発想が斬新すぎておもしろい! 大胆なコンセプトで作られた車3選
くるまのニュース / 2021年2月16日 16時10分
新型車を開発する際には、最初にコンセプトを明確にします。コンセプトが決まらないと、デザインや性能などの方向性も定まりません。一方で、ユニークなコンセプトや手法で開発されたモデルも存在。そこで、斬新な発想で誕生したモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
■ユニークな発想でつくられたモデルを振り返る
毎年、数多くの新型車が発売されますが、どのモデルも開発を開始する際には明確にコンセプトを決めています。コンセプトが決まっていなければ、外観のデザインや諸性能の目標も決まりません。
そうしたコンセプトは車種によってさまざまですが、なかには非常にユニークなコンセプトや手法で開発されたモデルも存在。
そこで、新な発想で誕生したモデルを、3車種ピックアップして紹介します。
●シトロエン「C3プルリエル」
出先の天気のことなど考えていないオープンカーの「C3プルリエル」
シトロエンの歴史を紐解くとこれまで数多くのユニークなモデルが存在し、独特なコンセプトやデザインは多くのファンを魅了してきました。
そして2003年に、Bセグメントのコンパクトカー「C3」をベースに開発された「C3プルリエル」も、そんなユニークなモデルのひとつです。
シトロエンのオープンカーというと過去に1960年代の「DS」がありましたが、C3プルリエルは同社では久しぶりのフルオープンカーとして登場。
概要は2ドアの4人乗りオープンカーで、基本的な構造やデザインはベースのC3と大きく変わりませんが、フロントフェイスやボディパネルは専用設計となっています。
屋根はセンター部分が電動のソフトトップになっており、リアウインドウとともにトランク内に格納される仕組みです。
さらに、C3プルリエル最大の特徴として、ソフトトップを格納した状態で屋根の左右にあるフレームを取り外すと、キャビンを完全なフルオープンにできる点です。
しかし、取り外した左右のフレームを車内に格納するスペースは無く、ガレージなどに保管するしかありません。つまり、フルオープンの状態でドライブしていて、仮に出先で雨が降っても、ソフトトップを閉じることができない構造となっていました。
こうしたコンセプトのクルマは日本では考えられませんが、C3プルリエルはまさにシトロエンらしさあふれるモデルといえます。
2009年に発売された2代目は、前席の頭上まで続くフロントウインドウが特徴のモデルで、オープンカーは設定されませんでしたが、開放感のあるモデルとして話題になりました。
現行モデルのC3は流行をキャッチアップしてコンパクトSUVになりましたがが、シトロエン流のユニークなデザインが好評です。
●スズキ「ジムニーL/ジムニーJ2」
クロカン車でありながら2WDに特化した異色のモデル「ジムニーJ2(左)/ジムニーL(右)」
スズキ「ジムニー」は軽自動車では唯一無二のクロスカントリー4WDとして、長い歴史のあるモデルです。
1970年に発売された初代からラダーフレームにボディを架装する構造を採用し、前後サスペンションは堅牢で構造が単純なリジッドアクスルとするなど、軽自動車という小さなボディながらメカニズムは本格的で、高い悪路走破性を誇っています。
このジムニーは2018年に20年ぶりとなるフルモデルチェンジをおこない、現行モデルの4代目が登場しましたが、3代目は20年間販売していたこともあり、数多くの限定車や特別仕様車が存在しました
なかでも、とくにユニークなモデルとして「ジムニーL」と「ジムニーJ2」が挙げられます。
ジムニーLは2000年に販売され、ジムニーJ2は2001年に登場しましたが、どちらも駆動方式は2WDを採用。
もともとジムニーはFRを基本とするパートタイム式4WDで、滑りやすい路面以外では2WDで走行することになりますが、ジムニーL/ジムニーJ2はフロントデフとトランスファーを排除した2WDに特化したモデルです。
ジムニーLの外観は4WDのジムニーと変わらず、一見しても見分けがつきませんでした。装備は上級グレード並に充実し、ルーフレールは装備しておらず、カラーリングは専用のパールホワイトのみを設定。
一方、ジムニーJ2は専用のボンネットフード、フォグランプ内蔵のフロントバンパー、メッシュタイプのフロントグリルを装備し、さらに16インチから15インチタイヤにサイズダウンしたことで、車高が35mm下げられています。
このふたつのモデルは女性ユーザーをターゲットに販売され、とくにジムニーJ2はイメージと異なるパステルカラーのカジュアルなカラーリングを設定していました。
パートタイム式4WD車のユーザーでも山間部や積雪地ではない地域に住んでいると、4WDに切り替える機会はほとんど無いといわれ、ジムニーのスタイルで2WDというコンセプトも納得できます。
現在、高い人気を誇っているSUVでも、多くのモデルで2WD仕様を設定しているのは、同様な理由です。
しかし、ジムニーL/ジムニーJ2とも人気とはならず短命に終わり、現在は中古車市場でも滅多にお目にかかれないレア車です。
■かなり無理矢理だけど一定の需要があったモデルとは!?
●スバル「ドミンゴ」
軽1BOXのボディながら7人乗りを実現した「ドミンゴ」(画像は2代目)
かつてミニバンが普及する以前、多人数が乗るクルマといえば1BOXバンをベースした3列シート車が定番でした。
1BOXワゴンは人気が高く、多くのメーカーから販売されていましたが、ベースとなる1BOXバンをラインナップしていなければ、当然、販売することはできません。
そこで、スバルは軽1BOXワゴンの「サンバートライ」をベースに3列シート車をつくろうと考え、1983年に登場したのが初代「ドミンゴ」です。
4人乗りのサンバートライの荷室部分に3列目シートを載せ7人乗りとし、フロント部分のデザインを変えて全長を伸ばし、1リッターエンジン(後に1.2リッターエンジンを追加)をリアに搭載。
基本的なコンポーネンツはサンバートライと共通とすることで価格を安価に設定したことから、ドミンゴは商業的にも成功し、1994年には2代目が発売され海外にも輸出されました。
また、2代目では6人乗りのキャンピングカー仕様もつくられるなど、レジャーカーとしても需要がありましたが、衝突安全基準の強化もあって1998年に生産を終了。
ドミンゴと同様なコンセプトでつくられたモデルはほかにも、ダイハツ「アトレー7」、スズキ「エブリイランディ」、三菱「タウンボックスワイド」などが挙げられますが、現在はどのモデルも消滅しています。
ちなみにドミンゴはイギリスで「SUMO(スモウ)」という車名で販売され、小さくても力持ちということをアピールしていたようです。
※ ※ ※
前述のとおり2WDのジムニーは女性ユーザーをターゲットに販売されましたが、人気とはなりませんでした。しかし、現行モデルのジムニーは女性ユーザーの拡大に成功したといいます。
クラシカルな外観は「カワイイ」と評され、軽自動車ではなくジムニーというブランドが女性に人気となった秘訣のようです。
ジムニーの性能を発揮できるシーンは日本ではかなり限られてしまいますが、本物のアウトドアギアと同じく、ジムニーが持つ機能美に多くの人が魅了されたといえます。
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