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5000万円で落札! 世界最速だったジャガー「XJ220」は悲運のスーパーカー

くるまのニュース / 2020年11月29日 19時10分

発売当時、世界最速だったジャガー「XJ220」が北米で開催されたオークションに出品された。ジャガー・ヘリテージでレストアされた完璧なコンディションであるXJ220の評価とはいかに。

■ジャガーのエンジニアの夢から始まった「XJ220」プロジェクト

 ジム・ランドルという、ひとりのジャガーのエンジニアの夢からプロジェクトはスタートした。

 ジャガーのエンブレムを掲げる、究極のスーパースポーツを世に送り出すことを夢見た彼がイメージしたのは、同社のミッドシップ・レーシングカー、「XJR13」である。

 彼は、XJR13のシルエットをモチーフに、オンロードユースにも十分耐えられるようにキャビンをロングホイールベースによって構築し、前後方向にのびやかなスタイルを描き出したのだった。

 リアミッドに搭載すべきエンジンは、もちろんスーパーカーの華ともいえるV型12気筒だ。ここから発揮される強大なパワーを4WDシステムによって4輪に伝達し、安全かつ安定した走りを実現するというのが、ジム・ランドルのコンセプトだった。

 その夢はいつしかエンジニアリング部門の仲間にも知られるところとなり、通常の業務が終了した後におこなわれたこのプロジェクトは、「サタデー・クラブ」と呼ばれるようになった。それはとても謙虚な始まりだったのだ。

 最高速で時速220マイル(約352km/h)に到達することを目標に、「XJ220」とネーミングされたこのモデルのプロトタイプは、1988年のバーミンガム・ショーに出品され、満場一致の賞賛を受けることとなった。

 1989年末には予約受注が開始され、わずか48時間で予定台数の220台をはるかに超える1500台以上ものオーダーを得るに至った。

 だがちょうどその頃には、バブルに沸いていた世界経済は悪化の兆しにあり、XJ220の開発と生産を担当していたジャガースポーツは、搭載エンジンをV型12気筒から3.5リッターV型6気筒ツインターボへと変更を余儀なくされ、駆動方式もオーソドックスなRWDへと改められてしまった。

■ポテンシャルは「F40」よりも上!? 「XJ220」は最高のスーパーカーだった!

 当初のV12からV6へとエンジンの仕様変更がなされたとはいえ、ジャガーXJ220は、当時の第一線に並ぶパフォーマンスを持つモデルであったことに変わりはなかった。

 最高速は、220マイルにこそ届かなかったものの、時速217.1マイル(約347km/h)を、イタリアのテストコースであるナルドで記録。

 さらに0ー100km/h加速では、当時のスーパーカーの代表格であるフェラーリ「F40」やランボルギーニ「ディアブロ」のテストデータを凌ぐ3.9秒を記録したのである。

●1993 ジャガー「XJ220」

美しいプロポーション、そして生産台数の少なさから将来的に価値が上がる可能性大のジャガー「XJ220」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's美しいプロポーション、そして生産台数の少なさから将来的に価値が上がる可能性大のジャガー「XJ220」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 今回、RMサザビーズのオークションに出品されたXJ220は、1993年9月下旬にジャガーからデリバリーされたモデルで、後にアメリカのコネチカット州に在住する愛好家によって所有されていたモデルであるという。

 その後ヨーロッパ、フロリダとオーナーのもとを転々とするが、2016年にはオーバーホールのためにジャガー・ヘリテージに入庫している。

 車両に添付される請求書が証明しているように、10万5000ドル(邦貨換算約1100万円)もの予算を投じて、新車のコンディションを取り戻した1台だ。

 さらに新車からの走行距離は現在6822kmを示すのみ。コレクターズアイテムとしては、これ以上に魅力的なXJ220を探すのはなかなか難しいだろう。コンクール・デレガンスでも十分にプライズを狙える1台である。

 気になる落札価格は、エスティメートの40万ー50万ドルに対して、48万3500ドル(邦貨換算約5028万円)であった。

 1990年代のジャガーを象徴する遺産のひとつであると考えれば、その落札価格は実に魅力的といってよいだろう。将来的な値上がりにも大いに期待できそうだ。

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