タイヤの空気圧不足で燃費が悪化!? 冬こそ小まめに空気圧をチェックすべき理由とは
くるまのニュース / 2020年12月27日 14時10分
気温が低下する冬に気を付けたいのが、「タイヤの空気圧」です。タイヤの空気圧が低下すると、どんなデメリットがあるのでしょうか。
■なぜタイヤの空気圧低下で燃費が悪化する?
冬になると、クルマのメンテナンスは手を抜きがちになるものです。
寒さゆえ、洗車の頻度も下がり、細かい部分のケアも後回しになってしまいますが、気温が下がる冬だからこそ、小マメにチェックしたいのが「タイヤの空気圧」です。
タイヤのなかは空気で満たされていますが、時間の経過とともに少しずつ自然に空気が抜けていきます。
この現象に加え、冬は気温が下がることで気圧も下がり、空気の体積が縮むことから、タイヤの空気圧が低くなりがちなのです。
タイヤの空気圧が足りないとどうなるのでしょうか。空気圧不足によるデメリットについて、タイヤ専門店の店長T氏に話を聞いてみました。
「タイヤの空気圧(内圧)が低下することで起こりうるデメリットは、まずタイヤのたわみが増えて転がり抵抗も増えるため、燃費が悪化することです。
走行中のタイヤはクルマの荷重が常にかかっているため、『たわむ→元の形状に戻る』を繰り返しながら回転しています。
空気圧が低いとその戻るエネルギーを熱として浪費してしまうので、結果として推進力を逃してしまい、燃費が悪化するのです。
次に考えられるのが『偏摩耗』です。たわみなどで変形した状態で使用を続けていると、接地面の荷重に偏り(かたより)が生じることでグリップ力が低下し、一部のみ摩耗が進むことがあります。荷重のかかった箇所は発熱量も増えるため、損傷もしやすくなるのです」
偏摩耗という言葉を聞いたことがある人も多いと思いますが、タイヤが正常に機能していないためにグリップなどにもバラツキが生じ、挙動も不安定になることもあるといいます。
また、「コード」と呼ばれるタイヤ内部のプライやベルトなどを形成する繊維や金属の糸が、段差に乗り上げた場合に切れる可能性が高まるそうです。
ではタイヤの空気圧が低いのはデメリットばかりなのでしょうか。
「オフロード走行などでは、適正よりも空気圧を低くすることで、泥道などグリップ力が低い路面でタイヤの接地面を増やす手法があります。
これを応用して悪路などでスタックした場合、一時的にタイヤの空気圧を下げて接地面を増やして脱出を試みることもできますが、あくまで緊急事態のみです。
一般道を走行する場合は、適正な空気圧のほうが乗り心地もいいと思います」(タイヤ店店長T氏)
■タイヤの空気圧が低下するとどんな症状が現れる?
タイヤの空気圧は燃費や乗り心地などに関わってくることがわかりましたが、タイヤの空気圧低下が疑われる症状とはどんなものなのでしょうか。
タイヤ店店長のT氏は次のようにいいます。
空気圧は高すぎても低すぎてもダメ
――タイヤの空気圧が低下すると、どのような症状が現れるのでしょうか。
「ステアリング操作がいつもより重く感じたり、据え切りや駐車場など低速での走行でタイヤが潰れる感触があれば、ほぼ空気圧不足が疑われます。
また走行中に左右どちらかにハンドルが取られる感覚がある場合も、空気圧不足の可能性があるといえます」
それ以外にも、路面の段差に対して上手に衝撃を吸収できなくなり、乗り心地が悪化します。これは運転席よりも後部座席に座る人のほうが違いを感じやすいようです。
もしタイヤに違和感がある場合は、最寄りのガソリンスタンドなどでみてもらってほしいとのことです。
――では逆に、高気圧を高めにしておけば問題が少ないのではないでしょうか。
「空気圧は高ければいいというわけでもないのです。空気圧が高すぎると『センター摩耗』といって、タイヤの中央部だけがすり減る偏摩耗の原因にもなります。
さらに路面の凸凹に対し過敏に反応するようにもなり、操縦安定性が低下するだけでなく乗り心地も悪化するようです。空気圧はあくまでバランスを考慮した数値内に留めるべきです」
――高速道路などの長距離走行では空気圧を高めにしておいたほうが良いといわれていますが、これは本当なのでしょうか。
「空気圧を高めにすることで転がり抵抗は若干減りますが、それによって燃費が大幅に改善することは少ないでしょう。
ただ多人数乗車や重い荷物を積載する場合などは、適正値より30kPa程度までなら高めておいても大丈夫です。しかし走行中はタイヤ内の空気にも熱が伝わり膨張しますので、それ以上入れ過ぎる必要はありません」
※ ※ ※
適正な空気圧であればタイヤ自体が衝撃を上手に吸収し、サスペンションも正常に作動します。
タイヤの空気圧は高すぎても低すぎてもダメ、適正に保つためにも小まめなチェックが必要になるということです。
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