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未納額は計7000万円! なぜ14年も車両を放置? どのような対処が可能なのか

くるまのニュース / 2020年12月14日 9時10分

兵庫県神戸市で、14年間にわたり車両が放置されていた事案が話題となっています。実際、駐車場に長期間、車両を放置するとどのような対処となるのでしょうか。

■14年間も車両を放置!耐えかねた神戸市が所有者を提訴することが決定

 兵庫県神戸市の市立駐車場で、14年に渡って放置されていた車両が見つかったといいます。
 
 車両を長期に渡って駐車場に放置しているといった事例は一体どのようなものなのでしょうか。

長期間にわたり駐車している様子。放置された場合にまずは張り紙などで警告される。(画像は神戸市とは別のもの)長期間にわたり駐車している様子。放置された場合にまずは張り紙などで警告される。(画像は神戸市とは別のもの)

「放置自転車」のニュースを見かけることは多いですが、車両に関しても同様の問題が発生しています。

 長期間放置された放置車両があると駐車場の枠がひとつ埋まってしまい、駐車場の利益が圧迫され、駐車場にも利用者にも損失を与えます。

 今回、神戸市が設置する有料駐車場の市立「三宮駐車場」では、2006年3月には当時の指定管理者によって、問題の車両が一定期間止められたままになっていることが確認されています。

 しかし、所有者に催告しても反応はなく、2014年10月に宛先不明で返送されていることが判明。

 さらに、この1台だけではなく、ほかの7つの駐車場でも19台の放置車両が発見され、計20台の未納料金は合計で約7000万円にものぼるといいます。

 当時の市の条例には使用期間の制限はないため、長期間置かれているだけでは違法になりません。

 適切な対処法が明記されていなかったことがここまでの長期駐車を許した原因のひとつといえます。

 神戸市は、三宮駐車場の放置車両の使用者に駐車区画の明け渡し及び駐車料約618万円を求めて提訴する方針を固め、関連の議案を11月の議会に提出し、三宮駐車場以外の3台についても、すでに訴訟を起こしているようです。

 これに対しては14年間にわたって放置していたことへ「職務怠慢」として市の対応を批判する声もあがっています。

 今回の放置車両について神戸市の担当者は、以下のように話します。

「(14年間駐車されていたクルマについて)所有者に催告書を送っても反応がなく、貼り紙を貼るなども考えましたが、当時使用期間についての条例がなかったこともあり、何の対処方法もありませんでした。

 所有者本人に『駐車している』といわれてしまえばそれまでですし、市として勝手に動かすこともできず、弁護士と相談の末、裁判を通じての訴訟をすることとなりました。

 今回の件を受けて、2020年4月から使用期間を最長7日間とする条例改正をして、7日間以降の駐車は許可がないとできないよう定めています。
 
 本来、長期駐車になる前に所有者に連絡を取り出庫してもらうのが一番なので、今後はルールを守って駐車場を利用してもらいたいです」

■クルマを駐車場に置きっぱなしにするとどうなる?

 駐車場にクルマを放置したまま連絡もなく車両を引き取りに現れない、もしくは車両の引き取りを拒否するというトラブルは以前から問題視されています。

 国土交通省では、長期滞留車の問題に対処するため、駐車場利用者の利益の保護することを目的に、個々の駐車場の管理規定を定める雛形である「駐車場管理規定例」を2005年に策定しました。

 もともと駐車場管理者のなかには、長期滞留車に対して車両の移動を含め何らの措置を講ずることができないと理解している人や、法的に担保がない限りは車両を廃棄することは刑法違反(器物損壊)にあたると考える人がいるといった背景があり、放置車両に強く対処できないままになっている点が問題視されていました。

 駐車場管理規定では、長期の放置車両に対する対処法が明確に定められており、さいたま市の公式ホームページでは、第18条(引取りの請求)により、「1回の駐車の利用期限である7日あるいは定期駐車契約終了後7日を超えて駐車している場合は、当該車両の引き取りを請求できる」と規定されています。

無断駐車などの不正利用で罰金1億円の請求を警告している看板無断駐車などの不正利用で罰金1億円の請求を警告している看板

 そのほか、「車両の持ち主の調査」「車両の移動」についても規定があり、7日以上放置した場合は、所有者に通知または駐車場に掲示したうえで別の場所に移動させることが可能となり、手順を踏むことで、放置車両を撤去できることが明示されています。

 車両の引き取りを催告したのに期限内に引き取りがなされない場合は、催告した日から3か月を経過した後で利用者に通知し、駐車場の見える位置に掲示・予告したうえで、公正な第三者を立ち合わせて車両の売却・廃棄の処分をすることが可能となります。

 車両を処分・移動・保管に要した費用から処分によって得た収入があれば控除し、不足があればクルマの所有者が支払いをすることになります。

 駐車場管理規定によれば、一定期間以上放置した車両は処分されてしまうほか、処分に要した費用はクルマの所有者が負担することになるようです。

 ちなみに、民間企業が運営するコインパーキングの多くは、1回の駐車時間が最大48時間と定められています。

※ ※ ※

 神戸市では、前述の駐車場管理規定のように放置車両は粛々と処分されることになります。

 今後、今回の事例が発端となり、全国で点在する放置車両問題が解消されることが望まれます。

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