「アップルカー」報道 日産なぜ否定しない? 情報錯綜も電動SUVで日産「飛躍」期待の訳とは

くるまのニュース / 2021年2月17日 10時10分

IT大手のアップルが開発を進めているとされる「アップルカー」の製造について、日産がアップルから打診を受けたのではという報道が、世間を賑わせています。しかし日産も自社ブランドのEV開発を継続しており、これが日産の飛躍へつながるというのですが、いったいどういうことなのでしょうか。

■日産と大手IT企業との間で大規模提携の可能性はある?

「ヴェイグ(あいまい)ですが…」。そういって、日産の内田誠CEOは苦笑いしました。

 これは日産が2021年2月9日にオンライン会議システムでおこなった今期第3四半期決算報告の質疑応答で、ドイツ人記者から内田CEOへの「アップルから(自動運転EVの)アップルカーについて打診はあったか?」という質問に対する答えの最後の部分です。

 内田CEOは、この質問に対して、アップルなどIT大手が自動車産業との関わりが今後さらに大きくなることは当然のことだという、あくまでも一般論として質問をかわしました。

 そのうえで、アップルカーに対する具体的な回答ができていないことを自覚して「ヴェイグ(あいまい)」という英語を使ったのです。

 この一件もあり一部の経済メディアなどでは、日産がアップルとアップルカー製造の交渉について「否定しなかった」と報じました。さらに、この翌週になって米メディアではアップルが日産と交渉するも、交渉は短期間で終わってしまったとも報じています。

 本稿執筆時点で、事の真相は定かではありませんが、火のないところに煙は立たず。先日の韓国ヒュンダイとの交渉を含めて、アップルカー量産化に向けてアップルが具体的なアクションを起こしていることは確かのようです。

 話を日産の視点に戻しましょう。EV開発についてモーターやインバーターは日産の内製です。

 また、電池については、NECと共同で立ち上げて、現在は中国資本となった車載用大型リチウムイオン二次電池の製造メーカー・エンビジョンAESCがあります。

 こうしたEVの基盤技術と、アップルの自社開発の考え方をどうすり合わせるのかは難しいところでしょう。

 また自動運転技術について、日産はアメリカの大手半導体メーカー・インテルの傘下となったイスラエルのベンチャー企業・モービルアイと、画像認識技術をベースとした自動運転技術の研究開発を進めてきました。

 ここでも、アップルの自社開発の考え方との重複や相違が生まれる可能性があります。

 とはいえ、自動車産業界はまさに100年に一度の大変革期であり、企業の合併や技術の連携など何がどう起こっても不思議ではないというのが、業界内での雰囲気です。

 また直近では、従来の財務情報だけではなく、環境(Environment)・社会性(Social)・ガバナンスも考慮した投資であるESG投資の重要性が一気に高まっており、ESG投資との親和性の高い事業連携発表は株価に大きな影響を与えます。

 こうしたなかで、日産がアップルに限らず、ルノー日産三菱アライアンスを基盤として、大手IT企業などと自動運転EVの開発や製造で大規模な提携をおこなう可能性は十分にあると思います。

■新型アリアは日産の新しい扉を開くカギとなるか?

 日産の次世代車技術「ニッサン・インテリジェント・モビリティ」では、量産車としてEVの「リーフ」、そして「ノート」「セレナ」「キックス」で展開する事実上のシリーズハイブリッドシステムであるe-POWERがあります。

 次のEVについては、2021年中にクロスオーバー「アリア」が次世代日産の象徴として登場します。すでにほぼ量産のデザインとして日産本社などで一般公開しています。

 また、e-POWERについては、2020年12月に発売開始した、新型ノートで第二世代へと進化しました。技術詳細について、2021年2月上旬、オンライン会議システムを使い技術担当者が報道陣と説明と意見交換をおこなっています。

 そのなかで、筆者が既存の1.2リッターエンジン「HR12」以外を使ったe-POWERシステムの量産の可能性について聞いたところ、より大きな排気量のエンジンなどを視野に入れた量産開発をおこなっていることを明らかにしました。

 2016年から発売されているe-POWERは、日本での走行を最優先して開発されており、高速走行は100km/h程度であるため1.2リッターエンジンで十分な燃費とパフォーマンスを発揮しています。

 それが、例えばドイツのアウトバーンや、アメリカの地方部のフリーウエイでの高い速度域では対応するためには当然排気量アップが必要となるという点も、ほかの記者の質問に答えるかたちで担当エンジニアが指摘しました。

 また、ルノー日産三菱アライアンスでの「リーダーとフォロワー」という理念に基づき、さまざまなエンジンサイズのe-POWERがルノーや三菱に搭載される可能性についても否定していません。

 もうひとつ、日産の電動化に加わる可能性が極めて高いのが、三菱と日産が共同開発中のプラグインハイブリッド(PHEV)です。

 すでにアメリカで発売された「ローグ」をベースに次期「アウトランダー」と日本向け「エクストレイル」が実質的な兄弟車として登場することは確実な情勢です。両モデルにPHEVが登場する可能性は高いと思われます。

 その場合、日本のアウトランダーはPHEVのみという流れが順当だと考えられますが、はたして日本のエクストレイルをPHEVとe-POWERの両刀使いにするかどうか。

日産製アップルカーはありうるのか?日産製アップルカーはありうるのか?

 筆者の個人的な希望としては、日産がこれから一気に復活基調に乗るためには、電動化二刀流エクストレイルは日産を飛躍させるための大きなきっかけになると思います。さらに、日産製「アップルカー」の実現にも期待したいところです。

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