「こりゃ素晴らしい!」 新型SUV「キャシュカイ」に初採用! 新e-POWERが日産を救うのか
くるまのニュース / 2021年2月22日 14時10分
日産は、欧州市場に投入するクロスオーバーSUV新型「キャシュカイ」を発表しました。全面刷新された新型キャシュカイでは、従来の日産では搭載されていなかった1.5リッター+VCターボを組み合わせたe-POWERが採用されました。これまでのe-POWERとは何が異なっているのでしょうか。
■1.5リッター+e-POWER登場! 新型キャシュカイに搭載へ!
今後、しばらく日産の主力となること間違いなしのパワーユニットがデビューしました。カーボンフリー化で電気自動車や燃料電池車の時代になるまで15年くらいあります。
その間の主役は(というかワンポイントリリーフというべきかもしれない)燃費の良いハイブリッドになること間違いなし。日産の場合、第2世代のe-POWERがその役割を担う。現行キックスまでに採用されている第1世代とどこが違うか。
日本で2020年12月に発売された新型「ノート」にも第2世代のe-POWERが搭載されているが、これは従来型1.2リッターエンジンの効率を高め加速や燃費を向上させたもの。
モーターは先代ノートに比べ、トルクや出力を向上。インバーターは第1世代よりも小型化・30軽量化したもので、新型キャシュカイに搭載されるものとは異なる。
新型キャシュカイに搭載する第2世代のe-POWERを簡単にいえば、圧倒的にパワフルなエンジンを搭載している点にあります。ちなみにコンパクトSUV「キックス」のエンジンは最高出力82馬力。ヨーロッパなどで重要になってくる最高巡航速度(連続して出せる最高速)は、82馬力の3気筒エンジン並ということで、130km/hくらいです。
キツい連続した登り坂に差し掛かると100km/h+αくらいまで落ちてきちゃう。この程度の性能だとヨーロッパじゃ通用しない。
だからこそ第1世代のe-POWERはヨーロッパで販売していなかった。今回、発表された第2世代のe-POWERに使われるエンジンは3気筒の1.5リッターに高効率VCターボを組み合わせることで154馬力を出す。
第1世代のe-POWERと比べ倍の出力になった。欧州で発表となったクロスオーバーSUV新型「キャシュカイ」に搭載されているのだけれど、154馬力あれば180km/h近くで巡航出来るし、登り坂での速度ダウンだって最小限に抑えられることだろう。
ただ普通の154馬力エンジンだと、燃費を稼げない。そこで日産は可変圧縮比のVCターボを組み合わせて来た。
VCターボは特殊なリンクを使うことにより、可変圧縮比にしている。解りやすく説明すると最高出力を発生するときと、巡航時など低負荷でゆっくり回しているときの「排気量」(正確にいえば吸気量)を変えることで熱効率を稼ぐ。
漏れ伝え聞くところによれば、ガソリンエンジンとしてはダントツな熱効率50%近くを達成しているという。
ディーゼルを超える熱効率を実現した新形式のエンジンで発電機を回すことにより、130km/hくらいまでなら現時点でもっとも実用燃費の良いトヨタのハイブリッドシステム「THS II」に勝るとも劣らない効率を持つそう。
最高速をキッチリ確保しながら、街中や巡航時の燃費も圧倒的に良いという世界中のニーズに答えられる優れたパワーユニットです。
■そもそもe-POWERってどんなシステム? 加速する電動化で日産安泰か?
さて、日産のe-POWERというシステム、相当のクルマ通でも理解されていないようなので、改めて紹介してみたい。
e-POWERの本質は「シリーズハイブリッド」である。どんなシステムか。
基本となるのが電気自動車です。車軸を駆動するのはモーター。したがって大量の電池を搭載することで「リーフ」のような電気自動車になります。
ただ電気自動車を作ろうとすると大量の電池を搭載しなければならず高価になってしまう。加えて電池を使い切ったら充電してやらないと走れなくなる。
そこで考えたのが、電池をすべて降ろし、その代わりにエンジン駆動の発電機を載せてやるという方法。
これだとガソリンさえ補給してやれば、普通のクルマと同じように運転出来ます。したがって前述のキックスだと、82馬力エンジンで発電した電力を使って走るワケです。
実際は82馬力で発電機を稼働させると、発電効率95%だとすればモーターに伝達出来る実出力は78馬力程度になる。
したがってアクセル全開にして走ったら、キックスは78馬力エンジン積んだクルマと同じになります。
日産はここに小さい容量の電池を加えた。搭載されている電池だけで走らせようとしたら、航続距離3km程度。
最高出力も50馬力程度。電池残量がある状況ならエンジンで発電した82馬力に、電池からの50馬力+αを上乗せ出来るため約132馬力のモーターをフルに稼働させられる。
使った電力はアクセルを戻したらエンジン発電機から充電します。もちろんブレーキを掛けたら回生だって出来るし、発進時は搭載している電池からパワーをもらうことも可能。
このあたり、80馬力エンジン+電池出力40馬力程度(システム出力116馬力)となるトヨタのコンパクトSUV「ヤリスクロス」のTHS IIとまったく同じだと考えればよい。
1.5リッター+VCターボを組み合わせたe-POWERは、どのような走りを実現? 日本市場での投入が期待される!
いずれにしろ新型キャシュカイに搭載される1.5リッター+VCターボを組み合わせた第2世代のe-POWERって素晴らしい。日本デビューは次期型「エクストレイル」です。
これで日産はコンパクトカー「ノート」サイズのクルマから、車重1600kg級のミニバン「セレナ」やエクストレイルくらいまでのクルマをe-POWERでカバー出来る。
同時進行で電気自動車の開発もすすめており、狙い通りに行けば2030年から厳しくなる電動化縛りにキッチリ対応していけると思う。
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