戦うことが使命の高性能車! 特別な存在だった2リッターターボ車3選

くるまのニュース / 2021年2月12日 16時10分

かつて、モータースポーツに参戦することで、市販車の性能が一気に高くなった時代があります。とくに1980年代にはターボエンジンの普及もあり、ラリーやツーリングカーレースへ多くのメーカーがエントリーし、性能向上とイメージアップを図りました。そこで、モータースポーツ参戦を目的に開発された往年の2リッターターボ車を、3車種ピックアップして紹介します。

■レースで育まれた2リッターマシンを振り返る

 トヨタは2017年シーズンから世界ラリー選手権(以下、WRC)に復帰を果たし、ラリーで培った技術をフィードバックすることで、高性能モデルの「GRヤリス」が誕生しました。

 近年は国産メーカーによるモータースポーツ参戦は下火になってしまいましたが、かつては市販車をベースにしたラリーやツーリングカーレースに積極的に参加することで、市販車の高性能化とブランドイメージ向上に貢献。

 とくに1980年代はターボエンジンの普及もあり、モータースポーツは市販車の高性能化には欠かせない存在でした。

 そこで、モータースポーツ参戦を目的に開発された往年の2リッターターボ車を、3車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「セリカ GT-FOUR」

映画でも話題となったシリーズ初の高性能4WDモデル「セリカ GT-FOUR」映画でも話題となったシリーズ初の高性能4WDモデル「セリカ GT-FOUR」

 トヨタ初代「セリカ」は優美なデザインのスペシャリティカーとして1970年に発売。それまで特別な存在だった高性能なDOHCエンジンの普及に貢献しました。

 その後、代を重ね、1985年には当時のトレンドを取り入れて駆動方式がFFとなった、3ドアハッチバックの4代目を発売。

 リトラクタブルヘッドライトと、角を削り取ったようなボリューム感あふれるボディラインが特徴で、トヨタは「流面形」と呼称していました。

 そして1986年には、最高出力185馬力を発揮する2リッター直列4気筒DOHCターボエンジンと、センターデフ式フルタイム4WDシステムを搭載した「セリカ GT-FOUR」が登場。

 足まわりは専用チューニングの前後ストラットを採用し、ブレーキはフロントベンチレーテッドの4輪ディスクが奢られています。

 1988年には「TTE」(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)がWRCにセリカ GT-FOURを投入し、1990年には常勝だったランチア「デルタ」を破り、カルロス・サインツが日本車初のドライバーズタイトルを獲得し、性能の高さを証明しました。

 ラリーで活躍したセリカはハイパワーなフルタイム4WD車というイメージが定着し、5代目と6代目にもGT-FOURがラインナップされました。

 なお、GT-FOURの価格は297万6000円(東京価格)で、FFトップグレードの「GT-R」が207万7000円でしたから、かなり高額なモデルだったといえます。

●三菱「ギャラン VR-4」

動力性能だけでなく乗り心地や使い勝手、デザインも優れていた「ギャラン VR-4」動力性能だけでなく乗り心地や使い勝手、デザインも優れていた「ギャラン VR-4」

 三菱は1969年に初代「コルトギャラン」を発売。国内外のラリーで活躍するなど、高性能さをアピールしました。

 その後、ラリーには初代「ランサー」や「ランサーEX」で参戦して好成績を残しましたが、グループBで争われるようになったWRCでは、4WDが常勝となったことから、三菱は「スタリオン4WD」を開発。

 しかし、高性能化によるスピードアップから重大な事故が多発したため、グループB自体が消滅。スタリオン4WDは参戦することなくお蔵入りとなってしまいます。

 そして、WRCは市販車をベースにしたグループAで争われるようになり、三菱はターボエンジン+フルタイム4WDシステムを搭載した「ギャラン VR-4」を開発しました。

 エンジンは最高出力205馬力を発揮する直列4気筒DOHCターボで、センターデフとビスカスカップリングを組み合わせたフルタイム4WD、油圧制御の4輪操舵を装備し、加速性能や運動性能はFR車を大きく凌駕。

 さらにマイナーチェンジを繰り返すと段階的にパワーアップが図られ、1990年には240馬力に到達。

 ギャラン VR-4は当初の目的だったWRCでの勝利も獲得し、次世代の「ランサーエボリューション」シリーズへコンセプトが受け継がれていきました。

■限定800台が販売されたスカイラインのエボリューションモデルとは!?

●日産「スカイラインGTS-R」

まさに勝つことを目的として特別に仕立てられた逸品の「スカイラインGTS-R」まさに勝つことを目的として特別に仕立てられた逸品の「スカイラインGTS-R」

 1957年、プリンス自動車の前身である富士精密工業から発売された初代「スカイライン」は、重厚なデザインに、当時としては最先端の技術が注ぎ込まれたミドルクラスセダンとしてデビュー。

 プリンス自動車になって登場した2代目、日産と合併してから最初に発売された3代目(通称ハコスカ)では、レースで活躍することでスカイライン=高性能車というイメージの定着に成功。

 その後、オイルショックや排出ガス規制の強化という時代背景から性能的には足踏みしましたが、1980年代になるとターボエンジンの登場により一気に高性能化が進みます。

 そして、1985年に発売された7代目スカイラインからは、新世代の直列6気筒エンジン「RB型」を搭載するなどさらに出力向上が図られました。

 RB型エンジンでは初代と2代目スカイラインGT-Rに搭載された「S20型」以来となる、直列6気筒DOHCが復活。さらに高性能な「RB20DET型」ターボエンジンも加わります。

 またスカイラインは、1985年から始まったグループA車両で戦われる全日本ツーリングカー選手権に参戦。

 市販車のポテンシャルがそのまま戦闘力の向上につながるため、日産は1987年にレースベースに特化したエボリューションモデルの「スカイラインGTS-R」を800台限定で発売しました。

 GTS-Rは、専用のターボチャージャーにステンレス製エキゾーストマニホールド、大容量空冷インタークーラーなどが採用され、210馬力を誇る「RB20DET-R型」エンジンを搭載。

 外観では固定式のフロントスポイラーや、当時としては大型のリアスポイラーを標準装備するなど、戦うマシンにふさわしい空力パーツが奢られています。

 そして、発売年の1987年シーズン終盤から全日本ツーリングカー選手権へと投入されると、強豪ひしめくなか1989年のシーズンにはシリーズタイトルを獲得。

 辛くもチャンピオンとなったスカイラインGTS-Rでしたが、他を圧倒するようなパフォーマンスとはいえず、1990年からは16年ぶりに復活したR32型スカイラインGT-Rにスイッチされ、無敵を誇りました。

 スカイラインGT-Rの伝説的な強さはいまも語り継がれていますが、スカイラインGTS-Rの存在がGT-R復活の礎になったのは間違いないでしょう。

※ ※ ※

 1980年代から1990年代にかけて登場した高性能車は、モータースポーツと密接な関係がありました。

 実際に前出のスカイラインGT-R、ランサーエボリューションやスバル「インプレッサWRX」、ホンダ「シビック」などは、モータースポーツでの活躍から人気となり、ブランドイメージの向上にもつながったといえます。

 しかし、近年は市販車をベースにしたレースは下火となり、多くの高性能車はモータースポーツとは関係なく開発されるようになりました。

 一方で、今もサーキットのラップタイム性能の指標とするモデルも散見されますから、やはり高性能車の根底にはモータースポーツのDNAがあるのかもしれません。

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