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どこが変わった? ロールス・ロイス新型「ゴースト」の魔法の走りとは

くるまのニュース / 2020年12月29日 16時10分

2020年9月1日にフルモデルチェンジ、世界初公開を果たした2代目となるロールス・ロイス「ゴースト」。早くもその試乗会が日本において開催された。新型ゴーストはどのように進化したのだろうか。

■11年ぶりのフルモデルチェンジ 新旧の見分け方は?

 11年ぶりにフルモデルチェンジしたロールス・ロイス(R-R)新型「ゴースト」に試乗した。

 この試乗の2か月前、先代ゴーストに3日間乗るチャンスがあり、長距離ドライブも体験していたので、新型ゴーストがいかに変わったのかを解説しよう。

 R-Rのオーナーでない人が新旧ゴーストを見ても、どこが変化したのかすぐにはわからないだろう。外観で見分けるポイントはフロントにある。

 ヘッドライトのDRL(デイタイム・ランニング・ライト)が先代は左右とも四角く光っていたが、新型は内側からコの字になっている。

 もう少し近づいて来たら、ボンネットの開く部分がスピリット・オブ・エクスタシー(マスコット)の後ろで切れているのが先代。新型は先端から開く。

 新型では、ボンネットのリリースレバーを引くと自動的にマスコットが下に降りていくという仕掛けがある。そしてボンネットにはマスコットのところだけ穴が開いている。ちなみにボンネットの開け方は最新のBMWモデルと同じで、レバーを2回引きそのまま開ける方法だ。

 パット見ではほとんど見分けがつかないが、じつは新旧ゴーストで共通するのは、このマスコットとドアに内蔵されている傘だけだという。あとはすべて変わったというから、本当のフルモデルチェンジを施したのだ。

 ちなみに傘自体は変わらないというが、傘の収納場所はフロントドアからリアドアに移った。ドアを開けたときに、ドアの厚みの中に傘が入っていて、頭をワンプッシュ押し込むと傘が飛び出してくる仕掛けだ。

 以前はフロントドアに収納されていたので、傘がしっかり奥まで押し込まれていないと、傘の頭が出ていてBピラーにぶつかった。新型では収納場所がリアドアになったので、もし傘の頭が出ていても、傘がBピラーに衝突することはなくなった。

 RRは観音開きだから、傘がリアドアにあってもフロントドアを開ければ傘を取り出すことができるので、使い勝手は悪くなっていない。

 運転席に座ってエンジンをかけようとすると、先代と違ったのはエンジン・スタート・ストップボタンの位置だ。先代はハンドルより中央側、つまり右ハンドルなら左側だったのだが、新型では窓側になっている。ちなみに電子パーキングブレーキスイッチもセレクターレバーも窓側にある。

■ソフトで極上の乗り心地なのにスポーツカーのようなハンドリング

 試乗は栃木県・日光をベースに、中禅寺湖の周辺道路、いろは坂、宇都宮までの高速道路も走った。

ロールス・ロイス新型「ゴースト」のインパネロールス・ロイス新型「ゴースト」のインパネ

 というように色々なコースでハンドルを握って走ったのだが、最初にホテルのエントランス前のロータリーを半周したときに「全然違う!」と声を出してしまった。あまりにも滑らかに、振動を遮断したように静かに走った。エントランスは石畳状の路面だったが、厚いカーペットの上を走る感覚だったからだ。

 中禅寺湖の周りの道は舗装状態があまり良くないが、これは路面が冬に凍るからだろう。それでも新型ゴーストはゆっくりした上下動を伴うものの、路面の不整でも段差でもうねりでも滑らかに通過した。

 サスペンションは先代よりもソフトで、ストローク量も増えていると感じた。ウインドシールドに組み込まれたカメラが先の路面を読んで、事前にサスペンションの調整をしてくれるという。これはBMW「7シリーズ」から採用したものだが、新型ゴーストではさらに進化している感じだ。

 乗り心地で旧型との大きな違いがもうひとつ。バネ下のブルブルとした振動を感じないことだ。

 先代でも、路面段差を通過したときにはカドが丸く、小さな衝撃しか伝えずに快適な乗り心地を味わえたが、それでもバネ下の振動の残りは感じた。それが新型ではまったくなくなっている。R-R「ファントム」と「カリナン」と共通の独自プラットフォームを投入して剛性は高くなってはいるが、ポイントは「フロントダンパーのためのダンパー」だ。これはダブルウイッシュボーンのアッパーアームの微振動を吸収すべく、黄色いウレタンダンパーが上下にふたつずつ付いているもので、R-Rでは「ダンパーforダンパー」と呼んでいる。これが良い働きをしているようだ。

 ここからが新型の本当に凄いところだ。サスペンションがこれだけソフトでストロークもするのに、ハンドリングは素晴らしいのひとことなのだ。

 奥日光に向かうワインディングロードは、ゴーストには狭くタイトターンが多かったが、そこをスポーツカーのように走り抜けることができる。なんでロールを感じないのか? なんでゆらゆらしないのか? これだけの乗り心地をキープしながら、2.5トンの巨体を持て余すことなく走り抜けた。先がさらに小さく回り込んでいるタイトターンでも、前が逃げることなくハンドルを切り込むとノーズがインを向く。

「ポスト・オピュレンス(脱贅沢)」が新型ゴーストのテーマになったという。贅沢を極めるとシンプルになる。無駄なものを削ぎ落として洗練されたものに仕上げたという。

 先代ゴーストのオーナーでも、新型ゴーストにちょい乗りするだけで、その違いに驚くはずだ。

ロールス・ロイス新型「ゴースト」。ロールス・ロイスの伝統でもある観音開きドアを採用するロールス・ロイス新型「ゴースト」。ロールス・ロイスの伝統でもある観音開きドアを採用する

ROLLS ROYCE GHOST

・車両価格(消費税込):3590万円
・全長:5545mm
・全幅:2000mm
・全高:1570mm
・ホイールベース:3295mm
・車両重量:2590kg
・エンジン形式:V型12気筒DOHCツインターボ
・排気量:6748cc
・駆動方式:4輪駆動
・変速機:8速AT
・最高出力:571ps/5000rpm
・最大トルク:850Nm/1600rpm

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