新車時2億5000万円のマクラーレン「スピードテール」は中古車だといくらになる?
くるまのニュース / 2021年1月27日 19時10分
正式発表前には、すでにソールドアウトとなっていたマクラーレン「スピードテール」。106台限定のスピードテールのデリバリーは、2020年に始まったばかりだが、はやくもオークション・マーケットに登場した。
■神格化されたマクラーレン「F1」にちなんで106台限定
マクラーレンのアルティメット・シリーズは、「P1」に始まり、「P1GTR」、「セナ」、「セナGTR」と続いた。その後継車、というよりも、ニューモデルとして2018年に誕生したのが、今回RMサザビーズのアリゾナ・オークションに登場した「スピードテール」だ。
ドライバーズシートをセンターにレイアウトするキャビンは、あのゴードン・マーレーが設計した「F1ロードカー」から継承されたもので、限定生産数もそれに合わせて106台に限られている。
そのF1ロードカーがこの世に誕生して、およそ26年後に生まれたスピードテール。そのメカニズムやスペック、あるいはパフォーマンスには、四半世紀近い時間の流れを直接的に感じることができる。
●2020 マクラーレン「スピードテール」
スピードテールの最大の特長は、その高性能でかつ美しいボディデザインだろう。基本構造体は、もちろんCFRP製のモノコックタブで、それをチタン繊維で補強することで、1992年のF1ロードカーでは実現できなかった軽量性と高剛性を実現している。
ボディももちろん、1992年では使用できなかった軽量素材が多用されている。キャノピーは一瞬ワンピースにも見えるティアドロップデザインで、グレイジングスイッチと呼ばれるスイッチを操作すると、フロントウインドウの上部はもちろん、サイドウインドウやリアクオーターウインドウの上部も同時に透過率を変更することができる。
そもそも優秀な空力性能を持つスピードテールだが、さらに興味深い機構といえるのが、テールに備えられたアクティブ・リア・エルロンだ。これはテール部の切り込みから左右の部分を飛行機のエルロンのように使用するもので、このコンパクトなスリットは、ヒンジなど一切の可変に必要なメカニズムを持つことなく、高速域では最大で27度上昇し、ダウンフォースを生み出す。もちろん減速時にはエアブレーキとしての機能を果たすということだ。
ちなみにマクラーレンがスペックシートで示す最高速は403km/h。ドアミラーがカメラ式であることや、フロントホイールに整流を目的としたリム・シールド状のカバーを装着しているのは、もちろんこのエアロダイナミクスを追求するためだ。
■オークション市場では未知数となる『スピードテール」の最低落札価格は?
リアミッドに搭載されるエンジンは、4リッターV型8気筒ツインターボである。
これはP1からの改良型でシリンダーヘッドの冷却効果向上やピストン設計の改良で、750ps以上を発揮することを可能とし、さらにマクラーレンのフォーミュラーEテクノロジーグループが開発したエレクトリックモーターとバッテリーを組み合わせ、これで312psを提供する。システム全体の最高出力は生産型で1070psというのが、マクラーレンからの正式な発表値になる。
参考までに0−300km/h加速は13秒ジャスト。最高速は先述のとおり403km/hを実現している。ちなみに新車価格は175万ポンド(邦貨換算約2億4900万円)からだが、すでに106台のすべてが完売している。
●2020 マクラーレン「スピードテール」
革新的技術が満載のマクラーレン「スピードテール」には、プレ値がつくのか注目が集まる(C)2020 RM Sotheby's
RMサザビーズのアリゾナ・オークションに出品されるスピードテールは、106台中36番目に製作された個体である。
2020年7月に発注され、同年秋にアメリカのフィラデルフィアのマクラーレン・ディーラーに納車された記録が残っている。
ボディカラーはヘリテージ・アトランティック・ブルーと呼ばれる、MSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ)のオーダーメイド色だ。ボディサイドのピンストライプとのコンビネーションで、雰囲気はかなりスポーティな印象に仕上がっている。
インテリアのフィニッシュも、MSOによってヴィンテージタンアニリンレザーやアルカンターラで、美しく仕上げられ、ゴージャスなテイストだ。
走行距離はわずかに30マイル(約48km)。スピードテールは、発表前にはすでにソールドアウトだったため、欲しくても購入できなかったスーパーリッチは数多い。
RMサザビーズが掲げた最低落札価格は、350万−450万ドル(邦貨換算約3億6000万−4億7000万円)。新車オーダー時のパーソナライゼーションにどれほどの金額がかかったかは定かではないが、エスティメートに1億円もの幅が設けられているのは、まだスピードテールがオークション・マーケットでの取引がほぼ皆無であることも関係しているのだろう。
スピードテールの購入を切望しても購入できなかったスーパーリッチにしてみれば、新車同然のスピードテールをすぐに手に入れる最後のチャンスかもしれないため、落札価格がどこまで上がるか予想しにくいということもある。いくらで落札されるのか楽しみである。
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