なぜギラツキ顔はミニバンやワゴンばかり? ド迫力顔のデザインがSUVに少ないワケ
くるまのニュース / 2020年11月5日 9時10分
メッキ加飾の多用や大型グリルを採用することで存在感のあるフロントフェイスのデザインを「ギラツキ顔」と呼ぶことがあります。しかし、そのほとんどがミニバンや軽ワゴンに集中しており、セダンやSUVではあまり見かけません。なぜワゴンばかりがギラツキ顔を採用するのでしょうか。
■なぜギラツキ顔はミニバンやワゴンばかり?
クルマのフェイスデザインがメッキ加飾や迫力ある造形などのことを俗にギラツキ顔と呼ぶことがあります。
オラついているようや顔つきから呼ばれるようですが、そのほとんどがミニバンやコンパクトワゴン、軽スーパーハイトワゴンなど、背が高いワゴンタイプです。なぜ、ギラツキ顔は、全高が高いクルマばかりなのでしょうか。
ギラツキ顔で思い浮かべるモデルとして、トヨタでは、フルサイズミニバン「アルファード/ヴェルファイア」、ミドルサイズミニバン「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」、コンパクトワゴン「ルーミー」。
ホンダでは、フルサイズミニバン「オデッセイ」、ミドルサイズミニバン「ステップワゴンスパーダ」、軽自動車「N-BOXカスタム」。
日産では、フルサイズミニバン「エルグランド」、ミドルサイズミニバン「セレナハイウェイスター」、軽自動車「ルークスハイウェイスター」。
三菱では、ミドルサイズミニバン「デリカD:5」、軽自動車「ekクロス」「ekクロススペース」。
そのほか、軽自動車ではスズキ「スペースカスタム」やダイハツ「タントカスタム」なども挙げられます。
このように、ギラツキ顔がワゴンタイプに多い理由とは、なんなのでしょうか。
国産メーカー系の元デザイン担当者は次のように説明します。
「メッキ加飾などを多用するギラツキ顔風なデザインがワゴンタイプに多い理由として重要なのは『デザイン上の制限のなかでどれだけ個性を出せるか』です。
これは、ワゴンタイプが居住性を第一に考えて開発されているからで、少しでも室内を広くするために背を高く箱型にすることとフロントリアの部分を削ってたことでその居住性を実現します。
そのため、セダンやSUVと違い曲線をデザインに取り入れることが難しく、面の部分でいかに個性を出せるかが勝負となります。
そうすると、ライバルと差をつけるために大口グリルやメッキ加飾といったインパクトのあるフェイスデザインが誕生するのです」
※ ※ ※
個性を発揮することや存在感を示す手法として、フロントフェイスのデザインは重要です。
ギラツキ顔とは、若干異なるものの、トヨタ車ではワゴンタイプ以外のセダンでも迫力のあるデザインを採用します。
例えば、2012年末に当時した14代目クラウンでは、車名の由来となる王冠をモチーフとした迫力ある大型グリルを用いたフロントフェイス採用し、大きな話題となりました。
当時のトヨタは、「一目で新型クラウンと分かる個性と躍動感に満ちたスタイルを表した」と説明していました。
また、北米市場向けのフラッグシップセダンとなる「アバロン」ではフロントフェイスいっぱいに大型グリルを配置したデザインを採用。
トヨタの高級ブランドのレクサスでは、ラインナップモデルのほとんどがブランドのアイデンティティとなる「スピンドルグリル」が存在感を示すものになっているなど、迫力のあるフェイスデザインにもいくつかの種類があるようです。
■純正モデルが個性を主張! カスタムメーカーはどう見てる?
このように、単純にメッキ加飾を多用するギラツキ顔以外に、そのブランドのアイデンティティとして迫力のあるフェイスデザインを採用している昨今のモデルですが、カスタマイズパーツ業界ではその傾向をどう見ているのでしょうか。
元々、クルマをカスタマイズするということは、ふたつの目的に分かれます。
ひとつは、「よりスポーティに、より早く」というように空力などを考慮したエアロパーツを装着するもので、基本的には機能性を重視しています。
もうひとつは、「人より目立ちたい、自分の個性を出したい」というもので、これはドレスアップパーツという機能性よりは見た目重視のものを装着して楽しみます。
ひと昔前では、セダンやミニバン、軽自動車のユーザーがドレスアップをおこなう傾向にあり、大まかに「VIPカー」という括りでした。
ド派手なエアロパーツのほかに、メッキ加飾の多用やネオン管など光って目立つものを装着するのが基本です。
今なお人気の高いVIPカー文化 年々派手さが増している?
しかし、現在のモデルは初めからメッキ加飾を多用したギラツキ顔や存在感のあるフェイスデザインとなっています。
昔と比べて、ドレスアップの傾向に変化はあるのでしょうか。チューニングからドレスアップパーツまで幅広く展開するショップのスタッフは次のよう話します。
「ミニバンや軽ワゴンのメッキ加飾が多くなり始めた頃は、あえて後付けで社外品のパーツにしなくても十分という人は出てきていました。
しかし、いわゆるギラツキ顔が定着した最近では、みんな同じデザインなので、さらに個性を求める人はドレスアップパーツを求めます。
また、昔はクルマを弄ることに抵抗があった人が多かったですが、最近ではそもそも派手なデザインなのでドレスアップの敷居が下がった印象を受けます。
ドレスアップパーツのデザイン的には、LEDライトが普及したことで自由なライトデザインが可能になりました。
そのため、昔より各ドレスアップブランドでデザインの差別化が出来ているように思います」
※ ※ ※
純正モデルの存在感あるデザインと後付けのドレスアップパーツは、個性を発揮するという意味では同じ傾向にあるのかもしれません。
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