名古屋走りは減った? 愛知県が2年連続で交通事故死亡者数ワースト回避!減少の理由とは
くるまのニュース / 2021年2月7日 7時30分
16年連続で交通事故死亡者数ワーストだった愛知県が2019年、2020年とワーストを2年連続で回避しています。クルマが多く、広い道路も多いため事故が多い愛知県ですが、どういった理由でワーストを回避できたのでしょうか。
■16年連続交通事故死亡者数ワースト1位から脱却できた理由とは?
愛知県は、16年連続で交通事故死亡者数がワーストでした。しかし、2019年、2020年とワーストを2年連続で回避しています。
ご当地ルールとして「名古屋走り」などが有名な愛知県ですが、なぜ突如として2年連続でワースト1位を回避できたのでしょうか。
2003年から16年間連続で交通事故死亡者数ワースト1位を取るほど、愛知県は交通事故の多い都道府県となっていました。
愛知県は、トヨタのおひざ元としても知られており、、全国的に見てももっともクルマの登録台数が多い都道府県とされています。
自動車検査登録情報協会の20202年10月末時点での統計データによると、愛知県で登録されているクルマの台数は532万1702台となり、次に多い東京都の441万4433台と比べても圧倒的に多く、中国地方の合計台数558万5374台に匹敵するほどです。
愛知県は免許を取得している人口の割合自体も多く、警察庁交通局運転免許課が2019年の統計をまとめた「運転免許統計」によると、愛知県の運転免許保有者は512万8789人となっており、人口に対しての保有率は約67.9%となっています。
一方で、東京都は806万579人と数値は多いですが、人口に対しての保有率は約57.8%、大阪府は511万6697人で、人口に対しての保有率は約58%となっており、北海道は約63.3%、千葉県は約64.3%と各地域を見ても保有率では愛知県が上回っているといえます。
さらに愛知県は、ほかの地域に比べて面積が小さい割には道路が密集しています。
国土交通省によると、愛知県は各地域のなかでも道路の距離の数値が高く、北海道の91万2954kmに対し、愛知県は45万8621kmと道路の距離では4位にランクインするほど道路の総延長が長い県です。
愛知県での交通事故が多い理由について、愛知県交通安全協会のスタッフは以下のように話します。
「愛知県はクルマが多い、免許人口が多い、道路が長いといった理由が複雑に絡んだ結果、事故が多いといわれています。
加えて、スピードの出しやすい広い道路や、通称『名古屋走り』といわれる信号無視や方向指示器を出さずに車線変更をする運転など、重大事故がいつ起きてもおかしくない環境、状況となっています」
※ ※ ※
そんななか、愛知県は交通事故死亡者数ワースト1位を2019年、2020年と2連続で回避しており、16年連続ワースト1位から脱却しました。そこには一体どんな対策が取られたのでしょうか。
愛知県警の担当者は以下のように話します。
「16年続いた交通死亡事故ワーストを回避できた理由のひとつは、2015年に交通事故分析システムを改修し、運用してきた結果が2019年以降に出てきているといえます。
地区ごとの警察署にそれぞれ導入されており、過去10年近い交通事故のデータを見ることができるため、各地区の事故の傾向などを分析し、交通取締りを強化することで、死亡者が出るような重大な事故は少しずつ減ってきています。
また、統計で事故が多いと分かっている高齢者に対して、自主返納の提案やサポカー導入の案内をおこなっていることも要因のひとつだと思います」
■交通事故の救世主!? 交通事故分析システムとは?
2015年に改修された交通事故分析システムにより、その数値は目に見えて反映されています。
交通事故分析システムとは、標識や鉄道、公園などの地理的要因や過去の交通規制、交通量、天候データなどを分析することで、交通事故が発生しやすい場所や条件を明らかにします。
これにより、交通事故分析マップや事故情報を公開することで、道路利用者(運転者・歩行者など)に交通安全に対する意識向上に繋がることが期待されます。
導入後の統計データでは、警察庁の「令和2年中(2020年)の交通事故死者数について」によると、愛知県では2018年は189人、2019年は156人、2020年は154人と着実に減少しています。
全国の数値を見ても、2018年が3532人、2019年が3215人、2020年が2839人と右肩下がりで減少しています。
ご当地ルールとしても知られる「名古屋走り」が有名な愛知県。(画像は愛知県を代表する観光名所の名古屋城)
また、愛知県では交通死亡事故ではなく、人身事故も減少傾向にあります。
愛知県警の「人身事故の都道府県別ランキング」のデータをみると、2018年は愛知県が3万5258人でワースト1位となっていましたが、2019年は3万836人、2020年にいたっては、2万4879人と大きく数値が減少しています。
交通事故全体が大きく減少傾向にあり、交通事故分析システムの改修は大きな効果があったといえるようです。
※ ※ ※
愛知県は2019年にようやく交通事故死亡者数ワーストを脱しましたが、交通事故が多いという事実は変わりません。
クルマが多い、免許人口が多い、道路が長いなどの事実は変えられないため、引き続き取締りや啓発活動により運転者1人1人の意識の向上を図ることが求められます。
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