中国で1番人気ミニバンはどのメーカー? 60万円EVも販売で勢いを増す「宏光シリーズ」とは
くるまのニュース / 2021年3月6日 9時30分
昨今、中国メーカーならび中国製モデルが世界中で大きな話題となっています。なかでも電気自動車に関してはリードしている印象がありますが、約60万円で販売された「宏光 MINI EV」を展開する上汽通用五菱は、小型ミニバン「宏光」も販売していますが、どのモデルなのでしょうか。
■激安EVで話題の「宏光」ってどんなクルマ?
2020年8月に60万円の小型EVを発売したことで、世界中で話題になっているモデルが「宏光 MINI EV」です。
日本に導入されれば国産メーカーの軽自動車や小型EVなどの市場に大きな影響が出るのではと予想されています。
さらに、小型ミニバンとなる「宏光」もラインナップされていますが、どのようなモデルなのでしょうか。
宏光という単語は日本人の名前にも存在するのでなんとなく親しみを感じますが、中国語での読み方は「ひろみつ」ではなく、「ホングヮン(hong guang)」となります。
宏光は、いま中国でもっとも売れているミニバンで、中国の国営ビッグ4(中国国営自動車メーカーの一汽、上海、東風、長安)の「上海汽車」と中国・柳州(リュウシュウ)に本拠地を置く「五菱汽車」、アメリカのゼネラルモーターズ(GM)が共同で設立した合弁企業「上汽通用五菱」によって製造・販売がおこなわれています。
中国国内での乗用車販売台数においても、近年は「微型バン」(乗用車カテゴリーに入る小型ミニバン)部門でトップに君臨しており、2017年、2018年の2年間は販売台数50万以上を売り上げて乗用車全体でも1位に輝きました。
その後は台数を多少減らしながらも、依然として販売好調なミニバンであることは確かで乗用車全体でも上位を維持しており、2020年は前年比10万台減の27万310台となりましたがトップ10圏内に入っています(ちなみに1位は日産「シルフィ」)。
なぜ、この小さなミニバンがここまで中国で支持されているのでしょうか。
その要因は価格の安さです。宏光は現在、2代目となる現行モデルと初代の旧モデルが併売されていますが、旧モデルの販売価格は4万2800元、日本円にして約70万円という低価格で販売されています。
もちろん価格だけではありません。低価格でありながらも7人乗りのスペースを確保していることも高い評価を得ています(中国では多人数が乗れる乗用車の人気が高い)。
エンジンは、1.2リッター直列4気筒エンジン(最高出力82馬力)と1.5リッター直列4気筒エンジン(最高出力104馬力)の2種類を設定(2代目宏光は1.5リッターモデルのみ)。
シートの3列目を倒せば荷室スペースをぐっと広げることが可能となるため、この値段の安さと使い勝手の良さが多くの中国人民に支持されてきたといえます。
基本的な品質も良く、万が一壊れたとしてもその販売台数の多さから補修用パーツがすぐに手に入るというのも人気の理由のひとつです。
複数の強力な魅力が合わさって、この宏光は中国の若者たちを中心に「五菱神車」(=五菱のマジすごいクルマ)という愛称をつけられ、インターネット上でも人気者となっているのです。
ちなみにインド市場ではGMインディアが宏光と同様のモデルを「シボレー エンジョイ」という名前で生産・販売をおこなっていましたが、GMは2020年をもってインド市場より撤退しています。
■過去には頭文字Dとコラボも? 世界中で話題!60万円のミニEVとは?
小型ミニバンの宏光、日本の公道を走った過去があります。2017年夏のことで販売や登録ではなく、中国の自動車メディア「易車網」協力のもと、日本国内でプロモーションビデオの撮影がおこなわれました。
宏光は漫画「頭文字D」とコラボレーションを果たしたことで、漫画内に登場する群馬の榛名山がロケーションに選ばれています。
公開されている映像によると、実際に宏光を群馬県渋川市内や榛名山、群馬サイクルスポーツセンターなどへ持っていき、頭文字Dでおなじみのトヨタ 「スプリンタートレノ(AE86)」と一緒に峠を攻めるというストーリーとなっています。
また、中国国内限定となりますが、ミニカーブランド「XCarToys 拓意」からコラボレーションを記念した藤原とうふ店仕様「パンダトレノ」のミニカーも発売されています。
最近では、中国版センチュリーともいえる紅旗「H9」の日本上陸で中国車に注目が集まりつつあります。
頭文字Dとコラボしたミニカー(撮影:加藤ヒロト)
また、2020年8月に宏光シリーズ最新モデルとして発売された超小型EVの宏光 MINI EVが前述のとおり大きな話題となっています。
既存の7人乗りミニバンではなく、こちらは「MINI」の車名通り、4人乗り3ドアの超小型EVです。
全長1940mm×全幅1493mm×全高1621mmの小さなボディが特徴で、バッテリー容量は9.2 kWh(航続距離120km)と13.8kWh(航続距離170km)の2種類が選択可能です。
モーター出力は72馬力となっており、最高速度は100km/hにまで達します。
2020年8月に販売が始まったばかりですが、2020年の販売台数は4か月強で11万9255台を記録。中国市場のみならず、全世界でもテスラ「モデル3」に次いで2番目に多く売れた電気自動車となりました。
さらに2021年1月には中国国内で2万5778台を販売し、中国製モデル3の1万3843台に1万2000台近い差をつけて、中国でもっとも売れた電気自動車の称号を手に入れました。
この人気の高さは、小型ミニバンの宏光同様に価格の安さにあります。3つのグレードが用意され、それぞれ2万8800元(約46万5000円)、3万2800元(約53万円)、3万8800元(約62万7000円)となっています。
これはライバルとなる超小型EVの宝駿「E100」(4万9800元~/約82万円~)、チェリー「eQ1」(5万9800元~/約99万円~))、欧拉「黒猫」(6万9800元~/約116万円)よりも安く設定された価格です。
低価格を実現しながらも、大人4人が乗れる室内空間にエアコンなどの快適装備、そして2列目シートを倒せば741リットルの荷室が確保できることなどが、多くの人に支持されています。
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