かなり無理矢理なモデルもあり!? 超個性的なステーションワゴン5選
くるまのニュース / 2020年11月18日 6時10分
近年、SUV人気に押されて激減してしまった感のあるステーションワゴンですが、2000年代初頭までは各メーカーから数多く販売されていました。そんなステーションワゴンのなかには、ユニークなモデルも存在。そこで、個性的なデザインの国産ステーションワゴンを、5車種ピックアップして紹介します。
■ユニークなステーションワゴンを振り返る
1989年にスバル初代「レガシィ」が発売され、ちょうど同時期にRVブームが起きた背景もあって、ステーションワゴンの人気が一気に高まり、各メーカーから次々と新型ステーションワゴンが発売されました。
そんな数多くラインナップされていた国産ステーションワゴンでしたが、1990年代の終わりから2000年代になると、ニーズの変化から急激に人気が低迷し、ラインナップも激減。販売から撤退したメーカーもあるほどです。
一方で、かつて販売されていたステーションワゴンのなかには、いま見ても個性的な外観のモデルも存在。
そこで、ユニークなデザインのステーションワゴンを、5車種ピックアップして紹介します。
●スバル「インプレッサ グラベルEX」
いまなら売れていたかもしれない!?「インプレッサ グラベルEX」
前述のRVブームをけん引したのはクロスカントリー4WD車でしたが、当時、スバルはクロカン車をラインナップしていなかったため、いすゞから「ビッグホーン」をOEM供給してもらい、スバル「ビッグホーン」として販売していました。
しかし、1993年にいすゞとの契約が終わり、再びクロカン4WDがラインナップから消えてしまったため、スバルは1995年に「インプレッサスポーツワゴン WRX」をベースにしたRVテイストの「インプレッサ グラベルEX(エックス)」を発売。
ベース車に対し、フロントにはバンパーガード、リアには背面スペアタイヤキャリアを備え、ボディのカラーリングも専用の2トーンカラーが採用されました。さらに、サスペンションのチューニングにより最低地上高が185mmまで高められるなど、クロカン4WD車らしさを演出しています。
一方で、260馬力を発揮する2リッター水平対向4気筒ターボエンジンを搭載していたことで、見た目に似つかわしくない高性能なステーションワゴンでもありました。
しかし、中途半端感が否めなかったためか販売は低迷し、1996年のモデルチェンジで廃止となったことで、スバル車のなかでもかなりのレアキャラです。
●スバル「インプレッサ タイプユーロ」
イメージがガラリと変わったデザインの「インプレッサ タイプユーロ」
前出のインプレッサ グラベルEXはいまも語り継がれるほど異色なモデルでしたが、もう1台の有名な珍車として「インプレッサ カサブランカ」が挙げられます。しかし、じつはさらにもう1台、ユニークなインプレッサスポーツワゴンが存在します。
それが2002年1月に登場した「インプレッサ タイプユーロ」です。ベースとなったモデルは2代目の通称丸目インプレッサ スポーツワゴンの1.5リッター、2リッター、2リッターターボの3モデルで、スバルとポルシェデザインが共同開発した外装パーツが装着されました。
インプレッサ タイプユーロ専用パーツとして、グリル一体式フロントバンパー、リアバンパールーフスポイラーで、ターボ車には専用デザインの17インチアルミホイールを装備。
外観の印象はスタンダードなインプレッサスポーツワゴンから大きく変わり、有機的なデザインとなっています。
なお、ポルシェデザインとの協業は、「レガシィ ブリッツェン」シリーズで長く続いていましたが、インプレッサではこのタイプユーロのみで、しかも2002年11月のマイナーチェンジで廃止となったため、短命でした。
●トヨタ「クラウン」
当時としてはかなり攻めたデザインを採用した4代目「クラウン カスタム」
初代の誕生から高級車として歩み始めたクラウンは、1971年に「スピンドル・シェイプ」と呼ばれた滑らかで美しい斬新なデザインの4代目が登場。それまでのクラウンシリーズとは一線を画するユニークな外観は、物議を醸したほどです。
ボディタイプは4ドアセダン、2ドアハードトップ、そしてステーションワゴン、ライトバンを設定。昭和の頃は1車種で複数のボディタイプを用意することは一般的でした。
トップグレードにはシリーズ初の2.6リッター直列6気筒エンジンを搭載するなど、高級車としての存在感を高め、電子制御燃料噴射装置の採用や、電動リクライニングシート、アイドリングストップを採用するなど、当時としては最先端の技術が投入されています。
ステーションワゴン、バンの「クラウン カスタム」も伸びやかなサイドビューのスタイリッシュなフォルムで、現在の価値観で見ると好印象ですが、当時は保守的なユーザーから敬遠されました。
そのため販売台数は低迷し、デビューからわずか3年後の1974年に直線基調で重厚感のあるデザインの5代目にモデルチェンジ。
販売台数は回復しましたが、現在は4代目クラウンの個性的なデザインに魅せられ、愛好するファンも多く存在します。
■日産のおもしろすぎるステーションワゴンとは
●日産「マーチBOX」
デザインは無理やり感が強く違和感ありすぎな「マーチBOX」
1982年に発売された日産初代「マーチ」はグローバルカーとして開発された、新世代のFFコンパクトカーです。
初代は国内外でヒット作となり、1992年に2代目が登場。3ドアハッチバックと5ドアハッチバックに加えてカブリオレが設定されるなど、多彩なボディバリエーションを展開。
外観のデザインも直線基調だった初代に対し、曲面を多用したやわらかなフォルムに一新されました。
そして1999年には派生車として、コンパクトステーションワゴンの「マーチBOX」が登場。マーチBOXはスタンダードな5ドアのマーチをベースに、ホイールベースはそのままで、ステーションワゴンに仕立てるために荷室部分を240mmほど後ろに延長したかたちです。
さらに屋根を25mm高くすることで広い室内空間を確保するとともに、ステーションワゴンらしく広い荷室を実現するなど、使い勝手を向上。
また、マーチBOX専用装備として、折りたたんだリアシートと荷室の段差を無くすために「ダブルフォールディングシート機構」が採用されました。
搭載されたエンジンはベース車と同じ1リッターと1.3リッターの直列4気筒で、トランスミッションは1リッター車が4速AT、1.3リッター車がCVTです。
マーチBOXは優れたユーティリティを持つコンパクトステーションワゴンでしたが、ヒットすることなく3代目マーチの登場とともに2002年で生産を終了。3代目以降では、設定されていません。
●日産「ブルーバード オーズィー」
斬新かつスタイリッシュなフォルムが特徴の「ブルーバード オーズィー」
日産は1976年にオーストラリアで現地法人を立ち上げ、生産を開始。日本国内と同じモデルだけでなく、オーストラリア独自の車種も生産していました。
そのなかの1台が、1987年に発売された日産8代目「ブルーバード(U12型)」の派生車「ブルーバード オーズィー」で、1991年に限定モデルとしてオーストラリアから日本へ輸入・販売されます。
ボディはステーションワゴンタイプでしたが、日産はブルーバードの5ドアハッチバック車とアナウンス。外観は8代目ブルーバードに準じたフロントフェイスに、ロングルーフに傾斜のついたリアハッチという現在のクーペワゴンを先取りしたようなスタイリッシュなモデルです。
エンジンは日本仕様専用に2リッター直列4気筒DOHCを搭載し、前後バンパーのアンダースポイラー、サイドステップ、リアハッチのスポイラーが装着されるなど、スポーティに仕立てられました。
ユニークなスタイルで使い勝手も良いモデルでしたが、当時の日本では人気とはならず、ブルーバード自体のフルモデルチェンジもあって、当初の予定どおり3か月ほどで販売を終了。
販売台数も現存数も少ないため、いまではかなり希少なモデルとなっています。
※ ※ ※
国産ステーションワゴンは減少してしまいましたが、近年は復活の兆しもあります。
たとえば、2019年に発売されたトヨタ「カローラツーリング」は現在も好調なセールスを続けており、2020年6月に発売された2リッターエンジンを搭載する500台の限定車「2000 Limited」は、短期間で完売したほどです。
ステーションワゴンはセダンに匹敵するドライビングプレジャーを持ちながら、荷物もたくさん積めるユーティリティの高さも併せ持っており、もっと人気が出ても不思議ではありません。
しかし、一度消滅したモデルを復活させるには相当なニーズがないと厳しいと考えられるため、現状では国産ステーションワゴンの劇的な増加は期待できないでしょう。
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