メルセデス・ベンツ新型「Eクラスカブリオレ」はどう進化? E300に乗ってみた
くるまのニュース / 2021年1月5日 11時50分
2020年10月5日にマイナーチェンジを果たして日本にやってきた、メルセデス・ベンツの改良新型「Eクラスクーペ/カブリオレ」。エクステリアがよりダイナミックに変更されたが、その走りはどう進化したのだろうか。2リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載する「E300スポーツ」に試乗した。
■新たに加わった機能「ARナビゲーション」が画期的
メルセデスの乗用車のラインアップの中核をなす「Eクラス」は、早くからバリエーションの拡大に意欲的だったことも特徴だ。今でこそ「Cクラス」や「Sクラス」にもクーペやカブリオレがあるが、Eクラスにはずっと前の124系(初代Eクラス)のころにはすでに設定されていた。
現行型の5代目213系については、セダンの導入から1年たらず後の2017年5月にクーペが、さらに約半年後の2018年1月にカブリオレがそれぞれ日本上陸をはたした。そしてこのほど、セダンとステーションワゴンに続いて、2020年10月に同時にマイナーチェンジを実施した。
外観はAMGラインエクステリアが標準装備となり、外側をハイグロスブッラックでひきしめた最新デザインのダイヤモンドグリルを採用。Aウイングデザインとしたバンパーやパワードームを追加したエンジンフード、鋭角的なLEDポジションライトを配したヘッドライトやブロック状のLEDが際立つリアコンビランプなどにより、さらにスポーティ感が増している。
また最新世代のウルトラハイビーム付マルチビームLEDは全車に採用される。試乗した「スポーツ」は末広がりのグリル形状とされたほか、凝ったデザインのホイールが与えられたのも特徴だ。
インテリアや装備にも変更があった。AMGスポーツステアリングは斬新なデザインの3本ツインスポークとされ、ステアリングの保持を検知するセンサーが静電容量式になったおかげで、触れているのに保持せよと警告が出て煩わしい思いをすることもなくなった。
ツインスポークは多くの機能を配置できる点で有利。ただし、こちらにも静電容量式のタッチコントロールボタンが配されているが、慣れないとやや使いづらい印象もあった。
そのほか、12.3インチワイドディスプレイはタッチスクリーンとなり、より直感的な操作が可能となったほか、クーペのCOMANDコントローラーには、フラットでスクエアな最新デザインのタッチパッドが採用されたのも新しい。ただし、なぜかカブリオレは見送られたようだ。
メルセデス・ベンツ改良新型「E300カブリオレ スポーツ」のインパネ。AMGスポーツステアリングはセンサーが静電容量式になった
そして注目の「MBUX」には、ジェスチャーで操作できる機能が備わったほか、日本初のARナビゲーションが採用されたのはセダンやステーションワゴンと同様だ。試してみたところ、曲がるべき場所が直感的にわかるほか、カメラが捉えた画像が死角を補ってくれるので、横断歩道をわたる歩行者などを見落とす可能性も格段に減るので安全性にも寄与してくれる。これは本当に画期的だ。
安全面では、「アクティブブレーキアシスト」の対応可能なシチュエーションが増えたほか、停車時にドアを開けようとしたときに後方から接近するクルマや人がいると警告する機能等が加わった点が新しい。
■2リッター直4ターボのE300は重厚な音色を響かせる
今回、クーペとカブリオレは2リッター直4ターボエンジンを積む「E300 スポーツ」をドライブした。
メルセデス・ベンツ改良新型「E300クーペ スポーツ」の走り
同じ日に試乗したセダンとステーションワゴンの「E200」と比べると、どちらも性能的には十分ながら走りの違いは明らかだった。
1.5リッター直列4気筒ターボにBSG+48V電装システムを組み合わせたE200は、発進から緩加速時にモーターがアシストしてくれる感覚があるが、やはりE300のほうが加速の力強さで上回り、エンジンサウンドもE200は素のままのところ、E300はスピーカーの出す音が加わり、4気筒らしからぬ重厚な音色を聞かせる。
また、E300はこれまでオプションだったエアサスが標準装備になった。
これの味付けが絶妙で、しなやかでフラット感のある上質感な走りを味わわせてくれる。さらに、好みに合わせて3段階から走りのキャラクターを選ぶこともできる。走りに関する変更は伝えられていないが、心なしか従来よりもしなやかさと走りの一体感が増し、より気持ちよく走れるようになったように感じた。
そして、クーペはよりスポーティなドライブフィールを味わえるよう、やや引き締められていて、カブリオレはより優雅なドライブを楽しめるよう快適性を重視するなど、それぞれに相応しく走りの味付けが絶妙に差別化されている。しかも剛性面では不利なはずのカブリオレでも、オープンカーにありがちな車体の微振動が上手く抑え込まれていることにも感心する。
加えてカブリオレでは、メルセデスのオープンならではの付加価値のありがたみをあらためて実感した。
メルセデス・ベンツ改良新型「E300カブリオレ スポーツ」の走り
もともとサイドウインドウを上げるだけでも風の巻き込みが抑えられているところ、独自のドラフトストップを使うとさらに巻き込みが小さくなって、オープンカーらしい開放感をオープンカーらしからぬ快適な中で味わうことができる。さらに、ネックスカーフを併用すると冬場も寒い思いをすることなくオープンエアドライブを楽しむことができる。
メルセデスはセダンやSUVだけでなく2ドアのスペシャルティモデルの作り込みも素晴らしい。マイナーチェンジしたEクラスに触れて、あらためてそれを実感した次第である。
Mercedes-Benz E300 Coupe(Cabriolet) Sports
メルセデス・ベンツ改良新型「E300クーペ スポーツ」と「E300カブリオレ スポーツ」
・車両価格(消費税込):919万円(956万円)
・全長:4845mm
・全幅:1860mm
・全高:1430mm
・ホイールベース:2875mm
・車両重量:1770kg(1870kg)
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1991cc
・駆動方式:FR
・変速機:9速AT
・最高出力:258ps/5800-6100rpm
・最大トルク:370Nm/1800-4000rpm
・WLTCモード燃費:11.4km/L(11.3km/L)
・ブレーキ前/後:Vディスク/Vディスク
・タイヤサイズ:前245/40R19、後275/35R19
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