディパーツなどを搭載したホットモデルの「スイフトスポーツ」が追加されました。
そして、2005年に登場した2代目スイフトスポーツでは、1.6リッター直列4気筒エンジンを搭載し、ラリーをはじめモータースポーツで活躍したことで、スイフトスポーツの名声が一気に高まります。
2011年には3代目が登場し、エンジンは2代目と同じく1.6リッター自然吸気エンジンを踏襲。
最高出力は136馬力を誇り、トランスミッションはシリーズ初の6速MTとパドルシフト付7速マニュアルモードを採用したCVTが設定されました。
外観はやや控えめながら、専用デザインの前後バンパーやルーフスポイラー、左右2本出しのマフラーを装備し、スポーティに演出。
パワフルな自然吸気エンジンならではのレスポンスの良さと、コンパクトで1トン少々の軽量な車体が相まって、1980年代から1990年代に隆盛を誇った、1.6リッター・スポーツコンパクトを彷彿とさせる走りが楽しめます。
2017年に登場した現行モデルの4代目では、1.4リッター直列4気筒ターボに換装されたため、3代目が自然吸気エンジン搭載車としてシリーズ最後です。
3代目スイフトスポーツの中古車は物件数が豊富で、最終モデルの高年式車でも100万円台前半からと、かなりお手頃です。また、コンパクトな5ドアハッチバックということもあり、使い勝手の良いスポーツモデルとしても高く評価されています。
●ホンダ「シビックタイプRユーロ」
タイプRシリーズのなかでも異端な存在の「シビックタイプRユーロ」
ホンダの高性能モデルといえば「タイプR」シリーズです。1992年に「NSXタイプR」から始まり、1995年に「インテグラタイプR」、1997年に「シビックタイプR」と、バリエーションを拡充して、現在は2020年10月にマイナーチェンジしたシビックタイプRのみを展開。
近年、すべてのタイプRシリーズは異常なまでの価格高騰で、もはや中古車で気軽に買える存在ではありません。
しかし、2009年に台数限定で登場した異色のモデルである「シビックタイプRユーロ」は、比較的安価です。
シビックタイプRユーロはイギリス工場で生産する欧州仕様のシビックをベースに開発され、搭載されたエンジンは最高出力201馬力を発揮する2リッター直列4気筒で、6速MTのみが組み合わされます。
また、専用チューンドサスペンション、18インチアルミホイール、専用エアロパーツのほか、本革巻ステアリング、アルミ製シフトノブ、メタル製スポーツペダル、専用バケットシートなど、装備も本格的です。
ところが、シャシは「フィット」と共通だったため、リアサスペンションが安価なトーションビーム式を採用していたことや、同時期に販売された国内生産の4ドアセダン版シビックタイプRは、最高出力225馬力を発揮していたことなど、スペック的に見劣りしていたことは否めず、いまも中古車の価格が高騰していないというわけです。
しかし走り自体の評価は高く、いまならお買い得な高性能車といえ、相場は200万円台中頃が中心ですが100万円台の物件も多い状況です。
※ ※ ※
冒頭にもあるとおり、国内のラインナップではMT車が少なくなってしまいました。そんなか孤軍奮闘しているのがマツダです。
フラッグシップの「CX-8」と新型マイルドハイブリッド車「MX-30」を除く自社生産車に、MTをラインナップしています。
日本よりもはるかにMT人気が高い欧州でもMT車が減少している状況ですから、マツダの取り組みはもっと評価されても良いのではないでしょうか。
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