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最終型は最良型!? VW「ゴルフGTIパフォーマンス」に乗って感じた熟成味とは

くるまのニュース / 2021年1月4日 11時30分

ドイツ本国ではすでに8世代目となるVW新型「ゴルフ」が登場、さらに新型「ゴルフGTI」も発売されている。2021年には日本にもやってくるというこの時期に、あえて最終型ともいえる「ゴルフGTIパフォーマンス」に試乗した。ドイツ車ではよく“最終型が最良”といわれるが、実際にどうだったのか。モータージャーナリスト岡本幸一郎氏のレポートだ。

■35扁平と薄いタイヤを装着するのにしなやかな乗り味

 本国ではとっくに新型「ゴルフ8」が登場し、すでに新型「ゴルフGTI」も出ていて、そう遠くないうちに日本上陸をはたすであろうこのタイミングで、あえて「ゴルフGTIパフォーマンス」をレポートしたい。

 ゴルフGTIには「TCR」というレース仕様の公道バージョンといえるストイックに性能を追求したモデルも存在したが、こちらGTIパフォーマンスはあくまでオンロードに主眼を置いた、ゴルフ7の集大成といえる高性能モデルだ。

 登場は2019年2月。通常のゴルフGTIに対して内外装の一部が専用の仕様となり、15ps増の245psに引き上げた最高出力と20Nm増の370Nmの最大トルクを発揮。トランスミッションには通常のゴルフGTIの6速から7速化したDSGを搭載するほか、足元にインチアップした19インチアルミホイールに低偏平のピレリPゼロを履いてDCCを標準装備し、ブレーキも強化するなど、走りに関しても小さくない変更が施されている。各部に配されたレッドのアクセントが目印だ。

 しっくりと体になじむマイクロフリースのシートの着座感も上々だ。エンジンは出力トルクが向上し、DSGが1速増えてギア比も変わったことで、アクセルワークに対する反応がゴルフGTIよりもだいぶ良くなっているように感じられた。ゴルフGTIでは空転を抑えるためか、もっと低回転域を絞られていたように記憶しているが、ゴルフGTIパフォーマンスではそこを詰めているようだ。

 アクセルを踏み増したときの加速フィールも、全体的にゴルフGTIよりも力強い。最近ではホンダ「シビック タイプR」やルノー「メガーヌ R.S.」など300psオーバーのFF車も出てきたことで、速さではゴルフGTIの存在感は以前より薄れてきたとはいえ、ゴルフGTIパフォーマンスは、「GTIに乗る醍醐味」を十分に味わえるものであることには違いない。

 驚いたのは快適性の高さだ。本当にこんなにペラペラなタイヤ(225/35R19)を履いているのかと思うほど、乗り心地はしなやかだ。低扁平タイヤの宿命といえる路面への当たりの硬さもなく、衝撃が伝わってこないほどだ。

VW「ゴルフGTIパフォーマンス」のタイヤサイズは225/35R19。試乗車はピレリ「Pゼロ」を装着VW「ゴルフGTIパフォーマンス」のタイヤサイズは225/35R19。試乗車はピレリ「Pゼロ」を装着

 ドライブモードの選択により走り味は相応に変わるものの、しなやかさが損なわれることはない。コンフォートやエコも含めノーマル以下を選ぶと、このクルマがGTIであることを忘れるほど静かで乗り心地のよい快適なクルマになる。切る側も戻す側もピタッと一致した正確なステリングフィールも素晴らしい。

■ゴルフR、ポロGTIとの違いとは

 ドライブモードを「スポーツ」モードにすると、アクセルレスポンスやシフトスケジュール、そしてエキゾーストサウンドが変わり、足まわりもひき締まる。

VW「ゴルフGTIパフォーマンス」の走りVW「ゴルフGTIパフォーマンス」の走り

 それでも路面の凹凸に追従してよく動く感覚はあまり変わらず、路面の突起を通過したときのアタック音だけ大きくなる印象で、ステアリングも手応えは増すものの、重いとまでは感じない。どうすればこんな味付けが可能なのか、感心せずにいられない。

 弟分のポロGTIに対しては、ドライブフィールがずっと上質で快適だ。ポロGTIも現行型はずいぶん上質になったように感じていたのだが、ワインディングに持ち込むと、いかにも弟分らしいヤンチャさを感じさせ、そこがまた楽しかったりする。

 だから走りの一体感という意味では、軽量でもあるポロGTIのほうが上だ。ただしそのあたりは、お互いに与えられたキャラクターの違いであり、ドライバーが目指す走りの趣向によってどちらかを選べばよいだろう。

 一方、「ゴルフR」に対しては車両重量が80kg軽いが、印象としてはもっと身軽に感じられる。

 とくにコーナー立ち上がりの挙動がだいぶ違って、パワーをかけてもゴルフRは4WDらしく安定しているのに対し、GTIパフォーマンスのスポーツモードでは少しだけ外に膨らんでトラクションコントロールが作動する。さらにそこから、今度はESPがブレーキを個別に最適に制御しているようで、小さな舵角を維持したままグングンと前に進んでいく。

 このあたり、標準のゴルフGTIはもう少し挙動が控えめだったような気もした。

 じつはゴルフGTIとゴルフGTIパフォーマンスでは、電子ディファレンシャルロックの「XDS」と電子制御油圧式ディファレンシャルロックというそれぞれ別の機構が与えられているという違いもあり、その差に加えてゴルフGTIパフォーマンスは、あえてFFの高性能車とはこういうものだと表現しているかのように感じられた。

 それはこのクルマが「パフォーマンス」たる所以でもある。このなんとも絶妙な味付けは、個人的にも非常に気に入った。ゴルフGTIパフォーマンス、楽しいぞ!

* * *

 すでに本国では、ゴルフ8をベースとした新型ゴルフGTIもリリースされているタイミングゆえ、多くの人の興味もそちらに向いていることに違いないが、よくいわれる「ドイツ車は最終モデルが最良」というフレーズは、ゴルフGTIにも当てはまりそうな気がする。

 まだゴルフ8に触れていないタイミングではなんともいえないものの、この完成度を超えるのはそう簡単なことではないように思えた。もしまだゴルフGTIパフォーマンスの新車在庫があれば狙うのも大いにありだろうし、いずれ中古車市場で流通した際にも、大いに目を向けるべき価値のあるクルマだと痛感した次第である。

VW「ゴルフGTIパフォーマンス」のインパネVW「ゴルフGTIパフォーマンス」のインパネ

Volkswagen Golf GTI Performance

・車両価格(消費税込):483万9000円
・全長:4275mm
・全幅:1800mm
・全高:1470mm
・ホイールベース:2635mm
・車両重量:1430kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1984cc
・駆動方式:FF
・変速機:7速DSG(DCT)
・最高出力:245ps/5000-6700rpm
・最大トルク:370Nm/1600-4300rpm
・タイヤサイズ前後:225/35R19
・JC08モード燃費:14.0km/L

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