夏用・冬用タイヤのいいとこ取り!? 知っておきたい「オールシーズンタイヤ」の○と×

くるまのニュース / 2020年11月22日 11時10分

オールシーズンタイヤは、冬用タイヤとして使え、夏用タイヤに近いグリップも確保できる便利なタイヤです。オールシーズンタイヤのメリット・デメリットには、どのようなことがあるのでしょうか。

■オールシーズンタイヤは交換する手間が省ける!?

 本格的な冬を迎えるにあたり、早めにスタッドレスタイヤに履き替える人も多いのではないでしょうか。

 タイヤ交換では、交換そのものの手間や保管場所の確保など、面倒な作業もつきまとうものです。

 そこで最近は、冬用タイヤとしても使用可能な「オールシーズンタイヤ」が注目を集めています。

 オールシーズンタイヤは、夏用タイヤと遜色ないグリップ力でオンロード走行でき、突然の雪にも対応可能な、1年中履き替える必要がないタイヤです。

 では、オールシーズンタイヤのメリットやデメリットには、どのようなことがあるのでしょうか。

 夏用タイヤは、安定した路面を走行するのに最適なトレッド(溝)パターンとコンパウンド(タイヤ用のゴム)を採用し、原則的に硬さが安定している路面(アスファルト)を捉え、転がり抵抗とグリップ力、耐摩耗性能を高次元でバランスさせています。

 一方のスタッドレスタイヤは、柔らかい素材を練りこんだコンパウンドと、排水性に優れたトレッドパターンを採用し、雪道や凍結路を含めた滑りやすい路面でのグリップ力を確保することに特化したタイヤです。

 そしてオールシーズンタイヤは、夏用タイヤに近いコンパウンドを使い、スタッドレスタイヤのようなトレッドパターンを採用。両者の中間的な性能のタイヤで、全天候に対応しているのが特徴です。

 このオールシーズンタイヤの最大のメリットは、年間を通してのタイヤ交換の必要性が減るということです。

 履きっぱなしでいいということは、交換したタイヤの保管場所に困ることもないので、タイヤを保管するスペースが不要なのも大きなメリットだといえます。

 さらに、使われているコンパウンドが夏用タイヤに近いため、ロードノイズやグリップ力も夏用タイヤと遜色がなく、突然の雪でも慌てることなく走行できます。

 その一方でデメリットもあります。

 夏用タイヤやスタッドレスタイヤと比べると、選べる商品数がまだ少ないことです。

 オールシーズンタイヤの歴史は意外と古く、1977年にアメリカを代表するタイヤメーカー「グッドイヤー」から「TIEMPO(ティエンポ)」というブランド名で北米を中心に発売されたのが始まりだといわれています。

 ただし日本への本格的な上陸は2008年あたりからと、まだ10年ほどしか経っておらず、認知度が高いとはいえず、商品数が限られているという状況です。

 しかし、今シーズンはさらに新規参入するメーカーもあり、商品数も続々と増えていくことが期待できます。

 さらに、前述のように、使用されるコンパウンドが夏用タイヤに近いため、スタッドレスタイヤほど滑りやすい路面でのグリップ力は優れていません。

 多少の雪は走行できますが、路面がツルツルになった凍結路は走行不可。

 そのため、本格的な降雪地帯や、凍結する路面の多いエリアでは年間を通じては使えない可能性もあります。

 そう考えるとオールシーズンタイヤの性能が少々中途半端に感じられるかもしれませんが、年に数回しか雪が降らない地域に住んでいる人にとっては、突然の雪でも走行できる安心感は大きな魅力だといえます。

※ ※ ※

 オールシーズンタイヤには、路面状況によって走行できる基準を示す刻印がされています。

「M+S」の表記があるものは、M(マッド=泥などでぬかるんだ道)とS(スノー=積雪路面)の両方で走行可能を示す刻印です。

 「SNOW」という刻印は、日本で冬用タイヤとして認められた性能を持っていることを示しています。

 さらに、雪の結晶のような「スノーフレークマーク」という刻印もありますが、これは欧州での冬用タイヤとしての認証を受けている証拠です。

 このどちらかが付いていれば、ちょっとした積雪やチェーン規制などで走行できるということを示しています。

■オールシーズンタイヤには交換の目安がふたつある!?

 中間的な性能を持つオールシーズンタイヤは、スノー路面や日差しで溶けかけているシャーベット状の路面であれば問題なく走行できます。

 また高速道路などで雪が降りはじめたときに実施される「冬用タイヤ規制」などでもそのまま走行することが可能です。

オールシーズンタイヤはシャーベット状の路面でも走れる性能を持つオールシーズンタイヤはシャーベット状の路面でも走れる性能を持つ

 ただし、降雪量が多く「全車両チェーン規制」が実施されている場合などは、スタッドレスタイヤ同様にチェーンの装着が必要になります。

 また、オールシーズンタイヤはスタッドレスタイヤよりは耐摩耗性に優れていますが、走行していれば当然ながらタイヤは消耗します。

 どれくらい消耗しているかの目安となるのが、ブロックとブロックの間の溝に設けられた「プラットホーム」と呼ばれる突起です。

 この突起はスタッドレスタイヤにも設けられており、タイヤの溝が50%摩耗していることを知らせるサインになっています。

 一般的に、スタッドレスタイヤは50%摩耗すると、氷雪路性能が大きく低下するといわれており、早めのタイヤ交換時期を知らせるサインとしてプラットホームが目安になります。

 オールシーズンタイヤでもブロックが50%摩耗していることを示しているのですが、ここで大きく違うのは、オールシーズンタイヤのプラットホームが露出した場合、もう冬用タイヤとしては使えないということです。

 夏用タイヤとして継続して走行することも可能ですが、著しくグリップ力が低下します。つまりプラットホームの露出はオールシーズンタイヤにおける第一の交換目安といえます。

 一方、夏用タイヤの場合、消耗が激しいとブロックとブロックの間に出てくるのが「スリップサイン」です。

 溝の残りが1.6mmを示しているのですが、この状態になると雨の日だけでなく晴れていてもグリップ力は相当落ちていて、車検も通りません。

 面白いのは、オールシーズンタイヤにもスリップサインがあることです。ここまで使っていいというわけではありませんが、このスリップサインが第二の交換目安となります。

 たいていのタイヤメーカーでは、スリップサインが出る1.6mmの倍となる約3.2mm程度の残り溝になったタイミングでの交換を推奨していますが、オールシーズンタイヤの場合は冬用も兼務しているため、もっと早いタイミングでの交換が好ましいと考えられます。

 ちなみにタイヤの寿命は約3年程度といわれています。走行距離が短かったとしても何年もオールシーズンタイヤを履いていると、夏でも冬でもタイヤがグリップを失い事故に繋がる可能性があります。

 タイヤの溝が減っていなくても、3年程度の周期で交換するのがお勧めです。

※ ※ ※

 スタッドレスタイヤに履き替える手間を省きたい人にとっては、非常に便利なオールシーズンタイヤ。最近では新車装着されるケースも増えています。

 自身のクルマの使い方などを考慮し、タイヤの選択肢のひとつとしてオールシーズンタイヤを検討してみる価値はありそうです。

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