志が高いけど値段も高くて売れなかった!? ハイブリッドのエコ珍車3選
くるまのニュース / 2020年11月19日 16時10分
1997年に世界初の量産ハイブリッド車のトヨタ「プリウス」が発売され、その後ハイブリッド車はエコカーのスタンダードとなり、爆発的に普及しました。これまで各メーカーから数多くのハイブリッド車がデビューしていますが、いまでは珍しいモデルも存在。そこで、ハイブリッドのエコな珍車を、3車種ピックアップして紹介します。
■いまでは非常に希少な珍ハイブリッド車を振り返る
トヨタが1997年に世界初の量産ハイブリッド車の「プリウス」を発売。同クラスのガソリン車に対して約2倍となる燃費性能に、世界が驚愕しました。
その後、他メーカーもハイブリッド車を開発し、次々と発売したことで爆発的に普及。現在は電動車の主役のポジションを不動のものとしています。
これまで数多く販売されたハイブリッド車のなかには、いまでは滅多にお目にかかれない珍しいモデルも存在。
そこで、ハイブリッドの珍車を3車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「アコード プラグインハイブリッド」
大容量バッテリーを搭載したため高額になった「アコード プラグインハイブリッド」
2013年3月にホンダ「アコード」は国内販売を一旦終了しましたが、2013年6月に、全車ハイブリッド車とした9代目にあたる「アコード ハイブリッド」が登場しました。
アコード ハイブリッドは、ホンダ独自の2モーター式ハイブリッドシステム「スポーツハイブリッド i-MMD」を搭載し、30.0km/L(JC08モード)という低燃費を実現。
このアコード ハイブリッド発売と同時に、じつはPHEVの「アコード プラグインハイブリッド」も発売されていました。
アコード プラグインハイブリッドは、企業法人もしくは官公庁向けのリース販売だったため、当時は知名度が低い状況でしたが、その後、2013年12月には個人にもリース販売を開始。
アコード プラグインハイブリッドはアコード ハイブリッドをベースに6.7kWhの大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載しており、じつにアコード ハイブリッドの5倍もの容量を誇っていました。
プラグインハイブリッドですから外部からも充電でき、EV走行可能距離は37.6km(JC08モード)を達成しています。
しかし、当時はアコードそのものの人気が低迷していたことと、リース販売とはいえ価格(消費税8%込)は514万2857万円とアコード ハイブリッドよりも100万円以上も高額だったことから販売台数は極端に少なく、2016年3月に販売を終了。いまでは幻のモデルです。
●ダイハツ「ハイゼットカーゴ ハイブリッド」
ガソリン代で元を取るは非常に困難だった「ハイゼットカーゴ ハイブリッド」
現在、軽自動車にもハイブリッド車が存在しますが、発電機とモーターが兼用のマイルドハイブリッドが主流です。
一方、ダイハツは2005年に軽商用車では初となる、より本格的なハイブリッド車の「ハイゼットカーゴ ハイブリッド」を発売しました。
ハイゼットカーゴ ハイブリッドは、軽1BOXバンの「ハイゼット カーゴ」をベースに、1モーター方式のコンパクトなハイブリッドシステムを搭載。
最高出力50馬力のエンジンに組み合わされるモーターの出力は12.7馬力で、発進時や加速時にエンジンのパワーをアシストするパラレル式で、トランスミッションは4速ATです。
バッテリーはニッケル水素を採用してリアシート下に格納しており、荷室容量への影響は最小限に留められました。
ほかにもアイドリングストップや、減速エネルギーの回生をおこなうことで燃費は20km/L(10・15モード)を達成し、ガソリンモデルが15km/Lほどでしたから約3割向上していたことになります。
しかし、価格は215万5500円(消費税5%込)と、ベース車に対して100万円以上高価ということもあり、価格差を燃料代で相殺するのは、あまり現実的ではありませんでした。
実際に一般ユーザーには販売されず、官公庁や環境問題に関心の高い企業が顧客だったことから、ダイハツもスタディモデルと想定していたようです。
ハイゼットカーゴ ハイブリッドは2010年に生産を終了し、その後、ダイハツ独自のハイブリッドモデルはラインナップされていません。
■アイデアは良かったものの売れなかった軽自動車初のハイブリッド車とは
●スズキ「ツイン ハイブリッド」
市販軽自動車初のハイブリッド車ながら高額すぎて売れなかった「ツイン ハイブリッド」
欧州発のマイクロカー、MMC「スマート」(後にスマート「フォーツー」に改名)のヒットを受け、スズキは2003年に軽自動車のマイクロカー、スズキ「ツイン」を発売。
一般的に軽自動車のボディサイズは規格内ギリギリに拡張して設計されますが、ツインはシティコミューターとしての使われ方を想定して、全長はわずか2735mmの2シーター車でした。
デザインはとにかく「丸」を強調する意匠で、ヘッドライトやテールライトも丸く、全体のフォルムもコロッとしています。
さらにツインには市販軽自動車初のハイブリッド車がラインナップされました。
ハイブリッドシステムは、エンジンとトランスミッションの間に薄型モーターを配置して、加速時などにエンジンをアシストするパラレル式を搭載。
バッテリーは12Vのオートバイ用小型鉛電池を16個直列につなぎ、リアに搭載して、192Vの電圧でモーターを駆動していました。
アイドリングストップシステムも採用され、燃費は34km/L(10・15モード)と低燃費を実現しましたが、ガソリン車の価格は49万円(5MT、消費税含まず)からと低価格だったのに対し、ハイブリッド車は129万円(消費税含まず)からと非常に高価でした。
小さいことのメリットよりも2人乗りのデメリットのほうが大きかったためか販売は低迷し、わずか2年8か月でツインは販売を終了。いまではツイン ハイブリッドは稀代の珍車です。
※ ※ ※
初代プリウスが発売された時には、これほどハイブリッド車が普及するとは、だれも予想できませんでした。赤字覚悟といわれたプリウスでさえも、同クラスのガソリン車よりも50万円以上高額だったからです。
いまでは100万円台で高性能なハイブリッド車が入手可能ですから、技術の進歩は目覚ましいものがあります。
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