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元祖高級SUV「レンジローバー」はPHEVがオススメ! 燃費だけでは語れない価値とは?

くるまのニュース / 2021年3月8日 8時10分

2021年の注目SUVを、元スーパーカー雑誌編集長の西山嘉彦が選出。第2回目は、独自の世界観で常に「快適」な高級SUVのベンチマークであった「レンジローバー」だ。スーパーカーのサブとしてだけでなく、ファーストカーとして普段遣いしたいSUVである。

■かつて「砂漠のロールス」と呼ばれた「レンジローバー」

 かつて、「砂漠のロールス・ロイス」と称されたSUVがあった。いわずと知れた「レンジローバー」である。しかし、ロールス・ロイスからSUV「カリナン」が登場したため、レンジローバーの性格を的確に表現した「喩え」を使えなくなってしまったのは寂しい限りだ。

●高級SUVはレンジローバーから始まった

 2020年は、初代レンジローバーが登場して50周年というアニバーサリーイヤーであった。もともとレンジローバーは、類い稀なオフロード性能を備え、高級車と同等の「快適さ」を備えたクルマを目指して開発された。1970年代当時、高級車の指標は「いかに快適であるか」ということであったのだ。

 本来、英国紳士とはキツネ狩りを自らの領地で嗜むことができる階級のひとたちを指している。彼らが使うクルマには、広大な農場と領地を移動する際にはオフロード性能が必要とされ、ロンドンなどの都会で開催されるパーティや催し物に出かける際には高速巡航の能力が求められた。

 もちろん、ハンティングの際にはシューティングブレーク的な要素も求められただろう。

 これらの要求を叶えた最初のSUVこそが、レンジローバーなのだ。ブラックタイの正装でパーティ会場に乗り付けることができた最初のSUVであったからこそ、「砂漠のロールス・ロイス」とも称されたのである。

 またレンジローバーは、高いオフロード走破能力だけでなくオンロードでの走行性能を両立させた最初のSUVであったともいえるだろう。いま、世界中で人気の高いオンロード/オフロード両方の高い走行性能を備えた、高級SUVの嚆矢でもあったのだ。

 だからこそ、レンジローバーは常に「高級SUV」のベンチマークとされ、レンジローバーもライバルに負けじと常に進歩し続けてきた経緯がある。

* * *

 欧州メーカーのSUVは、BMW「X5」からセダンライクな乗り味が主流となり、BMW「X5M/X6M」やポルシェ「カイエン・ターボ」などのスポーツカー顔負けの運動性能を持ったスポーツSUVへとシフト。

 さらに、ベントレー「ベンテイガ」やロールス・ロイス・カリナンといった、ラグジュアリーSUVが台頭し、いまや百花繚乱の時代となった。

 レンジローバーから見たら「後発」となる、これらのSUVの主戦場はオンロードだ。サーキットや峠、または速度無制限のアウトバーンをいかに速く走らせるかという点では、レンジローバーには勝ち目はない。

 しかし、思い出して欲しい。レンジローバーは本来、英国の上流階級が所有する広大な領地内、そしてその領地に構える城と都市を行き来するためのクルマであったことを。もちろん高速道路だけでなく、英国のカントリーロードを走ることも想定されている。そして「いかに速く」ではなく、「いかに快適に」走るかに、重きが置かれていたのだ。それは初代から変わらぬレンジローバーのDNAといってよいだろう。

 現在、日本に導入されているレンジローバーは、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、プラグイン・ハイブリッドの3つから好みのパワーユニットを選ぶことが可能だ。

 ガソリンエンジンは、5リッターV型8気筒スーパーチャージドで、525psと565psの出力違いの2種類がラインナップしている。

 ディーゼルエンジンは、3リッターV型6気筒ディーゼルターボで、プラグイン・ハイブリッドは、4リッター直列4気筒ターボ+モーターとなる。

 このうち、いずれがもっとも「快適」でオススメかと問われるならば、迷わず2リッター直4PHEVを推したい。

●パワーや最高速競争から一歩引いたレンジローバーの価値

レンジローバーのシンプルでスリークなデザインは、歴史を感じさせる建物ともマッチするレンジローバーのシンプルでスリークなデザインは、歴史を感じさせる建物ともマッチする

 確かに、565psの大パワーを誇るV8エンジンのサウンドとフィーリングは捨てがたいものがある。しかし、「快適」という側面から捉えるならば、PHEVモデルである「P400e」の方が一枚上手だ。

 その理由は、至極簡単。静粛性と、ゼロ発進からのマナーによる。レンジローバーP400eのシステム合計最高出力は404ps、最大トルクは640Nmにも達する。モーターのみでも最高出力142ps/2950rpm、最大トルク275Nm/1000-2900rpmを発揮する。

 軽くアクセルペダルを踏むだけで、上品にスルスルと2640kgのボディを過不足なく発進させることができるのだ。

 ちなみに、V8モデルとPHEVモデルの車両重量の差は70kg。PHEVモデルの方が、成人男性がひとり多く乗車していると考えればよい。この重量差を敏感に感じ取れるような人ならば、ガソリン満タン時と1/4のときでのインプレッションの差を的確に書き分けられるだろう。つまり普通の人ならば、さほど気にならない重量差であると見なしてよい。

* * *

 実際に長野駅から白馬のスキー場まで、レンジローバーP400eを試乗する機会を得た。

 第3世代から常に長距離インプレッションを重ねてきたレンジローバだけに、コマンドポジョションの着座スタイルは、むしろホッとする。オフロード走行を念頭に置いた細身で三角形に近い断面形状のステアリングホイールも、ひとたび慣れてしまうとオンロードでもまったく違和感なく運転しやすい。

 長野の市街地を抜け、白馬長野有料道路のトンネルでアクセルペダルを踏み込んだときのサウンドで、改めて初めて4気筒エンジンのPHEVモデルを運転していることを意識しはじめたほど、慣れ親しんだV8モデルとの差を感じることはなかった。

 目を三角にして飛ばす必要がない人には、過不足ないどころか、必要にして十分。むしろしっとり感があって静かである分、洗練度は増していると感じられるだろう。

 今回、スキー場のゲレンデをレンジローバーP400eで走ることもできた。気温も高く、場合によっては試乗を中止するかもしれないというコンディションであったのだが、レンジローバーP400eは力強く斜面を駆け上がる。

 並みのSUVならば間違いなくスタックするような状況でも、やはりレンジローバーは頼もしい。ちなみにテレインレスポンスは、インストラクターが勧める「砂地」モードだ。

 限られたルートでの試乗であったため、全行程をパラレルハイブリッドモードのみで走行。EVモードでの走行を試すことができなかったのが唯一の心残りだが、将来登場するかもしれないピュアEVモデルが待ち遠しくなるほど、素晴らしい感触であった。

 いま、コロナ禍で田舎と都会を行き来する新ライフスタイルに移行している人も多いだろう。レンジローバーP400eは、そうしたラスティックなライフスタイルとアーバンなライフスタイルをつなぐ、最上のモビリティと断言しよう。これこそ、英国紳士の本来的なレンジローバーの使い方でもある。

●RANGE ROVER AUTOBIOGRAPHY P400e
レンジローバー・オートバイオグラフィーP400e
・試乗車車両価格(消費税込):1831万円
・全長:5005mm
・全幅:1985mm
・全高:1865mm
・ホイールベース:2920mm
・車両重量:2640kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボチャージャー
・排気量:1995cc
・駆動方式:四輪駆動
・変速機:8速AT
・最高出力(エンジン):300ps/5500-5900rpm
・最大トルク(エンジン):400Nm/2000-4500rpm
・最高出力(モーター):142ps/2950rpm
・最大トルク(モーター):275Nm/1000-2900rpm
・0-100km/h:6.7秒
・最高速度:220km/h
・公称燃費(WLTC):8.8km/L
・燃料タンク容量:90リッター
・サスペンション:(前)マクファーソン式、(後)ウィッシュボーン式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)275/45R21、(後)275/45R21
・ホイール:(前)9.5Jx21、(後)9.5Jx21

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