フェラーリ「250GT」が新車で蘇る!? 古くて新しいレストモッドとは?
くるまのニュース / 2020年12月3日 8時10分
レストアとモディファイを掛け合わせた造語「レストモッド」。いま、クラシックカーの世界では、このレストモッドに注目が集まっている。
■クラシックカーを再生産して現代に蘇らせるのが、密かにブーム
レストモッド(Restomod)という楽しみがあるのを、知っている人はどれだけいるだろうか。レストモッドとはクラッシックカーの嗜み方のひとつで、そもそもはレストアとモディファイを掛け合わせた造語だ。
その言葉が物語るように、完全なオリジナルにこだわらず、現代の最新パーツを採用することでアップデートを図り、より快適なクラッシックカーライフを送ることを可能にすることをレストモッドと呼んでいる。
このレストモッドの究極的な例が、クラッシックカーの再生産だ。
ジャガーではこのクラシックカーの再生産を「コンティニュエーション」と呼び、2014年「Eタイプ・ライトウェイト・コンティニュエーション」を発表している。
またアストンマーティンも同様の事業をおこなっており、「DBZセンテナリーコレクション」は、つい最近大きな話題となったレストモッドの代表的な例だろう。1960年代の名車の復刻モデルである「DB4 GTザガート コンティニエーション」と最新の「DBS GT ザガート」の2台セットでの19セット限定販売、価格はおよそ7億9000万円だった。
このほかアストンマーティンでは2016年からは「DB4」のレース仕様といえる1959年製「DB4 G.T.」を再現した「DB4 G.T.コンティニエーション」を25台限定で復刻している。
ベントレーでは、「ブロワー・コンティニュエイション・シリーズ」という名称で、1929年にサー・ティム・バーキンが製作しレースに参加した「チーム・ブロワー」を12台限定で現代に蘇らせるプロジェクトを立ちあげている。
こうした復刻版モデルでは、当時の治具やオリジナルの金型なども使用するが、最新の製造技術も駆使して、かつての名車を現代に蘇らせている。そしてどうやら、このクラシックカーの再生産は、英国で盛んなようだ。
今回紹介するのは、同じく英国のフェラーリ・スペシャリストとしてエンスージアストにその存在を広く知られる「GTOエンジニアリング社」が、これまでのノウハウを広く活用して完成させたレストモッドの1例である。
「V12モダナ」と呼ばれるこのモデルは、ボディシルエットからも想像がつくように、フェラーリが1959年から1962年にかけて生産した、「250GT SWB(ショート・ホイールベース・ベルリネッタ)」の現代版である。
■今風にスパイスを振りかけるのがレストモッドの醍醐味!
250GT SWBのオリジナルシャシを所有していたGTOエンジニアリングは、現代にマッチしたモデルを製作するために、まずそのシャシの改良を決断。
スチール製のスペースフレームは、さらに軽量で高剛性なアルミニウム製のサブフレームを追加して強化され、ボディには軽量なカーボンファイバーが使用された。
「GTOエンジニアリング社」が手掛ける「V12モダナ」には、ダブルバブルが採用される
最新の4輪独立型のサスペンション、そしてブレーキもさらに大型化されたディスクブレーキが与えられ、軽量でありながら1960年代当時のブレーキとは比較にならないほどに強力な制動力を発揮するようにチューニングされた。
ボディデザインは、そのシルエットこそ250GT SWBのそれを意識しているが、ディテールにはいくつかの変更点がある。つまりそれは完全なコピーではなく、GTOエンジニアリングによるレストモッドによるものなのだ。
特徴的なのは、フロントグリル上のエアインテークだろう。そこには250GTOのような3連のインテークが並び、さらにボンネット上には、そのパフォーマンスを想像させるパワードームが設けられている。
ルーフはエアロダイナミクスとキャビンの居住性を高めるためにダブルバブルのデザインを採用。エアコンが純正装着されるため、クラシカルな三角窓は廃止されている。
250GT SWBの後期型で採用されたボディサイドのエアアウトレットは、このV12モダナでは健在だ。
フロントに搭載されるエンジンは、V型12気筒DOHCの自然吸気とまで発表されているが、そのパワースペックはカスタマーの希望によって調整が可能だという。車両重量は1000kg以下というから、そのパフォーマンスは、往年の250GT SWBをも上回ることになるだろう。
レストモッドという新しい旧車の楽しみ方は、これからますますマニアの間で流行しそうな気配だ。
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