トヨタ「ランドクルーザー70」こそキングオブオフローダー! 30年以上も愛されるクロカン車を振り返る
くるまのニュース / 2020年11月18日 18時10分
いまも世界で活躍するトヨタのクロカン四駆である「ランドクルーザー」。高い信頼性と悪路走破性から、キングオブオフロードの名をほしいままにしています。そこで、ランドクルーザー・シリーズのなかから、原点といえるモデルの「ランドクルーザー70」を振り返ります。
■クロカン4WD車の頂点に君臨する「ランドクルーザー70」とは
近年、世界的に人気が高いクルマといえばSUVです。なかでも、とくに人気なのが、都会的なデザインでオンロードでの走りに特化したクロスオーバータイプで、各メーカーから続々と新型車が誕生しています。
そんなSUVの源流を辿ると、本格的なクロスカントリー4WD車に行き着き、1990年代の始めには各国産メーカーから販売されていましたが、ニーズの低下から数が激減してしまいました。
そうした状況でも、いまも本格クロカン4WD車の頂点に立つモデルとして、世界中で活躍しているのが、トヨタ「ランドクルーザー・シリーズ」ではないでしょうか
トヨタが世界に誇るクロカン車のランドクルーザー・シリーズは、耐久性や信頼性、そして悪路走破性が高く評価され、劣悪な環境でこそ威力を発揮。
現在、国内では「ランドクルーザー」と「ランドクルーザープラド」の2車種が販売されていますが、これまで数多くのバリエーションを展開してきました。
ランドクルーザー・シリーズを大別すると、「ヘビーデューティ」「ライトデューティ」「ステーションワゴン」の3つのタイプに分けられますが、なかでもヘビーデューティの代表的存在である「ランドクルーザー70」は、極力ハイテクな装備を搭載せず、ドライバーが操ることを前提としたクロカン車の原点を追求したモデルです。
そこで、本当のキングオブオフロードであるランドクルーザー70について、振り返ってみます。
※ ※ ※
日本でランドクルーザー70が発売されたのは1984年11月で、ランドクルーザーの名を世界に知らしめた「40系」の後継車として登場。
それまで商用車としての使われ方に特化した4WD車でしたが、乗用車としても使われるようになり、快適性や操作性、利便性、耐久性の向上が図られました。
ボディは発売当初はショートボディのバンとソフトトップ、ミドルボディのFRPトップをラインナップし、全車3.4リッター直列4気筒OHVディーゼルを搭載。トランスミッションは5速MTのみです。
駆動方式は手動でトランスファーを操作して2WD、4WDを切り替えるパートタイム式を採用。
シャシは堅牢なラダーフレームにボディを架装するクロカン車では定番の構成で、足まわりは初期のモデルで前後リーフスプリングのリジットアクスルを採用するなど、強度と耐久性が重視されていました。
ほかにも幅広い用途に対応するため、国内外向けに2310mmから3180mmの範囲で5種類のホイールベースが用意され、ボディを架装しない特装車用シャシも設定。後に国内でもセミロングボディのバンが追加されています。
室内は40系に対してキャビンをエンジンルーム側に拡大し、床面を下げたことで広い空間を実現。メーター類やスイッチを機能的に配置し、ドライバーの疲労を軽減するために、路面からの振動を吸収する「サスペンションシート」をオプション設定するなど、快適性が格段にアップしました。
2004年にランドクルーザー70は国内販売を終了しましたが、海外では過酷な環境での走行性能や信頼性が高く評価され、海外専用車種として販売を継続し、フロントフェイスなどの意匠は変更していますが、大きなモデルチェンジはおこなわれていません。
そして、ランドクルーザー70の誕生30年という節目を迎えた2014年に、期間限定ながら国内市場で復活しました。
■満を持して国内市場に復活をはたしたランドクルーザー70
2014年に国内市場で復活を果たしたランドクルーザー70は、セミロングボディは4ドアバンと、国内初のダブルキャブピックアップトラックをラインナップ。
なお、現行モデルではシングルキャブのピックアップトラックや、2ドアロングボディの「トゥループキャリア」、2ドアのショートワゴンも海外で展開されています。
国内市場において期間限定で再販された「ランドクルーザー70 バン」
搭載されたエンジンは4リッターV型6気筒ガソリンで、トランスミッションは5速MTのみを設定。中定速域のトルクが重視されたセッティングで、2トンを超える車体を物ともしない力強さがありました。
しかし、燃費は6.6km/L(JC08モード)と非常に悪く、ガソリンタンク容量が130リッターもあり、しかもハイオク仕様となっているなど、これだけでも大いに話題となりました。
駆動方式は誕生当時から継承する、レバーでトランスファーを操作するパートタイプ式4WDを採用。
足まわりはフロントがコイルスプリング、リアがリーフスプリングのリジッドアクスルで、乗り心地は良好とはいえませんが、強度と耐久性は折り紙付きです。
装備も現代的になって、両席エアバッグやマニュアルエアコン、パワーステアリング、パワーウインドウ、キーレスエントリーなどを装備しましたが、走行に関わるハイテクな装備はABSくらいです。
メーカーオプションは前後デフロックに電動ウインチなど、悪路で役に立つ機能的なものに限定されました。
発売直後は待ち望んでいたユーザーが買い求めたことから、多くのバックオーダーを抱えるほどの人気でしたが、安全面に関わる保安基準に適合できないことから、当初の予定どおり1年ほどで日本での販売を終了。
現在、中古車が比較的多く流通していますが、高値安定の状況で、バンが450万円前後、ピックアップトラックが400万円前後の相場です。
※ ※ ※
ランドクルーザー70は現在もオーストラリアや中東などで販売されており、誕生から36年が経ちます。
大きなモデルチェンジがおこなわれないままここまでロングセラーなのは、代わりとなるクルマが無いというほど、絶大な信頼性を保っているからといえます。
また、ランドクルーザー・シリーズの97%以上は日本で生産されており、残りも主要な部分は日本で組み立て、海外で最終的なアッセンブリーがおこなわれるセミノックダウンです。
これこそが、ランドクルーザーの信頼性の証であり、いまも世界中で愛される理由ではないでしょうか。
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