HV専売の日産新型「ノート」の実燃費を検証! 進化した「e-POWER」で低燃費になった?
くるまのニュース / 2021年3月8日 7時10分
2020年12月に3代目へフルモデルチェンジした日産「ノート」は、ハイブリッドの「e-POWER」仕様のみとなりました。新型ノートの実燃費を調査すべく、高速道路やワインディング、一般道で走行テストをおこないました。
■3代目に進化した日産「ノート」の燃費は?
日産「ノート」は、先代の2代目が2016年にマイナーチェンジしたとき、エンジンで発電しモーターで走行する「e-POWER」と呼ばれるパワートレインを搭載したことで、一躍日産を代表する人気車種になりました。
そんなノートが2020年12月にフルモデルチェンジを果たし、3世代目へと進化。3代目ノートは先代まで存在していた純ガソリンエンジン車を廃止し、ハイブリッドのe-POWER専売車となっています。
新型となったノートに搭載されるエンジンは従来型と同じ「HR12DE型」ですが、発電専用エンジンとしてより進化が図られ、そこに組み合わされるモーターはEM47型という新たなものが搭載されました。
こちらは85kW/280Nmと先代よりもパワー、トルクともに向上しており、先代でも評価の高かったモーターならではの走りのレベルアップに期待が持てます。
気になる燃費はもっとも燃費の良いグレード同士でのJC08モード燃費を比較すると、2代目が37.2km/Lだったのに対し、新型は38.2km/Lと向上していることがわかります。
新しくなったノートの燃費をチェックすべく、実際に走行して測ってみました。
今回テストに用いた車両は最上級グレードの「X」に16インチアルミホイールのオプションを装着した仕様です。
カタログ燃費は、WLTCモードで27.8km/L(市街地モード27.6km/L、郊外モード30.3km/L、高速道路モード26.4km/L)、JC08モードで33.2km/Lとなっていました。
今回は、神奈川県横浜市をスタート地点とし、首都高、保土ヶ谷バイパスを経由して東名高速道路に入り、小田原厚木道路の小田原西インターまでの高速道路区間。
そこからターンパイクを上り、大観山スカイラウンジを経由し、箱根新道を通って西湘バイパスまで下るワインディング区間、そして、国道134号線から国道246号線などを経由し横浜市へ戻る一般道区間を経由し、約160kmの道のりを走破しています。
なお、テスト時の走行モードはアクセルオフで回生ブレーキを使用することができる「e-POWER Drive」を活用するために「ECO」モードとし、プロパイロットは未使用、エアコンは24℃設定のフルオートとしました。
その結果は、159.2kmの走行で燃費は26.18km/Lという数値になりました(車両の燃費計の数値から計算)。
カタログ上での燃費数値は、前述のようにWLTCモード燃費で27.8km/Lとなっていますから、わずかにカタログ燃費に届かない数値となってしまいましたが、十分満足いく数値といえるでしょう。
ちなみに、テスト当日は2月後半ながら冷え込みが強い日で、箱根の大観山付近では車両の外気温計が2度を表示するほど。
暖房を稼働すると燃費に影響するハイブリッド車の弱点が影響した可能性もありそうです。
■e-POWERは高速道路の燃費が不利!? 実際は…
それではここからセクションごとの燃費を振り返ってみます。
●高速道
走行距離:68.67km
実燃費:29.5km/L
横浜市の日産グローバル本社を出発し、首都高から保土ヶ谷バイパスを経由して東名高速に入り、小田原厚木道路を通る今回のルートですが、従来のノートe-POWERは減速で回生ができないことから、高速道路の一定走行は燃費面で不利といわれていました。
日産新型「ノート 」
しかし今回、新型ノートはなんと29.5km/Lという低燃費をマーク。左車線を法定速度の範囲内での走行したこともあり、十分満足のいく数値といえるでしょう。
新型ノートは静粛性も大きく向上しているようで、高速道路走行時にもっとも耳に入ってきたのはタイヤのパターンノイズのみ。エンジンを発電機として使うe-POWERのメリットが、このようなところにも現われているようです。
なお、エンジンの発電状況はメーター内の表示で確認することができます。
●ワインディング路
走行距離:41.2km
実燃費:19.7km/L
ワインディング路は、小田原西インターを降りてターンパイクを駆け上り、箱根新道を経由して一気に下るというコースです。
頂上の大観山まではほぼ登りということもあり、エンジンが駆動に繋がっていないe-POWERは非常に過酷なシーンということになります。
ただ、確かに登りでは常にエンジンが始動して発電をしていましたが、先代モデルに比べるとその騒音レベルは半分以下といったところ。
よほど深くアクセルを踏み込まない限りは、エンジンがブン回るということもありませんでした。
一方下りでは、先代と同じく減速度を生成するためにバッテリーが満充電となった後はエンジンが高回転で回ってしまいます。
しかし、このシーンでも先代モデルよりもキャビンに届く音量は明らかに小さくなっていたことがわかりました。
●一般道
走行距離:49.4km
実燃費:29.7km/L
一般道、国道134号から国道246号、そして横浜市内を経由して再び日産グローバル本社に戻ります。
ストップ&ゴーの多い一般道こそe-POWERの真価が発揮されるシーンであり、ここでの燃費は29.7km/Lとカタログ燃費(市街地モード27.6km/L)を超えるものとなりました。
ただ、減速の力を電気に変えるためには、フットブレーキではなくアクセルオフでの回生ブレーキを使用しなければなりません。
そのため、微妙なアクセルコントロールが苦手な人にとっては燃費の伸ばすのは少々厳しいシチュエーションとなるかもしれません。
逆にアクセルコントロールに自信があれば、回生ブレーキで航続距離を伸ばすこともできますから、新たな走らせる楽しみを享受できるともいえそうです。
※ ※ ※
新型ノートの燃費テストを実施し、最終的には26.18km/Lという数値となりました。
燃費性能だけ考えても十分満足行く結果となりましたが、やはりエンジンで発電してモーター走る、e-POWERならではの走り味の洗練度に驚かされたというのが正直なところです。
先代モデルも電気自動車のような乗り味を楽しむことができましたが、新型になってよりエンジンの存在が薄くなり、気にしないとエンジンが動いているのか止まっているのかすら分からないレベルへと進化しています。
また、一新されたプラットフォームは静粛性や剛性感も非常に高く、ワンランク上の車両に乗っているかのよう。
ただ、目ぼしいオプションを選択すると300万円超と、ワンランク上の価格になってしまう点は玉にキズですが、クルマの仕上がりとしてはまったく不満のないレベルであることは好印象でした。
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