突然の発表、トヨタ「プリウスα」生産終了 消えていった派生ワゴン5選
くるまのニュース / 2020年12月2日 6時10分
トヨタ「プリウス」の派生ワゴンとして2011年に登場した「プリウスα」が2021年3月末で生産終了することが正式にアナウンスされました。今回は、プリウスαと同じく消えた派生ワゴンを5台紹介します。
■サヨナラ、プリウスα。同じく消えた派生ワゴン達とは
トヨタは、ホームページ上にて「プリウス」の派生車となる「プリウスα」の生産を2021年3月で終了することをアナウンスしました。
今回は、プリウスの派生ワゴンとなるプリウスαのように、消えていった派生ワゴンを5台紹介します。
●トヨタ「プリウスα」
プリウスαは、2011年5月13日に発売されたモデルで、ベース車には3代目プリウスと同じプラッフォームを採用していました。
プリウスαの特徴は、3代目プリウスと同じ「圧倒的な燃費・環境性能」や「新技術がもたらす先進性」を継承したハイブリッド専用モデルとして登場します。
モデル展開は、プリウスの2列シート車(5人乗り)とは異なり、2列シート車(5人乗り)と3列シート車(7人乗り)の2タイプを設定。
3列シート車には、トヨタのハイブリッド量産車として初めてリチウムイオン電池を採用していました。
グローバルにおいて「プリウスv(北米仕様・2列シート車)」や「プリウス+(欧州仕様・3列シート車)」という名称・仕様で販売された実績もあります。
ボディサイズは、全長4615mm×全幅1775mm×全高1575mm(グレードや年式により異なる)と、3代目プリウスよりもひと回り大きく、多様化するライフスタイルに応えられるように考えられていました。
しかし、最初では2019年9月にカローラシリーズが12代目へとフルモデルチェンジ。
この際、カローラ(セダン)とカローラツーリング(ワゴン)が設定され、プリウスαよりも性能や機能、使い勝手が向上していることや、価格が安価に設定されていたこともあり、需要や人気をカローラツーリングに譲ったことで、販売台数が低迷します。
さらに、トヨタが以前から進めている「国内ラインナップを半減する」という方針などもあり、今回の生産終了となったようです。
●トヨタ「クラウンエステート」
2020年11月に「次期型クラウンはセダンを廃止して、クロスカントリー車を検討」という報道が流れました。
現在では、「クラウン=セダン」という印象が強いですが、かつてはさまざまなボディタイプをラインナップしています。
初代クラウンは、1955年に誕生。その後、1962年に登場した2代目からステーションワゴンをラインナップしました。
当時は、1車種で複数のボディタイプを設定するのが一般的で、とくにセダンをベースにさまざまな派生車を各メーカーが販売し、クラウンも4ドアセダンだけでなく、2ドアクーペやステーションワゴン、ライトバンなどが販売され、あらゆるニーズに応えていました。
その後、ステーションワゴンは1991年発売の9代目まで設定され、1999年には派生車として「クラウンエステート」に車名を変えて登場。
商用バンとは決別し、プラットフォームは11代目クラウンと共通化され、高級ステーションワゴンとして一新されています。
先代まであった格納式3列目シートは採用されず5名乗りとし、バリエーションは標準的な「ロイヤルシリーズ」と、スポーティな「アスリートシリーズ」を設定しました。
パワートレインは、2.5リッター/2.5リッターターボ/3リッターという3種の排気量が用意されましたが、全車直列6気筒となり、上質な走りと優れた静粛性を実現。
国内では数少ない高級かつ大型ステーションワゴンとして一定の需要がありましたが、ステーションワゴン人気の低迷から販売台数は徐々に低下します。
その結果、2007年に生産を終了し、2020年時点でクラウンシリーズ最後のステーションワゴンとなりました。
●「マークXジオ」
マークXジオは、2007年に発売されたステーションワゴンで、同社がかつて販売していた「マークIIブリッド」の後継モデルという位置付けで登場しました。
車名に「マークX」が付けられているものの、マークXとは別のプラッフォームやパワートレインを採用していたこともあり、車名以外での繋がりはあまりありませんでした。
ボディサイズは、全長4695mm×全幅1785mm×全高1550mm-1565mm、ホイールベース2780mmです。シートレイアウトは全車3列シートとし、6人乗りと7人乗りを設定。
従来の定義ではミニバンのジャンルに当てはまるものの、当時のトヨタはワゴンという形で販売し、キャッチコピーでは「ワゴンより贅沢に。ミニバンより優雅に。セダンより自由に。」という新たな市場を開拓するモデルとして投入されました。
パワートレインは、2.4リッター直列4気筒エンジンと3.5リッターV型6気筒エンジンの2種類となり、3.5リッター車のみ2WDのみの設定です。
登場当時の価格は、256万円から330万円と高級志向を持つワゴンとミニバンの好いとこ取りなモデルとしては、安価な印象を受けます。
しかし、マークIIそしてマークXの流れを完全に継承していなかったマークXジオは登場から6年後の2013年に生産および販売を終了しました。
なお、マークジオの後継モデル的なポジション(同じプラッフォームを使用)として、プリウスαが登場しましたが、前述のとおり2021年3月で生産終了となっています。
■ホンダ、日産にもあった…消えた派生ワゴン達…
●ホンダ「アコードツアラー」
1976年に誕生したホンダ初代「アコード」は、発売当初は3ドアハッチバックのみでしたが、すぐにセダンが追加されます。
3代目ではステーションワゴンタイプの3ドアハッチバック「アコードエアロデッキ」が登場しました。
そして、4代目では1991年にシリーズ初のステーションワゴン「アコードワゴン」を追加。
このアコードワゴンはアメリカホンダで生産される輸入車で、好景気という背景とワゴンブームの影響もあり瞬く間に人気となります。
その後もアコードワゴンはラインナップされ、2008年には車名を「アコードツアラー」とした5代目が登場するのです。
外観デザインは、欧州のステーションワゴンに通じるスタイリッシュなフォルムとなり、実際に北米仕様ではなく欧州仕様と共通のボディを採用していました。
パワートレインは全車に2.4リッター直列4気筒搭載して最高出力206馬力を発揮。5速ATとの組み合わせで上質でスポーティなステーションワゴンに仕立てられています。
2011年のマイナーチェンジでは、2リッターエンジン搭載車が追加されるとともに、2.4リッターエンジン搭載車には、高い運動性能と快適性を両立した「タイプS」を追加。
タイプSは、外観デザインも専用デザインのフロントグリルやヘッドライト、空力性能に優れたフロントスポイラーやサイドシルガーニッシュなどを採用して見た目も走りもスポーティに仕上げられていました。
さらに、専用セッティングが施されたサスペンションや、フロントブレーキディスクを17インチ化するなど、実際の走行性能も向上。
しかし、アコードツアラーが登場した時点で、すでにステーションワゴンの人気は下落していたこともあり、2013年には国内モデルを生産終了しています。
ヨーロピアンテイストのデザインが特徴的な「アコードツアラー」
●日産「プリメーラワゴン」
かつて日産がラインナップしていた派生ワゴンとして「プリメーラワゴン」が挙げられます。
初代プリメーラは、1990年に登場しましたが、日本ではセダンのみの販売でした。
2代目プリメーラは、1995年に登場し、当初は初代同様にセダンのみでしたが、遅れて1997年にプリメーラワゴンが追加されました。
パワートレインは、1.8リッター/2リッターの2種類、トランスミッションは、CVT、4速AT、5速MTを設定。
2001年には、3代目プリメーラワゴンが登場。パワートレインは、1.8リッター/2リッターに加えて2.5リッターも追加されたほか、トランスミッションは、CVTと4速ATは変わらないものの、5速MTが6速MTに変更されています。
その後、2005年には日本での生産および販売が終了したことで、2世代で8年という歴史に幕を下ろしました。
※ ※ ※
日本では、年々ステーションワゴン人気が低迷しているとされますが、欧州ブランドのステーションワゴンは現在でも一定数の人気を誇っています。
今回、プリウスαの生産終了が明らかになりましたが、4代目となる現行プリウスのプラッフォーム(GA-C)を用いた新型モデルが登場する可能性は、昨今の動向から考えても低いかもしれません。
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