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AT車の「O/D」ボタンなぜ消えた? 10年前は定番も姿を消した理由とは

くるまのニュース / 2021年1月9日 9時30分

かつて、国産AT車の多くにはシフトレバーの横側に「O/D」と書かれたボタンが配置されていました。しかし、最近のクルマではそのボタンを見かけることはありません。なぜ、かつては定番機能だったO/Dボタンは見かけなくなったのでしょうか。

■かつてはシフトレバーに横にあった「O/Dボタン」

 かつて、10年ほど前の国産AT車には、シフトレバーの横に「O/D」または「S」といった表記のボタンが配置されていました。
 
 しかし、最近のクルマではO/DやSといったボタンを採用するクルマは減りつつあります。なぜ、最近では見かけなくなったのでしょうか。

 古いクルマのカタログを見ていると、「新開発、O/D付4速ATを搭載」というような記載が載っていました。 

 O/Dとは「オーバードライブ」の略語です。技術的にいえば「変速比が1.000よりも低い変速比」を意味しています。

 昔はATといえば3速が普通だった時代、トップギア(=3速)の変速比は1.000(=エンジンとトランスミッションが同じ回転数で回る)、つまり直結状態でした。

 ただ、高速巡航など駆動力に余裕があるときには無駄にエンジンを回してしまうので、燃費や静粛性悪化の原因にもなっていたのです。

 そんなことからエンジン回転数を下げるためにオーバードライブ用のギア(=4速)を追加したというわけです。ちなみに世界初のO/D付4速ATは、1977年にアイシンAWが開発した「A43L」です。

 ちなみにオーバードライブギアを「使う/使わない」の判断はドライバーに委ねられ、シフトレバー脇(クルマによっては別の位置も存在)にある「O/Dスイッチ」のON/OFFでコントロールしていました。

 当時のATはストレート式がほとんどで、上から「P-R-N-D-2-1」というのが一般的です。

 なぜ、このポジションのなかにO/Dを入れず、わざわざスイッチ操作にしたのでしょうか。

 これには「1.シフトポジションを増やしたくない」、「2、基本は高速巡航時に使うので通常走行では使わない」、「3、スイッチのほうが操作は楽」などの理由があったと思われます。

 筆者(山本シンヤ)も実際に使ったことがありますが、高速巡航時に軽くエンジンブレーキを掛けたいときに、シフトゲート操作(当時ATは各ゲートの節度感が薄いので誤操作しやすかった)するよりもO/DスイッチOFFのほうが楽だったことを覚えています。

 そんなO/Dスイッチ、現在のクルマにはほぼ装着されていません。それはなぜでしょうか。

 それは「AT性能の向上」です。ひとつは「多段化」でトップギア=オーバードライブではなくなったことが挙げられます。

 例えば、レクサス「LS」の10速ATは7速が1.000で、8速から10速がオーバードライブです。

 加えて、「緻密な変速制御」が可能になったことも大きいです。従来は変速条件といえば車速やアクセル開度くらいでした。

 しかし、現在はさまざまなセンサーを駆使することで最適なシフトスケジュールを可能にしています。

■昔は定番文句だった「ATは燃費が悪い。現在はどうなのでしょうか。

「ATは燃費が悪い」というのもすでに過去の話で、緻密なロックアップ制御により、今やMTとほとんど変わらない燃費性能を実現しています。

 ちなみに世界初となる“本格的”な電子制御ATは1981年にアイシンAWが開発した「A43DE」です。

 トヨタの6代目「クラウン」の5M-GEU搭載の2.8リッターモデルに「ECT」という名で搭載されました。

6代目「クラウン」の2.8リッターモデルに“本格的”な電子制御ATが採用されていた6代目「クラウン」の2.8リッターモデルに“本格的”な電子制御ATが採用されていた

 変速制御にマイクロコンピューターを導入した利点を活かし、きめ細やかな変速制御やロックアップ作動はもちろん、3種類の走行パターン(ノーマル/パワー/エコノミー)が選択可能です。

 さらに現在はドライブモードとの連動やドライバーに合わせた学習機能、ドライバーが任意でシフト操作できるマニュアルモードやパドルのダウンシフト長押しで最適なギアまで自動で下がる機構など技術革新が進んでいます。

 そのため、本当の意味での「オートマチックトランスミッション(自動変速)」といえるものに仕上がっています。となると、もはやO/Dスイッチの出る幕は今後もないというわけです。

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