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プラグインHV充電せずに使うメリットある? 電動化の切り札的存在が普及しづらい訳

くるまのニュース / 2021年2月26日 7時10分

電動化が加速する自動車市場において、ガソリン車と電気自動車(EV)の双方の魅力を合わせ持つプラグインハイブリッド車(PHEV)ですが、充電をせずにガソリン車として使う際のメリット/デメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。

■PHEVはエコロジーと実用性を兼ね備えた最強の選択肢?

 ガソリン車と電気自動車(EV)の「いいとこ取り」となるプラグインハイブリッド車(PHEV)ですが、充電せずに使い続ける使用方法に関して、メリットはあるのでしょうか。

 自動車産業においてもカーボンフリーが加速するなかで、EVが注目されるようになりました。

 EVは二酸化炭素などを排出しない「ゼロ・エミッション」のクルマである一方で、ガソリン車に比べて充電インフラ(設置場所や時間)や航続距離などが普及するうえでの課題となっています。

 そんななか、環境面と実用面を両立するクルマとして期待されているのがPHEVです。

 PHEVは、外部から充電することができるハイブリッド車(HV)です。HVは、回生ブレーキによって、制動時のエネルギーを電力に変更、それをバッテリーに蓄えたうえで、発進時や加速時にエンジンをアシストするモーターの動力源として使用します。

 PHEVも基本構造はHVと変わりません。しかし、HVに比べてPHEVは搭載するバッテリーの容量が大きく、EVとして走行可能な距離もHVに比べてEVのほうが長いことが特徴です。

 また、車載バッテリーに家庭用電源などから直接充電できる点が異なります。

 2021年2月時点で市販されている国産車のPHEVは、トヨタ「プリウスPHV」と「RAV4 PHV」、三菱「アウトランダーPHEV」「エクリプスクロスPHEV」、ホンダ「クラリティPHEV」となります。

 なかでもプリウスPHVのベースとなる「プリウス」は1997年に世界初の量産HVとして登場しました。

 現行モデルのもっとも良いカタログ燃費は32.1km/L(WLTCモード)と、市販車のなかでもトップクラスの数値です。

 一方のプリウスPHVのカタログ燃費は、30.3km/L(WLTCモード)とプラグインシステムなどの重量増などもあり、数値こそハイブリッドのプリウスにわずかに劣りますが、EV走行距離はプリウスが2km程度であるのに対し、プリウスPHVは60kmと大きく差があります。

 EV走行中は基本的にガソリンを消費しないため、EV走行を活用すれば実燃費を大きく伸ばすことができるのがPHEVの利点です。

 また、ガソリンのみでの走行も可能であるため、EVの弱点でもある航続距離や充電インフラの問題についてもクリアしているのがPHEVのメリットです。

■PHEVは充電しなくても使える?

 PHEVやHVは、メーカーや車種によって、「EV走行もできるガソリン車」と「ガソリンでも走れるEV」のどちらの性格を全面に打ち出すかは異なりますが、いずれにせよガソリン走行ができることには変わりません。

従来のハイブリッド車と異なり、外部充電が出来るほか、EV航続距離が長いのもPHEVの特徴従来のハイブリッド車と異なり、外部充電が出来るほか、EV航続距離が長いのもPHEVの特徴

 そうなると気になるのが「PHEVは充電をすることなくガソリン車として走行できるのか」という点です。

 この点について、ハイブリッド車に詳しい業界関係者は次のように話します。

「結論からいえば、PHEVは充電することなく走行することが可能です。

 充電を忘れる、あるいはEV走行などによってバッテリー残量が枯渇することはしばしばありますが、通常のプリウス同様に回生ブレーキなどの機構は備わっているので、HVとして走行することになります。

 ただ、プリウスPHVはプリウスに比べて車重が200kgほど重く、その大部分がバッテリーの重量です。

 充電をせずにプリウスPHVを走らせるということは、この大容量バッテリーのメリットをほとんど活かせず、むしろ車重の重さが燃費に悪影響を及ぼすことになります。

 つまり、充電せずにプリウスPHVに乗るということは、『重いプリウス』に乗るということであり、デメリットしかありません。

 PHEVのメリットとして感じるのは、子どもの送迎や日々の買い物などであれば、ほとんどをEV走行でまかなえるという点です。遠出をすることもありますが、それでも給油をするのは3か月に1回程度です。

 一方で、大容量バッテリーを搭載することによる価格の高さ、そして何より充電設備を用意しなければならないという点があります。

 私は郊外の戸建てなので充電設備を設置できましたが、都心部のマンション住まいでは難しいかもしれません。

 かといって、地方部では一回の走行距離が長いため、50kmから60km程度のEV走行では十分ではありません。そう考えると、PHEVを有効活用できる人というのは、実際にはかなり限られてくるのではないかと思います」

※ ※ ※

 PHEVは、ガソリン車とEVの「いいとこ取り」ともいえますが、車両価格や充電設備、EV走行距離のバランスを考慮すると、普及するのには課題が多いようです。

 今後、技術の進歩によってバッテリーの価格やEV走行距離は改善されることが予想されますが、その頃にはEVがより実用的なものとなっているかもしれません。

 PHEVが「電動化に向けた現実的な選択肢」となるのか、「過渡期に生まれた中途半端な遺物」となってしまうのかに注目が集まるところです。

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