かなりイケてたのに消滅! 一代で消えたのが惜しい車5選
くるまのニュース / 2021年3月2日 6時10分
トヨタ「クラウン」や日産「スカイライン」のように、50年以上も何代にもわたって販売されているクルマがある一方で、フルモデルチェンジすることなく一代限りで消滅するクルマもあります。そうしたクルマのなかには、光るものがありながら消えたモデルも存在。そこで、一代で消えたのが惜しいと思われるモデルを、5車種をピックアップして紹介します。
■光るものがありながら一代で消えたクルマを振り返る
現在、新車で販売されているクルマのなかには、何代にもわたって継続して販売されているモデルがあります。例えばトヨタ「クラウン」や日産「スカイライン」は、50年以上もの歴史を刻む息の長いモデルです。
その一方で、販売が低迷したことから、フルモデルチェンジをおこなうことなく、一代限りで消滅したモデルもあります。
そうしたモデルのなかには、光るものがありながら消えたクルマも存在。そこで、一代で販売を終了したのが惜しいと思われるモデルを、5車種をピックアップして紹介します。
●日産「180SX」
安価なFRスポーツとして絶版になってから人気が再燃した「180SX」
日本の景気が急上昇していた1988年に、日産は5代目(S13型)「シルビア」を発売しました。2ドアクーペの優れたデザインと高性能なスペックのFR車ということから発売と同時に絶大な人気を誇り、一躍ヒット車種になります。
そして、1989年には3ドアハッチバッククーペの姉妹車「180SX」が登場し、やはりFRのスポーティモデルとして人気を博しました。
両車は主要なコンポーネンツを共有していましたが外観は大きく異なり、シルビアが固定式ヘッドライトだったのに対して180SXはリトラクタブルヘッドライトを採用し、前者はクーペ、後者はハッチバックと、全体のフォルムは完全に別のクルマに仕立てられていました。
180SXは発売当初、最高出力175馬力を発揮する1.8リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載。後に205馬力の2リッターターボと140馬力の2リッター自然吸気にスイッチされます。
その後、1993年にシルビアは6代目へとフルモデルチェンジしますが、180SXは従来型のままフルモデルチェンジすることなく継続して販売されました。
180SXは改良が加えられながらフルモデルチェンジすることなく販売が続き、1999年に7代目シルビアの登場をもって消滅。およそ10年間のロングセラーでしたが、後継車はありませんでした。
●ホンダ「ジェイド」
スタイリッシュで使い勝手も良いのに売れなかった「ジェイド」
ホンダは1994年に初代「オデッセイ」、1996年に初代「ステップワゴン」を発売し、どちらも大ヒットを記録して、現在まで続くミニバン市場の確立に貢献。
その後、ホンダはミニバンのラインナップ拡充を図り、2000年にはスタイリッシュかつスポーティなミニバンとして初代「ストリーム」を発売し、2代目が2014年まで販売されました。
このストリームの実質的な後継車として2015年に登場したのが、「ジェイド」です。
ジェイドはもともと中国市場を主戦場に開発されたモデルで、外観は低い全高のクーペフォルムを採用したステーションワゴンタイプとし、日本市場では6人乗り3列シート車だったことからミニバンにカテゴライズされました。
発売当初、パワーユニットは1.5リッター直列4気筒エンジン+モーターのハイブリッド仕様のみでしたが、すぐに最高出力150馬力を発揮する1.5リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載した、よりスポーティな「RS」グレードが追加されました。
足まわりはフロントにストラット、リアにダブルウイッシュボーンの4輪独立懸架とし、重心の低いボディと相まって、高い旋回性能を実現。さらに全グレードが全高1550mm未満となっており、機械式立体駐車場に駐車が可能な3列シート車というメリットもあります。
また、2018年には2列シートの5人乗り仕様を投入し、ステーションワゴンのニーズにも対応。
しかし、ジェイドの販売は発売当初から苦戦を強いられ、2020年にフルモデルチェンジすることなく生産を終了。優れた走りとスタイルのジェイドでしたが、すでにヒンジドアのミニバンは市場から受け入れられていませんでした。
●マツダ「RX-8」
斬新なコンセプトで登場した最後のロータリーエンジン車「RX-8」
マツダは1967年に、世界初の量産ロータリーエンジン搭載車「コスモスポーツ」を発売。その後は、ロータリーエンジン車の拡充をおこない、さまざまなカテゴリーの車種に搭載されました。
一方、高性能なロータリーエンジンはスポーティなクルマにこそふさわしいという考えのもと、1978年にはピュアスポーツカーの「サバンナRX-7」が登場。
RX-7シリーズは同社を代表するスポーツカーとして代を重ねますが、2003年に生産を終了し、一旦ロータリーエンジンの系譜が途絶えてしまいます。
しかし、同年、新しいコンセプトの4ドアFRスポーツカーである「RX-8」が誕生。エンジンは654cc×2ローター自然吸気ロータリーの「13B型」で、新時代のロータリーエンジンということから「RENESIS(レネシス)」と呼称されました。
トランスミッションは6速MT、5速MT,4速AT(後に6速ATが追加)の設定で、トップグレードの「TYPE-S」6MT車では最高出力250馬力を8500rpmで発揮する高回転型です。
また、車体の前後重量配分を理想的な50:50とし、足まわりはフロントがダブルウイッシュボーン、リアをマルチリンクとするなど、4ドア4シーターと実用性も考慮しながら高い運動性能を発揮。
RX-8は改良を続け進化していきましたが2012年に生産を終了し、再びロータリーエンジンの系譜が途絶えてしまいましたが、近い将来に電動車の発電用エンジンとして、ロータリーエンジンが復活する予定です。
■スタイリッシュなモデルと高性能車。消えた2台のコンパクトカーとは!?
●スズキ「スプラッシュ」
走りが良く装備も充実していたがネガティブな部分がクローズアップされた「スプラッシュ」
スズキの登録車というと1983年に発売された「カルタス」以降、1リッタークラスのエンジンを搭載したコンパクトカーが主力です。
現在も「イグニス/クロスビー/ソリオ/スイフト」など1リッターから1.2リッターエンジンのモデルを展開しています。
そんなスズキのコンパクトカーのなかでも異色なモデルといえば、2008年に登場した「スプラッシュ」で、ハンガリーにあるスズキの子会社のマジャールスズキで生産されたグローバルカーであり、日本においてはスズキ初となる自社ブランドの輸入車でした。
Aセグメントのコンパクトでスタイリッシュなボディながら5名乗車とし、6つのエアバッグと、リアシートにも3名分のヘッドレストと3点式シートベルトが装備されるなど、同クラスの標準以上に安全装備が充実しています。
外観はコンパクトカーながら安定感が高くどっしりとした台形フォルムで、内装もシンプルながら洗練されたデザインのインパネまわりとなっているなど、かなりの力作でした。
国内仕様のエンジンは88馬力を発揮する1.2リッター直列4気筒を搭載し、トランスミッションはCVTのみの1グレードで展開。
欧州で走行テストを繰り返した軽快なハンドリングと優れた乗り心地は高く評価されましたが、販売は低迷。
その後、マイナーチェンジでエンジンの改良や、フロントフェイスの変更がおこなわれましたが、2014年に販売を終了しました。
1トンを超える車重と1590mmの全高はベーシックなコンパクトカーとしてはマイナスポイントで、日本ではスイフトに分があったようです。
●三菱「コルト ラリーアート バージョンR」
本格的な高性能コンパクトカーしてつくり込まれていた「コルト ラリーアート バージョンR」
2002年に発売された三菱のコンパクトカー「コルト」は、1.3リッターから1.5リッターエンジンを搭載する、グローバル・ベーシックカーとして開発されたモデルです。
そして2006年にはこのコルトをベースに、当時、三菱のモータースポーツ活動を担当していた関連会社「ラリーアート」の名を冠したスポーツモデル、「コルト ラリーアート バージョンR」が登場しました。
外観はスポイラー付きのフロントバンパー、ディフューザー形状のリアバンパー、エアアウトレットが開いたボンネット、オーバーフェンダー、ルーフスポイラーなどが装着され、戦闘的なホットハッチに変貌。
搭載されたエンジンは最高出力154馬力を発揮する1.5リッター直列4気筒ターボで、組み合わされるトランスミッションは5速MTとCVTが設定されていました。
このパワーに対応するためシャシも強化。スポット溶接の増し打ちと補強材の追加により、ねじり剛性はベースに対して約30%向上したといいます。
足まわりはフロントがストラット、リアがトーションビームなのはベース車から変更はありませんが、強化スプリングや減衰力が高いショックアブソーバー、16インチのハイグリップタイヤなどが装着され、コーナリング性能を向上。
また、あくまでもファミリーカーではなく、スポーツモデルであることを強調するように、乗車定員も4人とされています。
コルト ラリーアート バージョンRは、かなり本格的なスポーツコンパクトとしてつくり込まれていましたが、2012年にコルトの生産終了をもって消滅。以降、三菱のラインナップに高性能コンパクトカーは登場していません。
※ ※ ※
フルモデルチェンジしないまま消滅してしまう理由で、もっとも当てはまるのは販売台数の低迷です。
少なくとも販売目標台数をクリアし、フルモデルチェンジする価値があると判断されれば、延命が図られます。
今回、紹介した5車種は決して駄作とはいえず、むしろ優れた面を持ったクルマばかりですが、ニーズや景気の移り変わりは避けられず、残念ながら消えてしまったということでしょう。
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