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超絶カッコいい!! 市販化されなかったのが残念なポルシェ3選

くるまのニュース / 2020年11月20日 8時10分

「Porsche Unseen(まだ見ぬポルシェ)」というタイトルの本で、ポルシェは今まで門外不出だった2005年から2019年にかけてのデザインスタディの数々を初公開した。本書のなかでポルシェは15台のそれぞれ異なった壮大なビジョンを見せてくれている。これらを通じて、一番最初のデザインスケッチから量産モデルまで、デザインプロセスに関するポルシェ独自の考え方を知ることができるだろう。

■ポルシェのデザインができるまで

 ポルシェAGのオリバー・ブルーメ取締役会長は「ポルシェの時代を超越した革新的なデザインは、世界中の人々から愛されています。これらは先見の明のあるコンセプトスタディの数々がこの成功の基盤であり、未来のポルシェデザインのアイデアの宝庫であり、ポルシェの強力な伝統を、未来を切りひらく技術と融合させるのです」と語る。

 これまで未発表だったデザインスタディの数々は、プレス向けに一連の記事として紹介されているほか、ウェブTV「9:11Magazine」でも、ポルシェのチーフデザイナー、ミヒャエル・マウアーとともにデザインスタディと実際の生産モデルとの関連性を検証するエピソードを公開している。

 そしてポルシェ・ブランドのファンに向けて、ドイツの出版社Delius Klasingから11月12日に「Porsche Unseen(まだ見ぬポルシェ)」という本が発売された。この本では興味のある読者のために、ポルシェのデザイン部門「スタイル・ポルシェ」の舞台裏が詳しく紹介されている。

 また、スタディモデルの一部は2021年にポルシェ・ミュージアムで展示される予定で、実車を見ることができるそうだ。

●デザインプロセス:最初のスケッチから運転できるプロトタイプまで

 デザインのプロセスは一枚のスケッチから始まる。これは次のステップで3Dモデルとして視覚化され、さらにアイデアが発展したら1/3スケールの模型が作られ、その次は1/1の実物大モデルが作られる。

「仮想世界が最初の一歩ですが、これまでにないクルマが小さいのか大きいのか、それとも驚くべきプロポーションなのかを理解するには、現実世界で体験しなければなりません」と、「スタイル・ポルシェ」のチーフデザイナーであるミヒャエル・マウアー氏は語る。

 生産モデルの開発では常に異なるスタイリングのモデルが同時に進行していくのだが、それとは対照的にビジョンプロジェクトでは、中核的なアイデアの主役となるべきひとつのビジョンモデルに集中する。

「ポルシェは意図的に、たったひとつしかデザインスタジオを設置していません。開発セクションのすぐ近くにです」とマウアー氏はいう。

「ポルシェの開発センターがあるヴァイザッハが私たちの震源地です。北米やアジアのように遠く離れた大都市に高度なデザインスタジオをいくつも開設するかわりに、ポルシェのデザイナーたちは世界中からヴァイザッハにやって来て、最新の市販スポーツカーと、ブランドの中心となるクルマのビジョンを創造するのです。

 120人以上のデザイナーと、インテリア、エクステリア、色、素材の専門家、モデルビルダー、モデラー、研究エンジニアが、ポルシェのデザインスタジオで働いています」

●デザインスタディ:モビリティの未来への心の旅

「私たちの開発するビジョンとは、あらゆるクルマを道路で走らせることではありません。むしろ、創造的な空間と、未来との関係を築いていくための問いかけなのです」とマウアー氏はデザインプロセスを説明し、こう付け加える。

「ブランドとして発展し続けるためにはふたつの可能性があります。ひとつは、製品を現状から段階的に改善していくことですが、この方法では真に革新的であることは難しいです。もうひとつは、自分の創造性を自由に解放することです。アイデアとは、自分の思考を明後日までジャンプさせて、それから明日まで戻してやることなんです」

 この考え方に基づいて、ポルシェは長期的に全モデルの外観を特徴づけて保っていくように、製品とブランドアイデンティティを開発している。将来のクルマのためのデザイン言語は長期的なビジョンから発展したものなのだ。

 こうしたプロセスのなかでは、ポルシェのデザインのDNAと最新鋭の自動車工学を融合させることが、よりハイレベルな目標となる。このことが、一方では将来のポルシェのモデルに革新的な性能をもたらし、また同時に、ポルシェの豊富な歴史に対する解釈をアップデートすることにもつながるのである。

■市販化されなかったのが惜しい! デザインスタディで終わったポルシェ3選

 それでは、ポルシェの門外不出だった2005年から2019年にかけてのデザインスタディの数々のなかから、いくつかの例を詳しく見てみよう。

●ポルシェ919ストリート

ル・マンで数々の勝利を収めたポルシェ919の寸法とホイールベースが変わらない「ポルシェ919ストリート」ル・マンで数々の勝利を収めたポルシェ919の寸法とホイールベースが変わらない「ポルシェ919ストリート」

「ポルシェ919ストリート」(2017年、1/1クレイモデル)は、ポルシェがWEC(FIA世界耐久選手権)で2014年から2017年に投入したレースカー「ポルシェ919ハイブリッド」に使われた技術をベースに開発され、LMP1クラスのレースカーの爽快なドライブ体験をアマチュアドライバーでも楽しめるというのが趣旨となる。

 ボディのなかにはカーボンモノコックのシャシと、ル・マンでポルシェ919が数々の勝利を収めるのに貢献した900psのハイブリッドシステムが収まっていて、寸法とホイールベースもレースカーと変わらない。

●ポルシェ・ビジョン・スパイダー

リア両サイドのフィンといった要素が、1954年のポルシェ「550/1500RSスパイダー」を想起させる「ポルシェ・ビジョン・スパイダー」リア両サイドのフィンといった要素が、1954年のポルシェ「550/1500RSスパイダー」を想起させる「ポルシェ・ビジョン・スパイダー」

「ポルシェ・ビジョン・スパイダー」(2019年、1/1ハードモデル)はコンパクトなスポーツカーで、スパルタンで洗練されたコックピット、リアミッドに搭載されたエンジンの上の特徴なラジエーターグリル、赤いグラフィック、リア両サイドのフィンといった要素が、1954年のポルシェ「550/1500RSスパイダー」を明確に思い起こさせる。

 また、このスタディモデルはポルシェのデザインアイデンティティをさらに発展させ、将来のディテールのストックを蓄積することも目的としていた。超モダンなロールバーがその一例といえる。

●ポルシェ・ビジョン“レンディーンスト”

最大6人乗りの家族向け空間コンセプトを自由に解釈した「ポルシェ・ビジョン“レンディーンスト”」最大6人乗りの家族向け空間コンセプトを自由に解釈した「ポルシェ・ビジョン“レンディーンスト”」

「ポルシェ・ビジョン“レンディーンスト”」(2018年、1/1ハードモデル)は、最大6人乗りの家族向け空間コンセプトを自由に解釈したもの。

 ドイツ語の「レンディーンスト(Renndienst)」はレーシングサービスの意味で、往年のポルシェがレース活動で使っていた「フォルクスワーゲン・バス」がモチーフ。赤がイメージカラーだったのだ。

 デザインチームはエキサイティングなプロポーションをもつ未来のスペースシャトルをイメージしたという。

 このスタディモデルは、特徴的なボディ形状をもつポルシェのデザインDNAが、ブランドにとって未知の車両ジャンルにどう移植できるのかを示している。

 快適なモジュール式トラベルキャビンが乗客に用意されており、ドライバーは中央の運転席に座る。EVの駆動系はすべてボディ下部に収められ、乗客は想像以上に広々とした空間と、ポルシェ的な感覚に満ちた旅行体験を楽しむことができる。

* * *

●書誌情報
Porsche Unseen
著者:Stefan Bogner & Jan Karl Baedeker
ページ数:328
寸法:21.6×28.6cm
図版数:190点
言語:ドイツ語/英語
発売日:2020年11月12日
ISBN:978-3-667-11980-3
出版社:Delius Klasing
価格:68ユーロ
購入方法:現時点では日本Amazon、米国Amazonでは取り扱いがなく、ドイツのAmazon(Amazon.de)は日本への発送不可となっている。版元の公式ウェブサイト(ドイツ語)から購入可能となっているので、有志は挑戦してみることをお勧めする。

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