マツダの新型直6エンジン発表で復活のきざし!? 往年の直6エンジン搭載車5選
くるまのニュース / 2020年11月26日 6時10分
マツダは2020年11月9日に、2021年3月期第2四半期決算説明会をおこないましたが、そのプレゼンにおいて、かねてから開発が続けられてきた直列6気筒エンジンを公開。ガソリンとディーゼル、そして火花点火制御圧縮着火のSKYACTIV-Xを採用すると表明しました。現在、国産乗用車では見られなくなった直6エンジンが復活することになります。そこで、往年の直6エンジン搭載車を5車種ピックアップして紹介します。
■直列6気筒エンジンを搭載した名車を振り返る
2020年11月9日に、マツダは2021年3月期第2四半期決算説明会をおこないましたが、その際にかねてから開発が進められてきた新たな直列6気筒エンジン(以下、直6エンジン)を公開しました。現在、公表されている情報では3種類が予定され、ガソリンとディーゼル、そして火花点火制御圧縮着火のSKYACTIV-Xのラインナップとなっているようです。
かつて直6エンジンは、日産とトヨタがミドルクラス以上のモデルで積極的に搭載してきましたが、2000年代にはV型6気筒が主流となり、現在、国内メーカーの乗用車ではBMW製の直6エンジンを搭載するトヨタ「スープラ」のみとなり、自社で生産している直6エンジンはありません。
振動が少なくスムーズな回転が魅力の直6エンジンですが、エンジン全長が長くなることでスペース効率の点では不利で、国内メーカーでは淘汰されてしまいました。
そこで、これまで国産メーカーが生産してきた直6エンジン搭載車のなかから、名車と呼ばれるモデル5車種をピックアップして紹介します。
●プリンス「グロリア」
他メーカーに先駆けて直6SOHCエンジンを搭載した2代目「グロリア」
戦前から飛行機製造をおこなってきた立川飛行機を源流とするプリンスは、日産と合併する以前、初代「スカイライン」をベースに、排気量を1.5リッターから1.9リッターまで拡大した初代「グロリア」を1959年に発売。
1962年に2代目グロリアが発売されると、当時のアメリカ車の影響を強く受けた美しいスタイリングが特徴の高級車へと変貌を遂げました。
同時期にトヨタも2代目「クラウン」をグロリアと同じ1.9リッターエンジンで発売しましたが、高速時代への移り変わりを先取り、プリンスは1963年に、量産小型乗用車で日本初となる2リッター直列6気筒SOHCを搭載した「グロリア スーパー6」を発売。
最高出力105馬力(グロス)を発揮し、直6エンジンによる静粛性となめらかな回転は、高級車としての印象をさらに強めました。
1964年にトヨタが日本初の乗用車用V型8気筒エンジンを搭載した「クラウンエイト」を発売すると、プリンスは負けじと2.5リッター直列6気筒SOHCから最高出力130馬力(グロス)を誇る「グランドグロリア」を追加ラインナップ。
1966年にプリンスと日産が合併したことで、車体はそのままながら車名が日産「プリンスグロリア」となり、1967年に3代目にモデルチェンジされると日産「グロリア」に改名。その後は「セドリック」と姉妹車になりました。
●三菱「デボネア」
風格ある外観にふさわしい直6エンジンを搭載した初代「デボネア」
1964年に発売された三菱初代「デボネア」は、5ナンバーサイズに収まるボディサイズでありながら、アメリカ車にも負けない重厚感のあるフロントフェイスが特徴の高級車です。
発売当初はデボネア専用に開発された105馬力(グロス)を発揮する2リッター直列6気筒OHVエンジンを搭載し、室内は高い静粛性を実現。また直6エンジンならではの滑らかな加速は、三菱を代表する高級サルーンにふさわしいものでした。
後に、2リッター直列6気筒SOHCエンジンに換装されるなど、さらにグレードアップが図られます。
その後、排出ガス規制への対応のために2.6リッター直列4気筒エンジンにスイッチしますが、大幅なアップデートはおこなわれず、1960年代の設計のまま初代デボネアは1986年まで生産が続けられました。
そのため「走るシーラカンス」の異名で呼ばれ、生産中止後にクラシカルな外観から再評価されたことで、現在も1972年までの三角窓とL字型テールランプを装備する個体は、高値で取引されています。
●日産「セドリック」
名機のほまれ高い「L型」を初めて搭載した「セドリック スペシャル6」
日産の名エンジンとして後世に語り継がれているのが「L型」で、前述のとおりミドルクラス以上の日産車に搭載されて長く親しまれてきました。
L型6気筒を最初に搭載したのは、1965年に発売された2代目「セドリック」の「スペシャル6」で、2リッターの排気量にSUツインキャブが装着され、最高出力115馬力(グロス)発揮。
L型はSOHC2バルブで、カムシャフトをチェーンで駆動し、特徴的だったのは吸気系と排気系が同じ場所(シリンダーヘッドの左側)に位置する「ターンフロー」と呼ばれるレイアウトでした。
このターンフローは高性能化には不向きとされましたが、バルブ機構の構造が単純なためシリンダーヘッドを小型化でき、オルタネーターなど補機の配置にも有利でした。
また、コンパクトなエンジンということで搭載するクルマの自由度も上がり、後に「スカイライン」や「フェアレディZ」「ブルーバード」など多岐にわたりました。
排気量のバリエーションは2リッター以外に、2.4リッター、2.6リッター、2.8リッターがラインナップされ、1979年には国産車初のターボエンジンの「L20ET型」がセドリック/グロリアに搭載。
さらに、2.8リッターのディーゼルエンジン「LD28型」が登場するなど、バリエーションは多岐にわたり、基本設計の優秀さがうかがえました。
その後、1984年に新開発された「RB型」が登場すると、L型の生産は急激に減り、1986年から1987年にかけて廃止となります。
■究極の国産直6エンジンを搭載した2台のスーパースポーツとは
●日産「スカイラインGT-R」
RB型の究極進化系エンジンを搭載した3代目「スカイラインGT-R」
日本がバブル景気の絶頂期を迎えようとした1989年、日産は8代目スカイライン(R32型)を発売。7代目からボディのダウンサイジングをおこない、ハイソカーのイメージだったデザインも一新することでスポーティさを取り戻したと評されます。
そしてR32型では、16年ぶりとなる「スカイラインGT-R」の復活という歴史的な出来事もありました。
初代スカイラインGT-Rがそうであったように、R32型スカイラインGT-Rもレースで勝つことが目的で開発されたモデルで、エンジンは280馬力を発揮する2.6リッター直列6気筒DOHCツインターボの「RB26DETT型」を搭載。実際のレースでは550馬力ほどを絞り出したといいます。
また、シャシもFRをベースとしながら、路面状況に応じた高度な電子制御で前後輪に自在に駆動力を配分する電子制御トルクスプリット4WDシステム「アテーサE-TS」の搭載に加え、サスペンションは新開発の4輪マルチリンクを採用するなど、世界トップクラスの運動性能を実現。
全日本ツーリングカー選手権には1990年シーズンから参戦し、デビュー戦でポールトゥウインを飾り、そこから4シーズンで29戦29勝と無敵を誇り、グループA車両による全日本ツーリングカー選手権消滅のきっかけになったほどです。
●トヨタ「スープラ」
伝統的に直6エンジンを搭載し、FRスポーツカーの頂点に君臨していた「スープラ」
2019年に復活したトヨタ・スープラは国内外で大いに話題となりましたが、一世代前の1993年に登場した4代目スープラも、その高性能さが世界中で高く評価されたモデルです。
搭載されたエンジンは3リッター直列6気筒の自然吸気とツインターボで、ターボ仕様の「2JZ-GTE型」では280馬力を発揮。このパワーに見合うように、サスペンションは4輪ともダブルウィッシュボーンを採用し、ブレーキも前4ポット/後2ポットのキャリパーが装着されるなど、加速性能だけでなくコーナリング性能も優れていました。
また、日産のRB26DETT型と同様に2JZ-GTE型のポテンシャルは非常に高く、ハードなチューニングにも対応できるなど、いまも名機として語り継がれている存在です。
空気を切り裂くようなスポーツカーらしいフォルムの4代目スープラは、とくにアメリカで人気が高く、カーアクション映画に登場した影響もあって、日本でもノーマルの低走行車は新型スープラ並の価格で販売されています。
※ ※ ※
現在も直6エンジンをつくり続けているメーカーといえばBMWですが、さすがにラインナップの減少が顕著になっています。
また、メルセデス・ベンツはコンパクトな直6エンジンを開発し、2018年からSクラスを皮切りに復活させましたが、その後は追従するメーカーは無い状況でした。
そうしたなか、マツダが直6エンジンを開発していると公表され大いに話題となり、冒頭にあるとおり実物が公開されるに至りました。
パワーユニットの電動化が加速している現在、直6エンジンを新開発するということは無謀とも思える行為と捉えられますが、一方でマツダのエンジニア魂を象徴しているのではないでしょうか。
どれだけ素晴らしいエンジンなのか、いまから発売が楽しみです。
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