冬の凍結路を夏タイヤで走行するのは危険! 緊急時に備えたい物とは
くるまのニュース / 2021年1月4日 16時10分
寒い冬に気をつけたいのが、路面の変化です。雪はもちろんですが、路面の凍結に注意が必要です。冬用タイヤのスタッドレスの有効性や、いざというときに活用できる緊急対策グッズを紹介します。
■路面が凍結しやすい場所はどこ?
冬になると、路面の凍結に注意が必要です。路面に広がった水の層が冷えて凍るのが凍結路ですが、これは雪が降ったときだけでなく、雨や霜が蒸発せずに路面に残り、凍結してしまう場合もあります。
気温が氷点下になると、雪や雨も降っていないのに凍結する場所もあります。
凍結路を走行するうえで、注意すべきことはどのようなことなのでしょうか。
凍結しやすい道や場所は、「トンネルの出入り口付近」や「橋の上」、「交差点」「坂道」、「カーブ」、「日の当たらない場所」など、高速道路でも一般道でも、普段走行している場所も含まれます。
交差点では、多くのクルマが発進と停止を繰り返すことで路面の雪が圧縮され、「アイスバーン(ミラーバーン)」と呼ばれるツルツルの状態になりやすいものです。
また坂道では、場所によっては日差しが当たらなかったり、上方で溶けた水が下に伝う途中で吹きさらされやすくアイスバーンができやすいといえます。
とくに雪や雨が降ったあとの深夜や朝方は、放射冷却現象で空気中の水分が冷やされて霧が発生。霧(水蒸気)が路面に付着し、路面にできた薄い水の膜が凍結し、アイスバーンになりやすいのです。
そうなると夏タイヤでは路面をしっかり捉えることができず、滑ってしまいます。
さらに周囲の暗い時間帯では路面状況も視認しにくく、いつ滑ってもおかしくない状態となって危険です。
ちなみにマンホールの蓋なども凍結しやすいので、上を通過するときは慎重に走行しましょう。
■夏タイヤで凍結路に出くわしたらどうする?
冬用タイヤとして主流の「スタッドレスタイヤ」は、雪道での走行以上に、凍結路をいかに安全に走行できるかをテーマに進化してきました。
1980年代以前は、タイヤに鋲(びょう)がついた「スパイクタイヤ」が冬用タイヤの主流でした。
布製のタイヤチェーン
しかしこの鋲が舗装路の路面も削ってしまい、粉塵が出ることが問題視されたことから、1991年3月に販売が禁止になりました。
スタッドレスタイヤの開発は1980年代中盤から本格化します。スパイクタイヤと違い鋲(stud)がない(less)」ことから、スタッドレスタイヤと呼ばれています。
スタッドレスタイヤはゴムを柔らかくすることで雪道のグリップを確保していますが、雪だけでなく氷(凍結)への対応も必要です。
タイヤが凍結路で滑る要因が、タイヤと凍結した路面の間にできる薄い水の膜であることから、タイヤメーカー各社はこの隙間に入り込む水の膜を除去し、タイヤを路面に密着させる技術を研究。
その結果、あえて水を弾く撥水性ゴムを採用したタイヤや、水膜をゴムで吸水するタイヤなどが開発されました。
そして現在では、雪上や凍結路での走行性能だけでなくウエット性能やシャーベット路面でのグリップ性能、乾燥した道でのハンドリングや耐摩耗性能、摩耗による性能劣化を防ぐ技術なども盛り込まれ、スタッドレスタイヤは非常に進化したタイヤになっています。
最近では夏タイヤの性能を持ちつつ、さらに冬の雪道走行も可能な「オールシーズンタイヤ」も増えていますが、凍結路は不得意です。
冬の走行ではスタッドレスタイヤの性能的にはかなわない部分もあり、凍結しそうな道を走る機会が多い人は、スタッドレスタイヤに履き替えるのが最善策といえそうです。
しかし、普段あまり雪が降らないような地域に住んでいる人にとって、スタッドレスに履き替えるのは手間もお金もかかります。
そのような場合、緊急時に備えてトランクに載せておきたい便利なアイテムがいくつかあります。
まずは「タイヤソックス」と呼ばれる布製タイヤチェーンです。
タイヤチェーンと聞くと金属製や樹脂製のものを連想しますが、タイヤソックスはポリエステル系の布でできており、非常に軽量でコンパクトに折りたためるのが最大の魅力。
袋のような形状になっているので、まさに靴下感覚で簡単に装着でき、突然の雪や凍結路をとにかく走り抜けなければいけない場合などに重宝しそうです。
もうひとつは「スプレー式タイヤチェーン」です。
見た目は洗浄用スプレーと大差ありませんが、主成分が樹脂を原料としており、吹き付けるだけでタイヤ表面にざらつきを出すことができるというもの。摩擦力がアップすることで雪道での走行ができるというわけです。
一般的にスプレー式タイヤチェーンと呼ばれますが、布製チェーンとは異なりタイヤチェーンではないのでチェーン規制には対応できません。あくまで非常用と考えたほうがいいです。
スプレー式タイヤチェーンは製品によって性能のバラツキも大きいので、「○○kmまで走行可能」のような性能表記があるものを選びましょう。
※ ※ ※
路面が凍結しているときは、予測した運転を心がけるのも大切です。
タイヤが滑ってしまうと、ハンドル操作してもブレーキを踏んでもコントロールできない状態になります。
速度を落として走行し、急なハンドル操作やブレーキ操作をしないような運転を心がけましょう。
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