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可愛い顔して本格派! 氷の上で走ってわかった「ホンダe」のスゴさとは

くるまのニュース / 2021年2月10日 19時10分

2020年10月に発売されたホンダの新型EV「ホンダe」。全長3895mmのコンパクトなサイズに丸目の顔を持ち、一充電走行距離は300km弱というモデルのため、シティコミューターとしての存在感がどうしても強くなるが、ホンダ渾身の作らしく、じつはその走りは相当レベルの高いものなのだ。今回は長野県・女神湖の氷上でホンダeの実力を試してみた。

■冬の女神湖 氷上でホンダeを走らせる

 「Honda e(ホンダe)」は、2020年秋に登場した電気自動車、いわゆるBEV(バッテリーEV)だ。

 丸いヘッドライト、角が取れた愛らしいエクステリアデザインなど、見た目にはメルヘンチックなイメージが強い。

 しかしある意味でホンダらしく、またオタクっぽく、マニアックなクルマづくりをしているから、個人的にとても気に入っている。2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーの10BESTの投票でも、筆者はホンダからはホンダeと「FIT」の2台に投票した。

 ホンダeがどこがマニアックなのかというと、後輪駆動でモーター軸の位置はリアアクスルの後ろ側にあるので、駆動方式はRRということになる。そして前後軸の重量バランスは理想的な50:50となれば、やはりその走りに期待してしまう。

 そこで長野県にある女神湖が凍結し、氷の厚みが40cmを超えたということで、ホンダeを氷上での練習会に引っ張り出し、参加者に乗ってもらった。

 最初から、横滑り防止装置のVSA(ESC)はオフにして、ツルツルの路面に出ていった。

 ハンドリング路の直線では、50km/hから60km/hくらいまで出せるが、ESCをオフにしているためにアクセルペダルをちょっとでも踏み過ぎると、後輪はホイールスピンしてお尻が横に滑り出す。そのままカウンターステアを当てながら直ドリ状態にもなる。これだけでも楽しい。

 直線の終わりは左カーブで、大きな半径から小さな半径に絞られていくところがとても難しい。そこに惰性で進入するとリアが滑り出し、またカウンターステアが必要になる。アクセルペダルをうまいところまで踏み込めれば、ドリフトを維持しながらコーナリングができる。

 ホンダeのスゴいところは、ドリフトアングルがかなり大きくなっても耐えてくれることだ。氷上だと、とかくスピンモードに入るとツルンと回ってしまうケースが多いが、ホンダeは粘ってくれる。極端にいえば、90度くらいまでハーフスピンしても、また戻ることができた。

■氷上でのホンダeはRRのハンドリングマシンだった

 ホンダeの、この氷上走行での粘りには3つの理由がある。

長野県立科町にある湖、女神湖(めがみこ)では、冬季凍結した氷上でドライビングレッスンをおこなうことができる長野県立科町にある湖、女神湖(めがみこ)では、冬季凍結した氷上でドライビングレッスンをおこなうことができる

 ひとつ目は、ESCの制御にはモーター制御とブレーキ制御があるが、ESCをオフにしたことでモーター制御はしなくなるが、ブレーキ制御は少し残るためだ。

 ESCがオンのときは、モーター制御もブレーキ制御も早めに介入するので滑り出すところまでいかないが、オフだとブレーキ制御の介入は遅くなり、ある程度の車速があるとオーバーステアからスピンしそうなときには、前の外側の車輪のブレーキ(左コーナーでお尻が右に滑ったら右前)をチョンチョンチョンと摘んで助けてくれる。

 もちろん、ちゃんとカウンターステアを当てられないとスピンしてしまうが、ドライバーのカウンターステアとESCのブレーキ介入により、スピンすることなくきれいに走らせることができる。

 ふたつ目の理由は、そのカウンターステアである。RRのためにフロントには使える空間がある。そこを転舵したときのタイヤのスペースにしたから、タイヤが大きく切れ、カウンターステアも大きく切れるのだ。

 これが、びっくりするほどよく切れる。4.3mという軽自動車より小さい最小回転半径にするためだが、氷上ではスピンを防ぐカウンターステアのために非常に役に立った。

 3つ目は、ホイールベースの長さによりZ軸廻りの回転、つまりスピンの動きがゆっくりになっているからだ。

 全長3895mmとコンパクトなボディながら、ホイールベースは2530mmと長く、路面のミューが極端に低い氷上走行を穏やかにしてくれるという効果が出ている。

 スキッドパッドでのドリフトも試してみた。ここでは極端に車速が低いので、ESCオフではモーター制御もブレーキ制御も介入してこない。フルにカウンターステアを当てながらも氷上でダンスを踊るようにドリフトで回ることができる。

 ここでのドリフトがしやすい理由は、BEVだからだ。アクセルペダルを踏んでモーター出力をコントロールするが、タイムラグなく反応してくれるから操りやすいのだ。もうひとつはアクセルペダルのゲインを高くしていないところも扱いやすくなっている理由だ。

 この日生まれて初めての氷上ドライブを体験したドライバーも、きれいなドリフトで円が描けていた。基本的な運転をマスターしていれば、ホンダeを氷上で操れることが立証された。それだけ素直に走るということだ。ホンダeを氷上で試乗した練習会参加者は皆ニコニコ顔でクルマから降りてきたのが印象的だった。

 ホンダeは、可愛い顔したおしゃれクルマかと思っていたら大間違い。氷上ではRRのハンドリングマシンに変身するのだ。

「ホンダe」の未来感あふれるインテリア「ホンダe」の未来感あふれるインテリア

Honda e Advance
ホンダe アドバンス

・車両価格(消費税込):495万円
・全長:3895mm
・全幅:1750mm
・全高:1510mm
・ホイールベース:2530mm
・車両重量:1540kg
・原動機種類:交流同期電動機
・モーター最高出力:113kW(154ps)/10000rpm
・モーター最大トルク:315Nm/0-2000rpm
・交流電力量消費率(WLTCモード):138Wh/km
・一充電走行距離(WLTC):259km
・駆動方式:RR
・タイヤサイズ:前205/45ZR17、後225/45ZR17

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