いま流行のSUV風モデルは昔からあった!? SUVテイストのコンパクトワゴン3選
くるまのニュース / 2021年2月10日 16時10分
近年、世界的に人気が高まっているSUVですが、舗装路の走行を重視したクロスオーバーが主流です。さらに、既存のモデルをベースとしたSUVテイストのモデルが、手軽に雰囲気が味わえるとあって好調なセールスを記録しています。そうしたSUV風モデルは古くから存在。そこで、往年のSUVテイストのコンパクトワゴン3車種をピックアップして紹介します。
■往年のSUV風ワゴンを振り返る
ここ数年で一気に人気が急上昇したクルマといえばSUVで、日本のみならず世界的にも好調なセールスを記録しています。なかでも主流となっているのが、舗装路での走行を重視した都会的なクロスオーバーと呼ばれるモデルです。
さらに、既存のコンパクトカーやコンパクトワゴンをベースに、SUV風にカスタマイズされたモデルも、手軽にSUVの雰囲気が味わえることから人気が高く、各メーカーから続々と登場しています。
そんなSUV風モデルは昔から存在しており、当時、人気となったモデルも存在。そこで、往年のSUVテイストのコンパクトワゴン3車種をピックアップして紹介します。
●三菱「RVR スポーツギア」
クロカン車に強い三菱だからこそヒットにつながった「RVR スポーツギア」
三菱は1982年に初代「パジェロ」を発売し、「ジープ」並の悪路走破性で乗用車に近い使い勝手の良さからヒットを記録。さらに1991年には2代目が登場するとアウトドアレジャー人気という背景から大ヒットし、RVブームをけん引しました。
このブームによって、同年にはトールワゴンタイプのSUVとして初代「RVR」が誕生しました。
初代RVRはミニバンの2代目「シャリオ」をベースに、シャシを短縮するかたちで開発されたモデルで、2列シートと片側スライドドアを備えたユニークなモデルです。
エンジンルームを小さくして全高を高くしたことで、比較的コンパクトなサイズながら広い室内空間を確保し、ミニバンに近いユーティリティによってファミリー層から人気となります。
搭載されたエンジンは、当初1.8リッター直列4気筒SOHCと2リッター直列4気筒DOHCガソリンでしたが、1992年には2リッター直列4気筒SOHCターボディーゼルを追加し、優れた経済性から主力グレードとなります。
駆動方式はFFとフルタイム4WDが設定され、この4WDモデルをベースに、よりRVに近いテイストに仕立てた「RVR スポーツギア」が1992年に追加ラインナップ。
フロントにグリルガードとスキッドプレート、背面スペアタイヤキャリアを備え、最低地上高は210mmまで高められており、ウインタースポーツやマリンスポーツの愛好者から人気を博しました。
RVRは三菱の主力車種の1台として1997年に2代目が登場して、2002年まで生産されました。その後、2010年にコンパクトなクロスオーバーSUVとして7年ぶりにRVRが復活し、現在も販売中です。
●日産「プレーリー JW-L 4WDノルディカバージョン」
元祖ミニバンをSUV風にアレンジした限定モデル「プレーリー JW-L 4WDノルディカバージョン」
まだミニバンという言葉が日本で使われる以前の1982年、日産は画期的なコンセプトのボクシーな5ドアトールワゴン「プレーリー」を発売。
それまで多人数乗車が可能なワゴンというと1BOXバンをベースにしたモデルが一般的でしたが、プレーリーは純粋な乗用車をベースにした3列シート車という斬新なモデルでした。
最大の特徴はセンターピラーレス構造の後席両側スライドドアを採用したことで、前後ドアを開くと広大な開口部が出現し、後席へのアクセスや大きな荷物を格納するのにも優れていました。
また、超低床レイアウトによって広い室内空間を実現し、回転対座セカンドシートが備わる3列シート8人乗りや、折り畳み式後席の2列シート5人乗り、豪華な固定式後席の採用で快適性を重視した2列シート5人乗り、4ナンバー登録の商用バンなど、さまざまなニーズに対応。
駆動方式はFFに加えて4WDを設定しており、この4WD・2リッター7人乗り車をベースにした限定車「プレーリー JW-L 4WDノルディカバージョン」が1987年に発売されました。
その名のとおり、スキー用品やスキーウェアブランドとして有名なイタリアのノルディカとコラボレーションしたモデルで、最低地上高が高められた車体は専用の2トーンカラー塗装を採用し、ノルディカのデカールで装飾され、ルーフにはスキーキャリアを標準装備するなど、まさにスキーに特化した仕様となっています。
プレーリーは現在のミニバンの先駆者といえるモデルでしたが販売は好調とはいえず、1988年に2代目へとバトンタッチした際に、センターピラーレス構造ではなくなり、オーソドックスなミニバンとなりました。
後にダイハツやトヨタ、ホンダがセンターピラーレス構造のスライドドアを採用したことを考えると、プレーリーは出るのが早すぎたモデルだったのかもしれません。
■異例のヒット作となったホンダのSUV風モデルとは!?
●ホンダ「シビックシャトル ビーグル」
低価格戦略も功を奏して異例のヒット作になった「シビックシャトル ビーグル」
ホンダは1972年に誕生した初代「シビック」から5ドアのライトバンを設定し、2代目ではステーションワゴンの「シビック カントリー」をラインナップ。
そして、3代目の5ドア版派生車として、1983年にトールワゴンタイプの「シビックシャトル」を発売しました。
シビックシャトルは、シビックのデザインテイストを残しつつもルーフを高くしたことで広い室内空間と荷室を確保し、レジャー用途にも適したモデルとしてユーザー層の拡大に成功。
1987年に4代目がデビューするとシビックシャトルも2代目へモデルチェンジし、4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションの採用や、トップグレードには1.6リッター直列4気筒エンジンを搭載するなど、走行性能が一気に向上しました。
そして、1991年にシビックは5代目となりますが、シビックシャトルは従来型のまま継続して販売され、1994年には、RVブームを意識した4WDモデルの「シビックシャトル ビーグル」を追加ラインナップ。
上級グレードにはフロントには大型フォグライトを配置したアルミ製グリルガードとスキッドプレートを備え、外装のカラーリングもフロントバンパーからフェンダーアーチ、ボディサイド、リアバンパーを、車体色とは異なるグレーに塗った2トーンカラーを採用し、RVらしさを表現しています。
ほかにもオートエアコンやアルミホイールを標準装備するなど充実した装備ながら、価格は149万円(消費税抜)からとリーズナブルに設定したことから、モデルライフとしては終わりを迎えていたにもかかわらず、シビックシャトル ビーグルは人気グレードとなり、異例のヒットを記録。
その後、1995年に初代「CR-V」が発売された後も併売され、1996年に生産を終了しました。
※ ※ ※
今回紹介した、RVR スポーツギアやシビックシャトル ビーグルは好調なセールスを記録しましたが、じつは例外といえる結果で、当時はさまざまなSUV風モデルが登場したものの、その多くはヒットすることなく短期間で消えていきました。
RVブームの頃は本格的なクロカン車が大ヒットしており、それを安易に模したモデルは受け入れられなかったということでしょう。
現在、SUV風モデルは人気となっていますが、クロスオーバーの延長というイメージ戦略によって成功したといえます。
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