安全&快適に「車中泊」を楽しみたい! 達人に聞く注意すべきポイントとは?
くるまのニュース / 2021年1月17日 11時10分
自由にプランを決められる車中泊は、新たな旅のスタイルとして注目されています。車中泊初心者は、どのようなことに気を付けたらよいのでしょうか。実際に車中泊をしているベテラン趣味人に、車中泊の注意点やマナー、ノウハウなどを聞いてみました。
■自由に旅ができるのが車中泊のメリット
昨今のアウトドアブームに加え、新型コロナウィルスの流行により、他人との接触や密な状況を避ける宿泊手段として「車中泊」に注目が集まっています。
ひとくちに車中泊といっても、軽自動車やセダンで気軽に寝泊まりしたり、キッチンやベッドが備わるキャンピングカーを利用したりと、そのスタイルはさまざまです。
しかし、宿泊費用がかからず予約も不要なことや、ホテルのチェックインやチェックアウトアウト、食事などの時間に縛られずに済むこと、そして気兼ねなくペットと旅行できるなど、車中泊ならではのメリットはどのスタイルでも変わりません。
さっそく車中泊にチャレンジしたいところですが、いったいどんなことに注意すればいいのでしょうか。車中泊の経験が豊富な3人に話を聞いてみました。
釣りが趣味のMさん(30代・男性)は、もっとも魚が釣れるといわれている朝夕の時間帯が旅館やホテルの食事の時間とかぶるため、車中泊を選ぶようになったそうです。
「自分が重要視しているのは『場所』です。とにかくフラットな場所に駐車することが大事です。シートを倒して寝る、つまり身体は水平じゃなくても、ベースとなる車体が傾いているところで寝るのは意外なほどストレスなのです。
それと、近くにトイレがあることも大切なポイントです。飲料水の確保も大事ですが、それらはコンビニやスーパーで買ってくればどうにかなります。トイレも車内用の簡易な緊急トイレが販売されていますが、手軽さが魅力の車中泊でそれはちょっとと思ってしまいます」
Mさんがいうように、車中泊においてはクルマを停める場所は最大の問題です。たとえ道路上の路肩であっても場所によっては道路交通法に抵触する可能性があるます。
公共施設の駐車場では長時間の利用が禁止されていることも多く、高速道路のPA/SAや道の駅を宿泊地として利用している人もいるかもしれませんが、それらは施設利用時の駐車場であり、また安全運転のための休憩(仮眠)場所です。
車中泊は法律で明確に禁じられているわけではありませんが、周囲に迷惑のかからないようにしましょう。
もっと安心して寝泊まりしたいという人には、日本RV協会が推進している有料車中泊エリア「RVパーク」がお勧めです。
手軽な料金で法的に問題のない駐車スペースと24時間利用可能なトイレや電源が用意され、別途有償にはなりますがゴミの処理まで引き受けてくれるという車中泊派にはありがたい存在です。
基本的に予約は不要ですが、なかには要予約の施設もあるので、利用の前には公式サイトなどで確認しましょう。
また、RVパークといえど駐車エリアでの焚き火やバーベキューは禁止となっています。そうした行為を望む場合はオートキャンプ場の利用をお勧めします。
■暑さ・寒さ・防犯への対策はしっかりとおこなうことが大事
登山が趣味というTさん(40代・男性)は、宿泊施設のチェックアウト可能な時間帯は山に登るには遅すぎるということで、登山口の駐車場で車中泊するようになったといいます。
ポップアップテントを備えて屋根の上で車中泊できる
「気にかけているのは暑さ・寒さ対策と防犯対策です。外気の影響を少なくするためと外から車内を見えなくするために、カーテンやシェードですべての窓を塞いでいます。
いざ寝ようと思っても街灯が意外とまぶしいことがあるのですが、カーテンなどは光も遮断してくれるので助かります」
車中泊するときに、夏の暑さや冬の寒さへの対策をきちんとおこなわないと、命にかかわることもあります。
とはいえ、必要に応じてエンジンをかけ冷暖房を利用するのは多少ならしかたがありませんが、睡眠時など長時間アイドリングを続けるのは環境面からも安全面からもお勧めできません。
とくに冬場は、寝ている間に雪が積もってマフラーが埋まり、排気ガスがうまく排出できず車内に入り込み、一酸化炭素中毒になってしまう可能性があります。
そこで利用したいのがカーテンやシェードによる断熱・遮光です。吸盤付きシェードや、キャンプ用の断熱素材のシートを使うのも手ですが、専用のシェードが販売されている車種もあり、ぴったりサイズならではの効果が期待できます。
また、クルマのなかは意外なほど地面の冷え込みが伝わってきます。ラゲッジルームに寝具を用意して寝るような場合は、寝具とフロアの間にキャンプ用のマットや、断熱シート(アルミマット)を敷くと車内の保温に役立ちます。
車中泊で怖いのが犯罪に巻き込まれることです。
車上荒らしやイタズラ、強盗など、リスクは決してゼロではありません。ひと気がまったくない場所での車中泊はできる限り避け、外から人数などを把握されないよう車内を見えないようにするのが得策です。
ちなみに、Tさんは「車内にいるときは必ず集中ドアロックですべてのドアのカギをかける」とのことです。
Kさん(30代・男性)は、車中泊やキャンプといったアウトドアライフが趣味。それだけにさまざまな便利グッズを駆使して快適な車中泊を楽しんでいるといいます。
「僕が気を付けているのは『匂い』です。車中泊で出たゴミは家まで持ち帰るのがマナーですが、食べ物のゴミなどは時間が経つと臭うのです。
そのため、密閉できる容器や袋を用意して、それに入れるようにしています。
ゴミはクルマの外に置いておけばいいと思うかもしれませんが、風で飛ばされる可能性もありますし、野生動物を呼び寄せてしまうことになるかもしれません。安全のためにも車内で保管すべきでしょう」
また、グッズを活用することで、車中泊の快適性を高めることができるとKさんはいいます。
「あると便利なのがクッションです。段差を埋めたり、角度をつけたり、枕にしたり、同乗者との隔たりにしたりとさまざまな使い道があります。安いものでかまわないので多めに積んでおくことをお勧めします」
※ ※ ※
趣味のために積極的に車中泊をおこなっている3人に話を聞きましたが、異口同音に「まわりの迷惑にならないように」と話します。
邪魔にならない場所にクルマを停め、火を使った料理をせず、騒いだりせず、ゴミを持ち帰るようにするなど、マナーを守って車中泊をするように心がけましょう。
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