昔はセダンや1BOXが家族の車!? ミニバン人気以前の定番ファミリーカー5選
くるまのニュース / 2020年11月30日 6時10分
1990年代から現在まで、ファミリーカーの定番車種といえばミニバンです。さらに近年はSUVもファミリー層から支持されています。一方、かつてのファミリーカーというと、いまとはだいぶ異なる車種でした。そこで、ミニバン人気が高まる前の、定番ファミリーカーを5車種ピックアップして紹介します。
■かつてファミリーカーの定番車種だったモデルを振り返る
1990年代初頭に、ホンダ「オデッセイ」やトヨタ「エスティマ」などが登場し、ミニバンというカテゴリーのクルマが一気に普及しました。広い室内に3列シートを備え、6人から8人が乗車できるミニバンはまたたく間にファミリーカーの定番車種となります。
近年はSUV人気も高まり、比較的子どもが大きい家庭では、ミニバンから乗り換えるケースも増えているようで、SUVも現代のファミリーカーといっていいでしょう。
一方、ミニバンの普及以前のファミリーカーは、現在とはだいぶ異なる車種だったようです。
そこで、ミニバン人気が高まる直前の定番ファミリーカーを、5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ5代目「マークII」と派生車
ハイソカーとして一世を風靡したセダンの5代目「マークII」
トヨタを代表する大衆車といえば1966年に初代が発売された「カローラ」ですが、マイカーの普及が始まると、さらにワンランク上のクルマが求められるようになり、1968年に「コロナマークII」が登場します。
その後コロナマークIIは代を重ねるとセダンが主力となり、1980年に4代目が登場すると同時に、販売チャネルが異なる「チェイサー」「クレスタ」が登場。
この3台は「マークII3兄弟」と呼ばれ、「ハイソカーブーム」のきっかけをつくったモデルとなります。
ちなみに、ブームが起きた当初は「ハイオーナーカー」と呼ばれていましたが、ある自動車雑誌が「ハイソカー」と名付けたことから、いつしかブーム全体の名前で呼ばれるようになりました。
このハイソカーブームをさらに広めたのが、1984年に登場した5代目マークIIで、この代から「コロナ」の名がなくなり、マークIIに改められました。
モデルチェンジでトヨタが重視したのは、3兄弟の性格を明確化することで、ハイオーナーカーのマークII、若々しいスポーティサルーンのチェイサー、落ち着いたイメージのクレスタというコンセプトでした。
マークII3兄弟は若いユーザーだけでなく、ファミリー層にも支持され、月販2万台から4万台を記録する大ヒットを記録しました。
●日産8代目「ブルーバード」
高性能グレードだけでなくスタンダードグレードも人気となった8代目「ブルーバード」
日産は第二次世界大戦後に英国オースチンのクルマのノックダウン生産を開始し、その後自社開発を再開しました。
そして、1959年に初代「310型 ダットサンブルーバード」が発売されると、デザインやメカニズムは一気に進化しました。
以降、ブルーバードは代を重ね、1967年に発売された「510型 ダットサンブルーバード」は日本のみならずアメリカでもヒットを記録し、日産の世界進出の足がかりとなります。
こうしてブルーバードは日産の主力車種の1台となり、1987年に登場した8代目の「U12型 ブルーバード」は、それまでのコンセプトを大きく変えた、ターニングポイントとなったモデルです。
U12型 ブルーバードは先代のU11に続いてFFを基本として開発されました。発売当初は4ドアセダンと4ドアハードトップで、先代まであったステーションワゴンやバンは廃止。
ボディサイズは全長4520mm×全幅1690mm×全高1390mmと、同年代の「スカイライン」よりもコンパクトで、外観は角を丸めたスマートな印象で、先代よりも若々しいセダンとなりました。
搭載されたエンジンは全グレードとも直列4気筒で、排気量は1.6リッター、1.8リッター、1.8リッターターボ、そして2リッターディーゼルをラインナップし、トランスミッションは3速AT、4速AT、5速MTが設定されました。
8代目ブルーバードといえば、高性能な4WDモデルの「SSSアテーサリミテッド」ばかりがクローズアップされますが、それ以外のモデルでも基本性能が高く、日産のミドルクラスセダンとしてヒットしました。
●ホンダ4代目「アコード」
ベーシックなセダンとしてコンセプトを変えた4代目「アコード」
ホンダは1976年に「シビック」の上級車種として、初代「アコード」を発売しました。発売当初は3ドアハッチバッククーペのみでしたが、1977年には4ドアセダンを追加し、その後はセダンが主力となります。
1989年に登場した4代目では、先代のスポーティなイメージからベーシックなセダンへと変わり、新世代のモデルであることをアピール。
ボディサイズは全長4680mm×全幅1695mm×全高1390mmと、当時のミドルクラスセダンでは一般的な5ナンバー枠に収まるサイズで、外観は、3代目が流行のリトラクタブルヘッドライトを採用したのに対し、固定式の薄型マルチリフレクターヘッドライトに変更され、落ち着いた印象のフロントフェイスとなっています。
また、オーソドックスなセダンスタイルながら、角を丸くすることでボリューム感をもたせ、欧州車のような佇まいのスタイルを実現。
エンジンはトップグレードの「Si」シリーズに、150馬力を発揮する2リッター直列4気筒DOHCを搭載し、ほかにも2リッター直列4気筒SOHCのインジェクション仕様とキャブレター仕様、1.8リッターのキャブレター仕様が設定されています。
同時期にシビックが高性能化して若年層から人気で、「レジェンド」はさらに上級車だったことから、4代目アコードはファミリー向けにちょうど良いポジションのセダンでした。
なお、4代目は目を見張るような高性能モデルではありませんでしたが、好景気を背景に、品質にはかなりこだわって開発されたといいます。
その後、ボディバリエーションも増え、北米生産のステーションワゴンとクーペを追加ラインナップし、姉妹車として「アスコット」も販売されました。
■アウトドア派のファミリー層から絶大な人気となった2台
●三菱2代目「デリカ スターワゴン」
アウトドア派から絶大な人気を誇った2代目「デリカ スターワゴン」
現在、ミニバンで唯一無二のクロカン車として人気の三菱「デリカD:5」ですが、その先祖にあたるのが1BOXバン・ワゴンの「デリカ」シリーズです。
なかでも1986年に登場した2代目「デリカスターワゴン」の4WDモデルは、グリルガードを備えた本格オフロード車で、ボディは軽量化と剛性アップが図られたモノコックボディを採用し、舗装路での使い勝手や走行性能の向上が図られました。
エンジンは2リッターガソリン、2.5リッターターボディーゼルエンジン、2.4リッターガソリンが設定され、さまざまなニーズに対応。
1989年には4WDモデルにハイルーフ仕様を設定し、広い室内だけではなく、ルーフをガラス面で覆った開放感あふれる「クリスタルライトルーフ」が装備されました。
また、1990年8月のビッグマイナーチェンジでは、外観デザインの大幅な変更や、クラス初となるプロジェクターヘッドランプの採用と、質感の高いインテリア仕様とした「デリカ スーパーエクシード」を追加。
本格的なミニバン登場以前は、多人数乗車のモデルというと1BOXバンをベースにした乗用ワゴンが主流でしたが、どうしても商用車のイメージが色濃く残っていました。
その点、デリカ スターワゴンならば、アウトドアギアのような機能美が感じられ、アウトドア派のファミリー層から絶大な人気を誇りました。
●スバル初代「レガシィ ツーリングワゴン」
オールマイティに使える高性能ワゴンとして大ヒットした初代「レガシィ ツーリングワゴン」
現在、スバルが提唱する水平対向エンジンと4WDシステムを組み合わせた「シンメトリカルAWD」の源流は、1971年に僅かな台数のみ生産された「スバルff-1・1300Gバン4WD」です。
そして、ff-1の技術を昇華させ、同年にスバル初代「レオーネ」が誕生。後に名車と評された「スバル1000」の後継車として水平対向4気筒OHVエンジンを搭載し、ボディタイプも2ドアクーペ、セダン、ライトバンを展開するなど、スバルの主力車種となりました。
しかし、980年代にはライバル車に対して旧態然とした設計では太刀打ちするのが困難になりつつあり、スバルは1989年に、すべてを新開発した初代「レガシィ」を発売。
ボディタイプはセダンとステーションワゴンの「ツーリングワゴン」が設定され、トップグレードには200馬力を誇る2リッター水平対向4気筒ターボエンジン「EJ20型」を搭載してフルタイム4WDが組み合わされ、高速走行から雪道までオールラウンドに使えるクルマで大ヒットしました。
なかでもツーリングワゴンは高性能ステーションワゴンブームのきっかけになったほど注目され、使い勝手の良さから幅広い層のユーザーから支持を受けました。
初代レガシィの誕生によってスバルの自動車開発に対する方向性は大きく変わり、後の「インプレッサ」や現在の「レヴォーグ」にも生かされています。
※ ※ ※
まだミニバンが無かった頃は、どんなクルマでもファミリーカーとして使われました。
たとえば、2ドアや3ドアハッチバックの2BOX車でも、後席へのアクセスの悪さはそれほど問題にならず、個人商店を営む家庭では、ライトバンがファミリーカーでした。
近年のファミリーカーというと最低でも4ドアであり、ミニバンならば後部両面スライドドアは必須です。
一度使い勝手の良さを経験すると、もう元には戻れないということでしょう。
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