PHEVのスポーツモデル!? ボルボ「V60/XC60 T8ポールスターエンジニアードでサーキット全開!
くるまのニュース / 2020年11月9日 17時10分
ボルボのステーションワゴン「V60」とSUV「XC60」に、スポーツモデル「T8ポールスターエンジニアード」が設定されました。両車をサーキットで全開走行してみました。
■ボルボのスポーツモデル「ポールスターエンジニアード」とは?
ボルボといえば安全性のイメージが圧倒的に強いけれど、「V40」を出したあたりから「走る楽しさ」も重視し始めたように思います。
かくいう私(国沢光宏)は長い間ボルボに興味が無かったのですが、V40のハンドル握って「これは楽しい!」と思ったのです。
ボルボは、楽しさと安全、そして暖かみがあってセンスのよい北欧家具のようなインテリアを追求し始めたのでした。
さらに新世代プラットフォームを投入し、安全と走る楽しさとセンスのよいデザインを伸ばすという、ボルボの“変化”を感じたのは私だけでなく、世界中で高い評価を受け始め販売も上向きになりました。
とはいえ「絶対的な走りの楽しさ」はヨーロッパ車の標準程度。突出しているといえるほどではなかったのです。
ヨーロッパの人は根っ子がクルマ好きで、きっとボルボのなかで「スポーツモデルを作りたい!」というマグマが湧き出したのだと思う。
ボルボは2019年、突如セダンの「S60」に「T8ポールスターエンジニアード」という、メルセデス・ベンツなら「AMG」、BMWだと「M」のようなモデルを投入してきました。
搭載されるパワーユニットは、2リッターのスーパーチャージャー&ターボ過給の333馬力+133馬力の前後モーターです。
エンジン+モーターの場合、最高出力は合計でなく両方のパワーユニットが最大のパワーを出す状況。これを「システム出力」と呼ぶのだけれど、420馬力となります。
価格を含めたスペックはBMW「M3」やメルセデス・ベンツ「AMG C43」とイーブン。サスペンションもボルボと同じスウェーデンのオーリンズを搭載。ブレンボのブレーキも採用しています。
ボルボとしては初めてのチャレンジだったが、日本仕様として割り当てられた30台という生産ロットは瞬時に埋まったそうです。ボルボのスポーツモデルが欲しいというユーザーも出てきたということでしょう。
■スポーツモデルでありながら電気だけで40km走れるPHEV
長い前置きになったけれど、今回試乗したのは第2弾となる「V60」と「XC60」の「T8ポールスターエンジニアード」です。
基本的なスペックはS60と同じ。スポーツモデルといいつつ、12kWhのリチウム電池を搭載し、40kmくらいの距離を電気だけで走れるPHEVだったりします。
ボルボ「XC60 T8ポールスターエンジニアード」
街中を流れに乗って走っている限りはモーターの音しかせず、40kmまでの移動なら夜間電力で充電すると100円くらい。そのあたりがAMGやMと決定的に違います。
ということで「V60 T8ポールスターエンジニアード」から試乗といきましょう。
基本的にS60のステーションワゴンバージョンだと思えば良いです。普通に走ると乗り心地よく、超絶静かな電気自動車だとわかっている(オーリンズのダンパーをコンフォートにセットすると普通のグレードより滑らかとのこと)。
それじゃ、とばかり最初から全開を決め込みます。
するとどうよ、S60のときは若干クセの強かったブレーキのペダルフィールを含め、全体的に質感が上がっています。輸入車の常で年次改良する度に、ドンドン良くなっていく。
このあたりは新型車をいち早く買って粋に乗るか、熟成を待ちジックリ乗るか、難しい選択です。私は「欲しくなった時が買う時!」だと思っていますけど。
オーリンズは競技車両のように前後の減衰力をお好みよって選択可能。ボルボの推奨セットアップにすると、サーキットから一般道を含めたちょうど良い感じの挙動になります。どちらかといえばラリー車に近い。
試しにサーキット向けのセットアップに変更してもらうと、もはやエントリーレベルのレース用車両といった雰囲気。面白いです。
とりあえずセンターコンソールにあるスイッチで「ポールスターエンジニアード」を選び、横滑り防止装置を「スポーツ」にすると、テールをキレイに流したままコーナーを駆け抜け、アクセル開ければド~ンと加速すると楽しい。
続いて「XC60 T8ポールスターエンジニアード」を試します。車重があるためブレーキは一回りサイズアップしたアケボノ製(F1のメルセデスや市販車だとマクラーレンが使う最近人気赤丸上昇のブレーキ)です。
これまたサーキットで全開走行します。
さすがに重心が高い分だけV60よりコーナリング速度は低くなるものの、同じくらいスポーティ。ポルシェ「マカンターボ」と勝負出来そうです。
前述の通り、40km程度までなら電気自動車としても使えます。いまや環境対応だって絶対に必要です。
少し古くさい例えになるけれど、「羊の皮を被った狼」とか「ジキルとハイド」のようなクルマのニーズが増えていくと思う。
今回も台数限定のようだから、すぐ売れちゃうのではないでしょうか。
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