デザインを全否定しちゃった? マイナーチェンジで大きく変わった車5選
くるまのニュース / 2021年3月1日 6時10分
クルマがモデルライフを終えて一新されるのがフルモデルチェンジですが、モデルライフの途中にテコ入れされるのがマイナーチェンジです。しかし、マイナーチェンジにもかかわらず、大きくデザインが変更されたモデルが存在。そこで、マイナーチェンジで別モノになったクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
■マイナーチェンジでデザインが“丸くなった”印象のクルマを振り返る
新型車が発売され、数年経つとフルモデルチェンジをおこなうか、廃止となるか選択が迫られます。一方で、モデルライフの途中で販売台数の落ち込みや、法規対応などで改良がおこなわれるのがマイナーチェンジです。
一般的にフルモデルチェンジでは、内外装のデザインやメカニズムが一新されることが多いのですが、マイナーチェンジでも、大きく手が入れられるケースも存在。
そこで、マイナーチェンジで角が丸くなった普通のデザインに変更されたクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「インテグラ」
丸目4灯が日本では不評だった前期型のホンダ「インテグラ」
ホンダ「インテグラ」は、「シビック」と「アコード」の間を埋めるモデルとして登場した「クイント」がフルモデルチェンジした際に、「クイントインテグラ」という車名に変更され、さらに1989年に発売された2代目からは単独のインテグラという車名となったモデルです。
特徴的な横長ヘッドランプのフロントフェイスに3ドアクーペと4ドアハードトップがラインナップされ、1.6リッターで160馬力を発揮するVTECエンジンを初めて搭載したほか、手ごろなサイズ感とスタイリッシュなデザインが受け、人気を博しました。
1993年に登場した3代目では、フロントグリルレスで丸形4灯プロジェクターヘッドライトと、当時としては斬新なフロントフェイスが採用されました。
しかし、そのフロントフェイスは北米では好評であったものの日本では不評で、1995年のマイナーチェンジでは、一部グレード除き、横長でシャープな印象のヘッドライトに変更され、フロントフェイスを一新。
前期型のデザインは斬新だったものの、結果としてはユーザーにはオーソドックスな横長ヘッドライトの方が受け入れられたようです。
●三菱「ミラージュディンゴ」
アグレッシブなデザインが受け入れらなかった前期型の三菱「ミラージュディンゴ」
三菱「ミラージュディンゴ」は、1999年に登場した5ドアハッチバックのコンパクトワゴンです。
7人乗りの派生モデル「ディオン」では、比較的オーソドックスなフロントフェイスが与えられましたがミラージュディンゴには当時珍しいタテ型のヘッドライトが採用されました。
このデザインは、かなりインパクトがあったもののユーザーの評価は厳しく、2001年のマイナーチェンジでは、一部を除いて一般的な横バーのグリルにヨコ型のヘッドライトに改められました。
しかし、残念ながらこの大幅なマイナーチェンジをおこなったにもかかわらず、販売台数は大きく伸びませんでした。
あまりにも普通のフロントフェイスになってしまったため、新鮮味が失われて魅力が低減してしまったことに加え、当時、三菱自動車のリコール隠し問題が発生した影響もありイメージダウンも顕著でした。
そのため、ミラージュディンゴは2002年に販売が終了し、非常に短命なモデルとなってしまいました。
●スバル「インプレッサ」
混迷のデザイン変更がおこなわれることを予想していなかった丸目のスバル「インプレッサ」
スバル「インプレッサ」は「レガシィ」が上級移行した穴を埋めるモデルとして、1992年に発売されました。
セダンに加えスポーツワゴン、後にクーペがラインナップされ、ハイパワーな水平対向ターボエンジンと、「AWD」が採用されたイメージリーダーの「WRX」が設定されるなど、スバルファンをひきつけました。
セダンとスポーツワゴンの2本立てとなった2代目は、初代のコンセプトを引き継いだものの、ヘッドランプはプロジェクターを内包した斬新な丸型が採用されました。
しかし、デザインのインパクトはあったもののユーザーの評価は別れ、2002年のマイナーチェンジでは流行を取り入れた「涙目」と呼ばれる形状のヘッドライトに変わりました。
さらに2005年のマイナーチェンジでは、「スプレッドウィングスグリル」と呼ばれるスバル車共通のイメージを反映したフロントグリルのデザインが採用され、それにあわせて「鷹目」と呼ばれるつり目のヘッドライトに変更。
マイナーチェンジで2度もフロントフェイスが大きく変わるというのは、非常に珍しいケースですが、かなり混迷していたともいえます。
■マイナーチェンジの大幅変更が功を奏したケースとは
●スバル「R2」
デザインを優先した意欲作だった前期型のスバル「R2」
スバル「R2」は、2003年に発売された5ドアハッチバックの軽自動車です。低コストやパッケージングの良さが求められる軽自動車でありながら、内外装のデザインにこだわった意欲的なモデルでした。
フロントグリルは前述のスプレッドウィングスグリルが採用され、個性的なフロントフェイスを採用。
しかし、このフロントグリルは多くのユーザーから共感を得ることはできず、2005年のマイナーチェンジでは、普通の横長のグリルに変更されました。
さらに特徴的だったリアドアの形状やリア再度ウインドウ形状が、実用性を重視して窓面積を拡大させた形状に改められるなど、かなり大掛かりに手が入れられました。
初期モデルはデザイン優先で開発され、インパクトのある斬新なスタイルでしたが、結果として、軽自動車のユーザーはオーソドックスなデザインを求めていたということでしょう。
●トヨタ「プリウス」
斬新なデザインながらユーザーサイドからは不評だった前期型のトヨタ4代目「プリウス」
トヨタ「プリウス」はハイブリッド専用車として1997年に発売、2003年に登場した2代目から5ドアハッチバックに変更され、徐々に販売台数を伸ばしました。
そして、2009年に登場した3代目は、ハイブリッド専用車として初の年間新車登録台数1位となるなど、ハイブリッド車の代名詞となるモデルに成長しました。
その後、2015年に登場した4代目プリウスは、TNGAと呼ばれる新しいプラットフォームなどを採用し、デザインも一新されました。
全体のフォルムは、空気抵抗を低減するために設定された「トライアングルシルエット」を継承しながらも、重心を下げたアグレッシブなデザインとなっています。
フロントフェイスは、三角形のウインカーレンズにつながるような複雑な形状のヘッドライトを採用し、リアはS字のタテのラインが特徴的なテールライトとなり、斬新さをアピールしました。
しかし、新たな挑戦をした外観デザインは、既存のプリウスユーザーからはクセが強すぎるとの声もあり、販売は伸び悩んでしまいます。
そこで、2018年に実施されたマイナーチェンジでは、個性的なヘッドライトとテールライトがヨコ基調の形状に改められ、比較的オーソドックスなデザインに変わりました。
その結果、2019年の年間新車登録台数で1位に返り咲くなど、普通となったデザインは多くのユーザーに受け入れられたようです。
※ ※ ※
外観のデザインは販売を左右する重要な要素のひとつです。そのため、各メーカーとも優秀なデザイナーを雇い、時には著名なデザイナーを有するデザイン会社へ発注することもあります。
さらに多くのプロセスを経て、実車に近いモックアップを複数つくり、役員の承認を得て最終的に決定されます。
これほどまでにコストと時間をかけても、デザインで失敗することもあるので、ヒットにつながるデザインを完成させるのは、かなり難しいことがわかります。
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