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絶好調のシトロエンを支えるMPV「ベルランゴ」の魅力とは? ライバルと比べてみた

くるまのニュース / 2021年2月15日 8時10分

シトロエンが好調だ。コロナ禍により、2020年の外国メーカー車新規登録台数は前年比85.5%と大きく落ち込んだが、シトロエンは5031台と、前年の4115台と比べて122.3%と台数を伸ばした。そんなシトロエンの好調ぶりを支えるのが、MPV「ベルランゴ」だ。そんなベルランゴの魅力はどこにあるのか。同じく人気のルノー「カングー」と比較してみよう。

■コロナ禍のなかでも前年を大きく上回ったシトロエン

 コロナ禍の影響で、輸入車市場も大ダメージを受けた2020年。そんななか、前年実績を上回った数少ないブランドが、フランスのシトロエンだ。

 2020年の新規登録台数は5031台と、前年と比べて122.3%を記録。ちなみに、シトロエンと並んでグループPSAを形成するプジョーは前年比101.2%の1万26台、DSは同100.4%の908台、3ブランドともに前年超えをはたしているのも注目だ。

 そんなシトロエンの人気を支えているモデルが、2019年に日本デビューを果たし、2020年8月にカタログモデルを追加して本格導入されたMPV「ベルランゴ」だという。どんなクルマなのだろうか。

 ベルランゴは、ヨーロッパでは「フルゴネット」と呼ばれる、商用車をベースとしたMPVだ。こうしたフルゴネットは、日本ではなんといってもルノー「カングー」が有名だが、欧州ではベルランゴの登場は1996年7月、カングーは1997年だから、じつはベルランゴのほうが先に登場している。

 ベルランゴは今回はじめて日本市場に正規導入されたが、カングーは2002年に日本市場に導入されたため、すでに20年近くの歴史を持っている。初代前期型/後期型、2代目前期型/後期型に加え、2010年に登場したカングーの3ドアショートボディバージョン「カングー ビボップ」と、現在まで5つのバリエーションがある。

 現行型カングーは2009年9月に発売されたから、すでに12年目に突入したロングセラーモデルだ。2020年11月、フランス本国で新型となる3代目カングーの写真が公開されたが、それ以降の情報がないため、いつ日本で登場するのかは未定だ。

 本場欧州でもライバル車となるベルランゴと現行モデルのカングーを比較してみる。

ボディ寸法
 
 ベルランゴのスリーサイズは、全長4405mm×全幅1850mm×全高1850mm。対するカングーは全長4280mm×全幅1830mm×全高1810mmだ。

シトロエン「ベルランゴ」とルノー「カングー」シトロエン「ベルランゴ」とルノー「カングー」

 比較すると、ベルランゴはカングーよりも全長で125mm、全幅で20mm、全高は40mm大きい。そのため、通常時の荷室はベルランゴが圧倒的に広く感じる。

 ベルランゴを実際に運転してみると、カングーと全幅が20mmしか変わらないというのが意外に思える。スクエアなボディなのでどちらも車両感覚はつかみやすいが、ベルランゴのAピラーが太めのため、とくに左側に気を使う場面があった。ボタンを押すと左サイドの映像がルームミラーに映る「ブラインドスポットモニター」はSHINEとSHINE XTR PACKに標準装備しているので、路肩に寄せるときなどはこれを使うといい。

■最新のADASを装備するベルランゴ

パワートレイン

 ベルランゴは130ps/300Nmを発生する1.5リッター直4ディーゼルターボエンジンを搭載する。このエンジンはスムーズに高回転域まで回っていくタイプで、ガソリンエンジンに近いフィーリングだ。回転計も7000rpmまで刻まれ、5500rpmからレッドゾーンになっている。

ベルランゴは1.5リッター直列4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載するベルランゴは1.5リッター直列4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載する

 1750rpmから最大トルクを発生するが、ボディが1630kgと重めのため、軽快に走らせようと思うとアクセルペダルを踏みがちになり、エンジン回転を上げる走りをしてしまう。こういうところもディーゼルモデルらしくないところだ。

 ベルランゴのトランスミッションは8速AT。パドルシフトを標準で搭載する。ディーゼルとはいえ排気量の小さいエンジンだから、積極的に変速したくなる。

 対するカングーは、115ps/190Nmを発生する1.2リッター直4ターボエンジンを搭載。トランスミッションは6速EDC(DCT)のほかに6速MTも用意するのがルノーらしい。

 エンジンスペック的にはベルランゴのほうが上だが、ベルランゴの1630kg(FEELグレードは1610kg)に対してカングーは1430kg(6速MTモデル。6速EDCは1450kg)と200kg近く軽いため、軽快に走ることができる。

 燃費はカングーがJC08モードで14.7km/L。ベルランゴはJC08モードで21.2km/L、WLTCモードで18.0km/L。ただしカングーはプレミアムガソリン仕様でベルランゴは軽油なので、長く乗れば乗るほど燃料コストの差は大きくなる。

インテリア

 ベルランゴのインテリアは、スキのなさが魅力だ。バイワイヤのダイアル式シフトセレクターのデザインも、使いやすさと特別感を両立しているし、各所に散りばめられた収納スペースも実用性とワクワク感がある。またリアシートは3席独立して分割可倒が可能だ。

シトロエン「ベルランゴ」のインパネシトロエン「ベルランゴ」のインパネ

 バックドアは跳ね上げ式。ボディサイズが大きいため必然的にバックドアが大きくなるが、ガラスハッチだけでも単独で開くので、使い勝手は良い。

 カングーのインテリア質感は、やはり新しいベルランゴに負けてしまう。まもなく姿をあらわす予定の新型カングーに期待したいところだ。後席は60:40の分割可倒式になる。

 バックドアは観音開きになる。先代カングーだと観音開きと跳ね上げ式があったのだが、日本に入ってくる現行型カングーは観音開きのみ。ここは好みが分かれるだろう。

安全装備

 最新モデルだけあって、ベルランゴの安全装備はてんこ盛りだ。アクティブセーフティブレーキ、アクティブクルーズコントロール、レーンキープアシスト、ブラインドスポットモニター、インテリジェントハイビーム、パークアシスト、フロント/バック/サイドソナーなどなど、先進の安全支援装備が標準で装着されている。

 一方のカングーというと、ADAS(先進運転支援システム)機能は付いていない。現行カングーはすでに日本登場から12年経っているから、ここは分が悪い。

走り

 ベルランゴはEMP2と呼ばれる最新のプラットフォームを採用。トルクのあるディーゼルエンジンと相まって元気に走る。高速走行ではしなやかに、まっすぐ走っていく。これほど背が高いのに、横風に対しても安定している。遮音性の高さも魅力で、ガサツなところはない。

シトロエン「ベルランゴ」の走りシトロエン「ベルランゴ」の走り

 一般道では、基本的にコンフォート性重視の印象。ただし路面によっては突き上げ感があるし、ボディ振動の収まりの悪いときもあった。またハンドル中立付近の無感領域が大きめだ。プラットフォームもボディもサスペンションも素性が良さそうなので、さらなる熟成に期待したい。

 対するカングーは、じつは「ハンドリングマシン」といえるほどの走りの良さを持っている。

 エンジンや風切り音などのノイズは室内に大きめに入ってくるし、ボディ剛性感もいまとなっては古さを感じてしまう。そういったネガはありながも、正確なハンドリングと追い込んでいってからのロール感、しなやかに動く足、それでいてどこまでも失わない接地感など、完成形と言い切れるほど走りは熟成されている。

* * *

 車両価格は、ベルランゴ「FEEL」が317万円(税込、以下同)、「SHINE」が344万円、「SHINE XTR PACK」が354万円だ。対するカングーは「ZEN」6速MTで254万6000円、EDCで264万7000円となる。2ペダル同士で比較すると、その差は52万3000円から89万3000円となる。

 この価格差は大きい。だが、ほぼフルで先進安全支援装備が付くベルランゴの商品力も高い。だからこその、いまの人気ぶりなのだろう。

 対するカングーの魅力は、なんといっても「素」の良さだ。

 現行カングーとベルランゴのどちらを選ぶのか、ということももちろん興味深いが、ADASをフル搭載してデビューするであろう次期型カングーが、どれくらいの価格で日本に上陸するのか、といったところにも気になってくる。

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