なぜ道路標識に「ナビNG」 カーナビ過信はダメ? 裏道にハマる人続出な道路事情とは
くるまのニュース / 2020年12月2日 9時10分
Twitterで話題となった道路標識に「NAVI NG」の表記。なぜ、目的地までの適切なルートを案内してくれるカーナビを過信してはいけないのでしょうか。
■日本企業がけん引!カーナビの歴史
スマホのナビアプリが普及したとはいえ、まだまだ現代の必需品ともいえるカーナビですが、過信は禁物という場合もあるようです。
なぜ、目的地までの適切なルートを案内してくれるカーナビを過信してはいけないのでしょうか。
現在のカーナビの新車装着率は70%から80%とされるなど、クルマを運転するうえ上でなくてはならない存在となっています。
そもそもカーナビは、正式名称を「カー・ナビゲーション・システム」といい、1981年に登場したホンダ「アコード」が世界初のカーナビ搭載車とされています。
その後1990年代に入り、現代と同じ仕組みであるGPS式カーナビが登場したり、道路交通情報通信システムであるVICSが開始されたりするなど、現代のカーナビの基礎が形作られました。
前述のホンダにはじまり、パイオニアやアイシン・エィ・ダブリュといった日本企業が、カーナビ黎明期の主役でした。
2000年代には高級車を中心にカーナビが新車標準装備となってきた一方で、大衆車では、オプションとしてユーザーのニーズに合わせたカーナビを選択するのが一般的となります。
また、音楽を聴いたり、テレビやDVDを視聴したりすることができるといった、機能的なモデルも増えてきました。
2010年代には、スマートフォンのナビアプリが普及したことで、それまで比較的安価で手軽なことから人気が高かったポータブル型のカーナビが縮小傾向となっています。
一方、新車で標準装着されるカーナビは「ディスプレイオーディオ」として進化し、単なるナビゲーションシステムにはとどまらない、より多機能かつ高機能なデバイスとなりました。
クルマが電子化、電動化するなかで進化してきたカーナビですが、もっとも基本的な機能であるナビゲーション機能も、時代に合わせて進化しています。
例えば、現代のカーナビは、通信機能を用いてさまざまな情報をほぼリアルタイムで得ることができます。
VICSによる渋滞情報はもちろん、プローブ情報と呼ばれる、他車(他者)の位置情報から現在の渋滞状況を把握し、可能な限り正確に到着時刻を予測するのに役立てているのです。
こうした機能は、自動車メーカー純正のカーナビはもちろん、Google Mapといった無料の地図アプリにも採用されており、多くのユーザーによって日常的に利用されています。
■過信し過ぎは禁物!「ナビを信じるな」という標識も!?
しかし、カーナビの進化は思わぬ弊害を生み出しているようです。それは、「カーナビの過信」です。
かつて、日本人の旅行者が海外旅行に行った際、現地のレンタカーのナビを信じた結果、道路から海に入るという事例がありましたが、これは本土から離れた離島を目的地に設定したことが理由のようです。
極端な例ではありますが、知らない土地でカーナビを頼って運転してみたら、裏道に入ってしまって苦労したという経験は誰しもが持っているものではないでしょうか。
こうした例をうけて、一部の地域では交通標識に「ナビを信じないようにしてください」という内容を表示している事例があるようです。
最近、そうした交通標識がSNSで話題になりました。
SNSの投稿によると、天橋立で有名な京都府宮津市を走る府道45号線の道路標識には、「カー・ナビゲーションの案内にかかわらず、国道へ進んでください」という表記が見られるそうです。
宮津市から舞鶴市へ向かうには、海岸沿いを走る国道178号線を通るルートと、山間部を抜けていく府道45号線を通るルートがあります。
道のりとしては山間部を抜けるほうが短いことから、一部のカーナビでは府道45号線を進めることがあるようですが、実際にはすれ違いができないほど道幅が狭い箇所もあることから、道路を管轄する当局からすれば国道178号線を通ってほしいという狙いがあるようです。
宮津市や舞鶴市は、人口はそれほど多くないものの、天橋立や舞鶴港などの有名観光地をようすることから、年間を通して観光客の多い地域です。
当然、慣れない場所での運転はカーナビに頼ることも多くなるため、地元の人が通らないような裏道、あるいは地元の人しか通らないような生活道路に迷い込む観光客が少なくないといいます。
SNSにこの標識を投稿した男性は以下のように話します。
「当時、国道が観光渋滞で流れが悪かったので、多少道が悪くても早く舞鶴に抜けたいという状況で、この案内標識を発見しました。
県道に分岐したところに見やすく設置されていたので、すぐにわかりました。また、そのまま進むと明らかに山越えしそうな地形だったのも助けになりました」
なぜ写真を撮影しようと思ったかについては、「黄色の注意標識で道幅が狭いことを案内するのが普通というなかで、わざわざ青い標識で案内するのは珍しいと思ったのが撮影しようと思ったきっかけです」と話しました。
ナビによってはクルマが通れないほどの狭い道を案内する場合もある
カーナビは、日本のメーカーがけん引してきた分野です。近年では海外のナビアプリを使用する人も多くなりつつありますが、どちらもかつてに比べれば、その精度は飛躍的に向上しています。
とはいえ、現在の技術では必ずしも実態に即した案内ができない場合もあります。
あくまでもカーナビは補助的なものだということを認識し、過信しないようにすることが重要です。
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