トヨタ新型EV「シーポッド」の弱点をすべてカバー! いま買うべき中古EV決定版は「アイミーブ」
くるまのニュース / 2021年2月20日 12時0分
2019年の東京ショーで「Ultra Conpact-BEV」としてお披露目され、先日法人向けの販売が開始となったトヨタの2人乗りの純電気自動車「C+pod(シーポッド)」。トヨタらしく隙のない仕立てだが、一般向けの販売までにはまだ間がある。そこでシーポッドにはない魅力を備える、ユーズドの小型電気自動車を探してみた。
■隙のないシーポッドは巨大なモバイル・バッテリー
トヨタ「C+pod(シーポッド)」は、知れば知るほど隙がないな、と思う。
充電設備工事とセットになったCO2フリー電力など電気自動車向けの電力プランをはじめ、今後はカー・シェアリングなども計画されているという。電気自動車に対する敷居が、限りなく低くなっている。現時点では法人向けのみだが、一般ユーザーへの市販開始が、いまから待ち遠しい。
クルマとしての魅力だけなく、シーポッドにはもうひとつ、見逃せない能力がある。助手席の足元にはアクセサリー・コンセントがあり、災害時など、いざとなれば巨大なモバイル・バッテリーになるのだ。
トヨタの公式サイトでは、情報収集するための携帯電話やノート・パソコン、炊き出し用の電気炊飯器、さらには電気ストーブなど、最大1500Wまで同時に使える、とアナウンスしている。
さすがにプラグイン・ハイブリッド車ほどの容量を持たないので、トヨタホームによる停電時にクルマから電力を家に引き込む、「クルマde給電」には対応していないが、オプションのヴィークル・パワー・コネクターを使えば、ドアを閉めたまま、外部へ電力を供給することも可能だ。
家庭用蓄電池と組み合わせるV2H(ヴィークル・トゥ・ホーム)とまではいかなくとも、電気自動車の可能性を広げるこうしたシステムは、災害国日本が先行している部分が多い。
残念ながら現時点では、ソーラー・パネルから蓄電池までトータルで販売をしているテスラを除き、ほとんどの輸入車が対応していないのが現状だ。もちろん、以前紹介したスマート・エレクトリック・ドライブ(以下スマートed)も、外部給電は未対応である。
●三菱アイミーブに注目
そこで思い出して欲しいのが、世界初の量産市販EVとしてデビューした軽自動車の三菱i−MiEV(アイミーブ)だ。
まずこのアイミーブ、ベースとなった「i(アイ)」自体が、なかなかエポックメイキングなクルマだった。とにかく構造が凝っている。
ラダー・フレームをベースにセミモノコックのシャシを構築し、リア・アンダーフロアにパワートレインを配置。限定的なサイズゆえパッケージングが困難なうえ、コストもかけにくいスモールカーの世界において、スマート同様アイもプラットフォームからパワートレインまで新開発という恐ろしく気合いの入ったモデルだった。
おそらくアイが世に出ることができたのは、三菱とダイムラー・ベンツ・グループが関係していた時期だったということも理由として大きいのだろうが、とにもかくにもアイは市販車として販売され、最後はアイミーブのみになってしまったが、2020年9月に同年度内に生産終了するというアナウンスが発表され、長い長いモデル・ライフをまっとうしたのは事実である。
■アイミーブなら4人乗車で高速道路もオッケー!
大人4人が乗ることができるのは、シーポッドにもスマートedにもできないアイミーブの魅力だ。前後輪は軽自動車枠のなかで限りなく車体の四隅に配置され、床に対し高くきちんと座っても室内は広く快適至極。
全長は初期モデルで約3395mmとシーポッドやスマートedよりずっと長く、最小回転半径は4.5mとなる。アイは前席下に燃料タンクがあったが、その代わりにリチウムイオン電池を置き、荷室下に搭載される3気筒ターボ+4速ATの代わりにモーターを配置、後輪を駆動する。
●オススメは2016年末以降の最終型
トヨタ「C+pod」の登場に前後するようにフェードアウトする三菱「i−MiEV」。中古車という選択はありか?
モーターの最高出力・最大トルクはグレードによって異なるが、41ps−64ps・18.4kgmで、実際走ってみても、スマートedや今どきの電気自動車よりかなり大人しめの制御がされているため、さほどスタート・ダッシュが得意なタイプではない。
それでも右足の操作に対し、ガソリン・エンジンのアイよりはずっとリニアな反応をみせる。速度を上げても重心が低いおかげか、軽自動車らしからぬ安定感があるところもイイ。もちろんスマートed同様、アイミーブは高速道路を走ることができる。
アイミーブは2010年には一般販売をスタート。当初は軽自動車としてスタートしたが、後にクラッシュ・セーフティ対策により小型車枠に変更になった。10年以上も販売していたから、中古車市場でのタマ数はまあまあある。
ただし、狙うべきは2011−2018年に販売された軽自動車時代の下位グレード、“M”だ。中古車市場の価格はおよそ80万−120万円。その理由は搭載されている10.5kWhのリチウムイオン・バッテリーの耐久性にある。
上位グレードには16kWh仕様もあるのだが、10.5kWh仕様はバッテリーが東芝製のSCiBという、非常に寿命が長いタイプを採用している。なんと販売から10年以上を経過した個体でも、電池容量を計測してみると、100%を維持しているものも少なくないのだ。
グレード“M”の航続距離は120km(JC08モード)で、実際に乗ってみると安心して走れるのは80km前後とシーポッドやスマートedよりさらに短いが、その代わり急速充電機能を備えている個体が大半を占めているので、安心感があるという人も多いだろう。
一番のお薦めは2016年末に改良を受け、充電中でも空調が使用可(ディーラー・オプション)になった最終型だが、なかなか出物は少なく、そうとう我慢強く探さないと見つからない。ディーラー扱いの中古車の中には、最長3年の保証が付くモデルがあるのもポイントだ。
そして、アイミーブにもミーブ・パワー・ボックスというオプションを利用した外部給電機能がある。シーポッド同様に1500Wまで対応しているし、家庭用蓄電池メーカーとリンクすれば、V2Hにも対応する。こういうきめ細かなところは、やはり国産メーカーに歩があるといえるだろう。
●何が本当にエコロジーなのか
最後にひとこと。
米テスラ株の高騰や、中国ベンチャーの台頭、都知事の発言などにより、急激に自動車の電動化に対する議論が高まっている。シーポッドをはじめ、次々に欧州市場などからやって来る電気自動車に注目が集まるのは仕方のないことだが、少し冷静になって考えてみて欲しい。
電気自動車は確かに走行中こそCO2を出さない。けれど、完全にオフグリッド化してソーラー・パネルや風力から電力を得るならばともかく、走るための電力はどうやって手に入れるのか。結局CO2を出す火力発電に頼っているのではないのか。そして製造時から廃車時までのライフサイクルを考えた場合、そのコストは、たとえばトヨタ「ヤリス」などの小型のハイブリッド車などに比べ、本当にエコロジーなのか。
真の意味でエコロジーなのは、市場にすでに出回っている環境負荷の少ないクルマを選び、長く愛し、乗り続けることではないだろうか。自分の頭で考えず、電気自動車がブームだから、補助金が出てお得だから、と短絡的にクルマを買い換えるのはけっしてエコロジーではない。そう僕は思いつつ、中古車たちに思いを馳せている。
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