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億超えフェラーリの御用達ブランドリの今をレポート! 40周年記念の香りのサプライズとは

くるまのニュース / 2021年2月8日 15時30分

イタリアン クラシックカーのレストアで有名な「ブランドリ」。ブランドリは、コンクールデレガンスに出場するような著名なクルマのレストアだけでなく、オリジナルのアート作品も手がけている。そんなブランドリから、“香り”のサプライズが届いた。

■創業40周年を記念した粋なプレゼント

「今年、会社を起こしてからちょうど40年が経つの。その記念にブランドリ特製の車内用香水を作ったから、是非使ってみて」と、2020年10月に、モデナにある老舗カロッツェリア、ブランドリ社のチェチリアから素敵なサプライズプレゼントを頂いた。

 40周年の記念に、彼らがいつもお世話になっているヒストリックカーのカスタマーのために、香水を作ったとのこと。クルマの歴史を育んできたレザーやウッドの香りに寄り添うように、フレッシュな香りにしたという。

 そのプレゼントはリベットで封がされている羊革紙の封筒に入っていた。心地よい手触りの封筒でそれだけで特別感を放っていた。一体どんな香水が入っているのだろうか。

 このリベットはクルマの内装に使用しているものらしい。しっかり留めてあるので素手では開けられない。封筒を切ってしまうのは勿体無いがハサミを使って開封。

 なかには、長方形の黒いマット(艶消し)のボトルが入っていた。がっしりしたボトルで、重量感があり存在感があった。フランスから取り寄せたもので、この黒のマットはクルマをイメージして作ってもらったという。

 ブランドリの馬のマークが刻まれているアルミのプレートが、とてもエレガントだ。

カロッツェリア・ブランドリ40周年記念としてクライアントに贈呈用に作られたスペシャルな香水(非売品)カロッツェリア・ブランドリ40周年記念としてクライアントに贈呈用に作られたスペシャルな香水(非売品)

 そして手作りのキャップが、このボトルに更なる気品を与えていた。ひとつひとつ丁寧に作られたアルミのキャップは勿論ブランドリ特製。シンプルだけどなんともいえない美しさがあった。

 キャップを回した時の重さに高級感が漂っている。この精密な仕上がりは、貴重なクルマの鈑金を丁寧に、そして正確におこなって来たプロだからこそできる技だ。

 材質は彼らが普段使用しているアルミを使用している。キャップを見ていると、ボディの塗装を剥がしていく段階で徐々に顔を出してくるシルバーの地肌が連想される。もしくは、ピストンのようにも思えてくる。この香水のボトルは、そうしたクラシックカーのレストア工程を想起させてくれる。

 キャップを外してスプレーをプッシュ。クラシックカーが背負っている歴史の香りを守りつつ、爽やかな香りを送りたいというブランドリ。イタリア人の調香師とともに考えた香りは爽やかだけれど、強い意志を持つ大人の香りがする。

 ほのかな香りの余韻がいつまでも鼻腔に残る。現代のクルマの車内で使うには、勿体ない気持ちになる。やっぱりこの香水は、レザーシートのクラシックカーが似合う。

 ところで、老舗カロッツェリア・ブランドリとは、いったいどんな工房なのだろう。

■クラシックフェラーリのスペシャリスト、ブランドリとは

 1980年、エジディオ・ブランドリがモデナに設立したブランドリ社は、フェラーリを中心にヒストリックカーのボディのレストア、そしてヒストリックカーを維持するには欠かせない部品を制作している。

 ブランドリには、世界中からレストアのためにクラシックカーが送られ、クラシックフェラーリの部品のオーダーが数多く寄せられている。いまは「ディーノ246」や「275GTB」のリクエストがよく入るそうだ。これらの部品は、ブランドリでオリジナルの設計図から起こしたものばかりだ。

ブランドリ親子。左が息子のロベルト・ブランドリ、右が父であるエジディオ・ブランドリブランドリ親子。左が息子のロベルト・ブランドリ、右が父であるエジディオ・ブランドリ

 そんなブランドリ社が、2020年に40周年を迎えた。

 オーナーのエジディオはブランドリ社を設立する以前から、“叩き職人”としての長い経験があった。

 1940年に生まれたエジディオは1953年、13歳になったばかりの時にモデナの修理工場に丁稚奉公に出る。そこで力をつけた彼は1963年にスカリエッティ社に弟子入りをする。

 スカリエッティ社代表のセルジョ・スカリエッティはフェラーリのボディ・ビルダーでありエンツォ・フェラーリの友人として常にエンツォに寄りそっていた人物だ。1947年に設立されたフェラーリの数々の名車をエンツォと共にこの世に送り出してきた伝説の叩き職人である。

 スカリエッティ社が手がけたクルマは、「250カリフォルニア」、「250テスタロッサ」、「750モンツァ」、「250SWB」、「275GTB」、「250GTO」、その他、数々の歴史に残るフェラーリばかりだ。

 エジディオが入社した1963年は、ちょうどスカリエッティの工房でフェラーリ250GTOの最終モデルを製作していた時だったという。それから退社するまでスカリエッティの工房で、彼は後世に残るクルマのボディを自らの手で叩き、作り上げていった。

 エジディオのキャリアは250GTOから始まったが、工場には常に事故車や、レースに向けての点検などで、1950年代のクルマが次から次へと入庫していた。そのため、1963年にスカリエッティに入社したエジディオだけれども、1950年代に生産されたクルマも知り尽くしているという訳だ。

 スカリエッティ社がフィアットの傘下になった時に合わせて、エディジオは自らの名を付けたカロッツェリアを設立した。エディジオには「企業のなかでひとつの歯車にはならず、常にカスタマー、そしてクルマと直接向き合える形で丁寧に仕事をしたい」との思いがあった。それが1980年のことだったのである。

1963年からスカリエッティ社で経験を積んだエディジオいまも現役で、クルマと向き合って仕事を続けている1963年からスカリエッティ社で経験を積んだエディジオいまも現役で、クルマと向き合って仕事を続けている

 それから今日に至るまで、ブランドリはフェラーリの歴史を陰で支えてきた。1984年からは息子のロベルトが工房に入り、時には親子で意見を出し合いながら、毎日クルマと向きあっている。

 現在は3人の職人と共にモデナのブランドリの工場は、40年前と同じように「カンカンカンカン」と鉄の板を叩く音が鳴り響いている。まるでタイムスリップをしたように。

 現在、カロッツェリアの新たな部門としてロベルトが鈑金の技術を生かしたアートワーク デザインを作り、数々のアート作品を製作している。ブランドリだからできるアート作品、今後どんな作品が誕生するか楽しみだ。

 エジディオの80歳の誕生日と共に、カロッツェリア設立40周年というダブルのお祝いが重なったブランドリ社。これからもモデナの職人技術を継承しつつ、世界中に存在するクラシックフェラーリを支えていくことだろう。

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