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販売好調なクルマに共通点? 軽や5ナンバーで背の高いワゴンが人気な理由とは

くるまのニュース / 2020年12月21日 9時10分

2020年12月4日にフルモデルチェンジしたスズキのコンパクトハイトワゴン「ソリオ/ソリオバンディット」は、プラットフォームやパワートレインには大きく手を入れなかったものの、居住空間の部分には重点を置いて開発したといいます。昨今では、コンパクトで背の高いワゴンが人気の傾向にありますが、なぜなのでしょうか。

■なぜコンパクトで背の高いワゴンがジャンルを超えて人気なのでしょうか。

 売れているクルマのジャンルといえば、軽自動車やコンパクトカー、ミニバン、SUVというのが一般的ですが、さらに細かく見てみると、コンパクトワゴンというものも存在します。
 
 例えば、日本一売れている軽自動車のホンダ「N-BOX」や登録車No.1の5ナンバーワゴンのトヨタ「ルーミー」はどちらも全長4m以下のコンパクトワゴンです。どちらも背が高いモデルですが、なぜ、コンパクトで背の高いワゴンが人気を博しているのでしょうか。

 昨今、注目されているのが2列シートのコンパクトなワゴン(ミニバン)で、軽自動車やコンパクトハイトワゴン、コンパクトミニバンなどがそれらに当てはまります。

 軽自動車では、さらに全高1700mm以上かつ後席スライドドアを採用する「スーパーハイトワゴン」と、全高1600mm以上かつ後席ヒンジドアを採用する「ハイトワゴン」に分類され、現在の軽自動車市場ではこのふたつで大半を占めるほどです。

 スーパーハイトワゴンでは、前述のN-BOXやスズキ「スペーシア」、ダイハツ「タント」、日産「ルークス」などが該当。ハイトワゴンでは、日産「デイズ」、ダイハツ「ムーヴ」、スズキ「ワゴンR」などが分類されます。

 こうしたなかで、2011年に初代、2017年に2代目が登場したN-BOXは、2020年時点で軽自動車市場では5年連続、登録車では3年連続で販売台数1位に輝いています。

 一方、コンパクトハイトワゴン(5ナンバー車/2列シート車)に分類されるトヨタ「ルーミー」、ダイハツ「トール」、スズキ「ソリオ」などが販売され、なかでもルーミーはトールのOEM車として2016年11月に登場以来、2017年、2018年、2019年と3年連続で首位となっています。

 なお、ルーミーは2019年9月にそれまで兄弟車として販売されていた「タンク」と統合されたことから、10月以降の販売台数ではタンク分が合算される形となり、さらに販売台数を伸ばしました。

 そして、コンパクトミニバンでは、全長4m強のトヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」が分類されます。

 また、シエンタとフリードは、3列シート車が基本となっていたこともあり、ミニバンに分類されますが、モデル(グレード)によっては2列シート車が設定されていることもあり、前述のスーパーハイトワゴンやコンパクトハイトワゴンと比較対象となる場合も多いようです。

 こうした背が高く、後席スライドドアを採用し、スクエアボディのワゴンタイプが人気となった背景にはどのようなものがあるのでしょうか。

 そして、軽自動車、コンパクトハイトワゴンを販売するそれぞれの販売店では、どのような傾向があるのでしょうか。

 N-BOXを販売するホンダの販売店は次のように話します。

「N-BOXはお陰様で、長く好調な販売を続けております。この人気の背景には、同クラス最大の居住空間や、使い勝手が良いシートアレンジなどがあるのではないでしょうか。

 N-BOXのお客さまはファミリー層が多く、荷物や人を載せる機会が多いことに加えて、女性が運転することもあり、広くて扱いやすい軽自動車を検討されることが多いです。

 また、高齢者のお客さまではこれまでセダンやミニバンなどに乗られていたけども、夫婦だけでの移動で良いから扱いやすく安全なものを希望されることがあります。

 N-BOXは安全運転支援システム「ホンダ センシング」を全車標準装備していますので、安全性が高いというのも人気のポイントといえるかもしれません」

 次に、ルーミーを販売するトヨタの販売店は次のように話します。

「ルーミーは、丁度良い使い勝手が大変好評です。

 検討されるお客さまは、軽自動車からのステップアップと3ナンバー車からのダウンサイジングユーザーの両方がいらっしゃいます。

 軽自動車では、背が高く室内空間が広かったハイトワゴンから乗り換える際に同様のパッケージを持つルーミーが候補に上がります。

 一方で、ミニバンなどから乗り換えるお客さまも同様のパッケージを維持しながら、排気量やボディサイズが小さく、経済性や扱いやすさでメリットがあるルーミーにされる人も少なくありません」

 また、2020年12月4日にフルモデルチェンジして発売されたソリオの開発担当者も「好評な居住空間をさらに拡大することに重点を置いています。今回の新型では、後席や荷室がさらに余裕のある仕様となりました」と説明しています。

 これらのように、広い室内空間というのは共通したユーザーのニーズだということが分かります。

 では、ユーザーのニーズにはどのような変化があったのでしょうか。国産自動車メーカーの担当者は次のように話します。

「セダンがメインだった約30年前、3列かつ積載性があるミニバンが登場したことで、ユーザーの価値観がそれまでとは変わったと聞いています。

 それ以降、実際にミニバン市場は拡大していき、今に至っていますが、同様に軽自動車やコンパクトカー市場も拡大や変化を遂げています。

 クルマに限らずどのような製品もそうですが、異なるジャンルの良い所を合わせたものが世の中に登場しています。

 クルマにおいては、日本の道路事情に合ったコンパクトなボディサイズ、狭いスペースでも乗り降り可能なスライドドア、そして移動する際に荷物を沢山詰める積載性などのニーズに対応するべく登場したのが、軽自動車のスーパーハイトワゴンやコンパクトハイトワゴン、そしてコンパクトミニバンなのではないでしょうか」

※ ※ ※

 コンパクトな背の高いワゴンが近年人気な背景には、日本の道路や文化にマッチした理想的なクルマを求めた結果といえそうです。

■中途半端? 3列が基本のミニバンに2列を設定した理由とは

 軽自動車やコンパクトハイトワゴンは。そもそもそれぞれの規格などにより、ボディサイズが決められています。そのため、それにあった室内空間やシートレイアウトが設定されています。

 一方で、コンパクトミニバンは、ミニバンとしての特徴である3列シートを基本としながら、2列シートを設定するモデルも登場しています。

 その理由とはなんなのでしょうか。

 ホンダのフリードは、2008年に登場した初代モデルから5人乗りの2列シート車を設定していました。

 当時のホンダは、「低床設計を活かした余裕の荷室高により、たくさんの荷物が積み込め趣味やレジャーなどにも活用できる2列シートの5人乗りを設定した」と説明。その後、2列シート車を独立させた形で「フリードスパイク」を発売しています。

 2016年には2代目モデルを発売し、3列シート車をフリード、2列シート車を「フリード+」として展開しています。

 直近の販売動向について、前述とは別のホンダ販売店は次のように話します。

「2019年秋に、クロスオーバーテイストのデザインを採用した『クロスター』が新たに設定されました。

 これにより、2列シート車のフリード+の販売台数が伸びた印象があります。

 これまで3列シート車が基本でしたが、積載性やアウトドアなどのレジャーを意識したデザインが採用されることで、2列シート車の存在感が増した感じがします」

ホンダ「フリード/フリード+」に設定されたクロスオーバーテイストの「クロスター」グレードホンダ「フリード/フリード+」に設定されたクロスオーバーテイストの「クロスター」グレード

 一方のシエンタは、2003年に初代モデルが発売され、当初は3列シート車のみの設定でした。

 その後、2015年に現行となる2代目モデルが登場。しかし、車いす仕様以外では2列シート車は設定されず、あくまでも3列シート車のミニバンとして販売されます。

 しかし、2018年9月のマイナーチェンジでは、アウトドアや車中泊に最適な、2列シート車(5人乗り)を新設定しました。

 シエンタに2列シート車を追加した背景について、チーフエンジニアの粥川宏氏は次のように話します。

「2列シート車を追加した意図としては、2代目シエンタのユーザーを広げるべく、近年増加しているアクティブな中高年層が釣り、サイクリング、キャンプにピッタリなコンパクトスペースとして活用いだければと思いました。

 お客さまからは、『3列はいらないから、荷物が沢山詰めること』『車内で泊まれること(フラットで長いデッキ面、その上で体が起こせる空間を持つこと)』『荷室空間をカスタマイズ出来ること』などの要望に応えるべく追加設定しました」

※ ※ ※

 また、粥川氏は「震災時の避難だけでなく、その災害にボランティアとして支援をされている人の宿泊場所としても活用いただけると思います」と語っています。

 実際に、近年ではアウトドアレジャーや車中泊といったものがトレンドとなっています。

 さらには、多発する災害時での活用も視野に入れたことで、商品化に繋がったようです。

 また、コロナ禍においてはスクエアボディのワゴンは、テレワークなどでも活用出来るなど、さまざまなシーンにマッチするいまの日本にもっとも適したクルマなのかもしれません。

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