なぜ実施数0件? 「チェーン規制」導入も立ち往生多発! 効果が未知数のワケ
くるまのニュース / 2021年2月27日 9時30分
2018年12月から雪による立ち往生が起こりやすい場所において、異例の降雪があるときに実施される「チェーン規制」が新設されました。2021年2月時点で導入されてから3シーズン目に突入していますが、実施数はゼロだといいます。大雪による立ち往生が多発しているにも関わらず、チェーン規制が実施されない背景にはどのようなものがあるのでしょうか。
■チェーン規制の効果は?
昨今、冬場の雪道において立ち往生が多発傾向にあったことから、国土交通省は「チェーン規制」の運用を2018年12月から開始しています。
2021年2月時点で導入されてから3シーズン目を迎えていますが、どのような効果が見られたのでしょうか。
チェーン規制は、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表などの異例の大雪が予想される場合に立ち往生を防ぐ目的で設立されました。
これにより、大雪時に通行止めを実施する場合でも、チェーン規制を実施し、タイヤチェーンを着けていれば通行できるようにすることで、これまでより積雪による通行止め時間を短くすることを目指しています。
国土交通省では、急な上り下りがある峠などで、過去に雪による立ち往生や通行止めが起こった場所のなかでタイヤチェーンが着脱できる場所や、通行止めが解除されるまで待機できる場所がある区間で実施しています。
規制箇所は、直轄国道では山形県では月山道路の西川町月山沢から鶴岡市田麦俣間や、福井県では石川県境から坂井市のあらわ市熊坂からあらわ市笹丘間などの計6箇所、高速道路では山梨県では中央道の須玉ICから長坂IC間などの計7箇所が対象です。
この規制はスタッドレスタイヤを履いていても大雪の際には立ち往生することがあるためタイヤチェーンを装着する必要があり、装着していない場合は最寄りのインターチェンジで降りることとなります。
チェーン規制導入以降、2021年2月時点ではチェーン規制がおこなわれる条件である大雪特別警報は発令されておらず、大雪に対する緊急発表もチェーン規制導入後3回しか出ていません。
そのため、チェーン規制をかけるほどの緊急性がない状況が続いており、効果があるかどうか決定づける根拠がないという状況となっています。
チェーン規制について、NEXCO中日本の広報担当者は以下のように話します。
「2021年1月に北陸道で約1600台の立ち往生が発生した際には、立ち往生区間のなかにチェーン規制対象区間がありましたが、発生当時は規制されていませんでした。
チェーン規制をするための大雪特別警報や大雪に対する緊急発表がおこなわれていなかったのがその理由です。
NEXCO中日本の管轄内ではチェーン規制がおこなわれたことは一度もなく、チェーン規制の効果があるかどうかというのも判断ができないといえます」
チェーン規制対象区間であっても、十分に除雪が出来る範囲の降雪であればチェーン規制をかける必要がありません。
2021年1月の北陸自動車道の立ち往生も大雪が原因であるものの、対象区間でチェーン規制がおこなわれていても発生しなかったというわけではないため、実施効果は未知数といえそうです。
■効果は未知数も「チェーン規制」の必要性とは?
2020年末から2021年にかけて発生した立ち往生の事例を見ても、チェーン規制の基準に達してなかったことや、チェーン規制の対象区間でなかったことが分かります。
チェーン規制の必要性について、2020年12月に立ち往生があった関越自動車道を管轄するNEXCO東日本の担当者は以下のように話します。
「当時立ち往生のあった区間は、チェーン規制対象の区間ではありませんが仮にチェーン規制があったからといって立ち往生が防げたかというと、そういう訳ではありません。
チェーン規制があってもなくても、雪道を走るうえで必要な装備をしていただいたうえで走行していただくよう情報発信をおこなっています」
チェーン規制の効果は未知数だといえるものの、大雪による立ち往生が多発している以上は、規制基準や区間の設定の見直しが必要といえそうです。
チェーン規制対象区間となる山形県・月山道路(112号線)の周辺道路
一方で、チェーン規制の導入を受け市販のタイヤチェーンの販売が伸びているようです。
株式会社オートバックスセブンの調べによると、チェーン規制が導入された2018年12月のタイヤチェーン販売は前年の2017年に対して2倍以上の大幅伸長があったとされており、チェーンを持っていなかったユーザーが購入するきっかけとなったという意味では、チェーン規制に効果があったといえるかもしれません。
チェーン規制は、ユーザーや企業の意識改革としては効果があったという見方もできますが、2020年から2021年にかけて発生した立ち往生の多さを見ると、繰り返しになりますがチェーン規制の基準対象地域の見直しが必要だといえます。
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