ボルボ「XC60」電動AWDの魅力とは? 400馬力超のPHEVを雪上で試す!
くるまのニュース / 2021年1月6日 18時10分
2020年度中に日本で販売する全モデルを電動化すると宣言したボルボ。同社の売れ筋「XC60」のプラグインハイブリッドモデルを雪上で試乗しました。一体どんなモデルだったのでしょうか。
■ガソリン車・ディーゼル車を廃止! ボルボ全車が電動車に移行
ここ数年、日本市場でもっとも勢いのある輸入車ブランドといえば「ボルボ」でしょう。
世界販売台数では、世界の主要メーカーのなかでは下から数えたほうが早いと思いますが、2016年の「XC90」を皮切りに新世代モデルを矢継ぎ早に導入。2020年11月登場の「S60」で全ラインナップの移行が完了しました。
ここで一息と思いきや、2020年8月にボルボは大きな宣言をおこないました。
それは、「2020年度中に日本に導入するすべてのモデルを電動化する」という宣言です。
その後、僅かの期間でガソリン車、ディーゼル車がラインナップから落ち、プラグインハイブリッドと48Vハイブリッドに刷新されました。
ちなみに本国では発表済のピュアEVの「XC40リチャージ」は、2021年度中に受注が開始される予定です。
このように将来ビジョンに対する決断の早さはボルボの伝統でもあり、過去には「先進安全装備の全車標準化」、「最高速度180km/h制限」などもおこなわれています。
この辺りは小規模なボルボだからこそ可能なのかもしれません。
そんな電動化されたボルボの魅力をチェックするためにツーリングに出かけてきました。
ボルボの試乗イベントでは1000kmもの長距離を走ることが普通なのですが、今回の行程は「青森~八戸」と、ショートな距離での試乗です。
相棒はクロスオーバーSUVシリーズの次男坊「XC60」の最上級グレード「リチャージ プラグインハイブリッドT8 AWD インスクリプション」。
前輪は2リッターターボ&スーパーチャージャー(318馬力/400Nm)+モーター(47馬力/160Nm)、後輪はモーター(87馬力/240Nm)が駆動をおこなう電動AWDで、システム出力は400馬力オーバーという実力の持ち主。
このパワートレインは兄貴分のXC90にも搭載され、大柄なボディながら軽々と走らせますが、XC60はそれよりも190kg軽量です。
ちなみに、日本では末っ子SUVの「XC40」の人気が高いのですが、世界販売で見るとXC60がボルボ最量販モデルとなっています。
青森~八戸は普通に走ると約2時間なので、もちろん遠回りしてみます。雪を目指して、まずは青森県南部にある八甲田山系の火山起源の温泉「酸ヶ湯」に向かいました。
ちなみに酸ヶ湯がある八甲田山は、明治期に陸軍が雪中行軍訓練をおこない、山岳遭難史上最大の199人の死亡者を出した難関の地でもあります。
街中では「Hybridモード」をセレクト。ただ、よほどアクセルを踏まない限りエンジンは掛かりません。
試乗車のタイヤは「ピレリ・スコーピオン ウィンター」でしたが、下手なサマータイヤ顔負けのシッカリ感とロードノイズの少なさを実感。
ちなみにボルボはモデルイヤーを重ねるごとに乗り味(とくにエアサスモデル)が確実に洗練されています。
その証拠に従来は7000kmから1万kmくらいで足回り各部の渋さが取れてフィーリングが良くなってきましたが、今回のモデルはタイヤがノーマルではないことを差し引いても、おろしたてのモデルにも関わらずしなやかな乗り心地でした。
■電動AWDは充電がなくなると駆動はどうなる?
標高が上がるにつれて雪景色へと変わります。酸ヶ湯までの道は狭い上にタイトなコーナーが続きます。
そんな状況でも、XC60の見切りのいいボディと視界の良さ、穏やかな特性ながらも正確性の高いハンドリングから、すれ違い以外ではボディサイズを感じさせません。
ボルボ「XC60 リチャージ プラグインハイブリッドT8 AWD インスクリプション」
とはいっても、車両重量は2トン越えなので無理は禁物ですが、重いバッテリーをクルマの中心かつ低い所にレイアウトしていることも相まって、コーナリング時の姿勢は通常のガソリン車よりも安定しています。
途中でEV走行可能距離がゼロになりエンジン主体の走行になります。ちなみに初期モデルとは異なり、主要構成部品がほぼ全面刷新された「ジェネレーション3」へと進化しました。
パフォーマンスは変更ありませんが、個人的に気になっていた安っぽさを感じていた回転フィーリングやサウンドが改善されており、プレミアムブランドらしいパワートレインの質感になっていました。
電動AWDは各センサーの情報を分析しながら後輪に適切な駆動を与えていますが、Hybridモードでは前後のパワートレインの応答性の差なのか、一瞬FRのような挙動を見せます。
これを楽しいと見るかドキっとするかは人それぞれでしょう。安定性を求めるなら常時四輪駆動となる「Constant AWDモード」がいいと思います。
電動AWDは「充電がなくなるとフロント駆動になってしまう」と心配する人もいるようですが、EV走行可能距離がゼロになってもリアの駆動に使うモーターの電気は確保されているので心配はいりません。
そして、何事もなく酸ヶ湯温泉に到着。総ヒバ造りの大浴場「ヒバ千人風呂」が有名です、しかし今回は時間の都合で入湯できず、ここから八戸駅を目指します。
下り坂はBレンジで回生しながらの走行ですが、回生協調ブレーキはストロークが短いうえに硬めのフィーリングなので、雪道での細かいブレーキコントロールは慣れが必要かもしれません。
八甲田山を下った後、みちのく有料道路~東北縦貫自動車道を走ります。高速道路では全車速追従機能付ACC+車線維持支援機能(パイロットアシスト)を試しました。
他社にも同様のシステムはありますが、制御と人の感覚のズレが最小限なのもボルボの特徴のひとつだと思います。
それが高いレベルで実現しているのはボルボとスバル、そしてメルセデス・ベンツの一部のみです。
撮影のためにポートアイランドに立ち寄ってから八戸駅に到着。わずか半日のドライブだったので酸ヶ湯温泉に入らなくても疲れはまったくありません。
道中で何度も「このまま、東京まで帰っちゃおうか?」と考えたくらい、楽に運転できたのもXC60のおかげでしょう。
※ ※ ※
個人的にはEV走行距離がもう少し長いほうが(60kmから70kmは欲しい)が嬉しいですが、電動化という部分だけでなくクルマとしてのバランスに優れた一台だと感じました。
なかには「電動化=つまらない」と思っている人もいるようですが、ボルボはむしろ電動化によって魅力が増したと思っています。
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