意外なモデルだけどイケてるからイイ! メーカーのイメージと異なる車5選
くるまのニュース / 2021年3月8日 6時10分
各自動車メーカーには、それぞれ個性があります。なかには確固たる世界観やブランドイメージを持ったメーカーもあり、販売しているクルマもブレがありません。一方で、そうしたブランドイメージと異なる意外なモデルが存在。そこで、メーカーのイメージと異なるクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
■ブランドイメージから離れたクルマを振り返る
世界中に数多くの自動車メーカーが存在しますが、なかには確固たる世界観やブランドイメージを持ったメーカーもあります。
たとえば、フェラーリやロールスロイスがつくるクルマは、見た目やスペック、品質など、歴代モデルに大きなブレは見当たりません。
一方で、そうしたブランドイメージと異なる意外なモデルも存在。そこで、メーカーが持つイメージと異なるクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
●アストンマーティン「シグネット」
「iQ」ベースながらしっかり高級車に生まれ変わった「シグネット」
英国を代表する高級スポーツカーメーカー、アストンマーティンのモデルといえば、高額かつ高性能で美しいスタイルの2ドアクーペを思い浮かべるでしょう。
しかし、アストンマーティンは2011年に、マイクロカーの「シグネット」を発売。
シグネットはトヨタ「iQ」をベースに、アストンマーティン専用のパーツを手作業で組み付ける手法で生産されたモデルです。
外観のフォルムはiQに準じていますが、アストンマーティンの伝統的なフロントグリルや、ボンネットのエアインテーク、フロントフェンダーのエアアウトレットなど、アストンマーティンのモデルらしいデザインが散りばめられてします。
室内もシートや内装材に本革が使用された高級車らしい仕立てで、各部に遮音材の追加や、エンジンとトランスミッションのマウントを変更することで、車内の静粛性を向上。
アストンマーティンがシグネットを販売した背景には、欧州で課せられた燃費規制をクリアする目的があったようですが、2013年には生産を終えました。
なお、シグネットは日本にも正規輸入され、当時の新車価格は475万円(消費税8%込)からと当然ながら高額でした。
●メルセデス・ベンツ「Aクラス」
初代はトールワゴンタイプのコンパクトカーだった「Aクラス」
メルセデス・ベンツはさらなる顧客獲得のため、1982年に「190E」を発売。エントリーモデルとして誕生したコンパクトセダンの190Eは、欧州のみならず日本でもヒット作になりました。
しかし、これだけでは終わらず、1997年にはBセグメントの5ドアハッチバック、初代「Aクラス」を発売。
Aクラスは同社初のFF乗用車であり、ボディ形状はボンネット部分が極端に短く背の高いトールワゴンタイプのコンパクトカーです。
1998年に日本で発売されると、道路環境にマッチしたサイズや使い勝手が優れていたことから、メルセデス・ベンツとしては異色のモデルながらも、一躍人気車となりました。
2005年には初代からキープコンセプトとした2代目にフルモデルチェンジし、引き続き好調なセールスをキープ。
ところが、2012年に3代目へとフルモデルチェンジされたAクラスは、スポーティなフォルムを持つCセグメントの5ドアハッチバックに一新されました。
3代目はアウディ「A3」やBMW「1シリーズ」をライバルとするプレミアムコンパクトカーに変化し、2018年に登場した現行モデルの4代目では、シリーズ初の4ドアセダンが追加されるなど、もはや初代の面影はまったくありません。
●ボルボ「780」
イタリアンテイストで仕立てられた華やかなクーペの「780」
現在、ボルボのラインナップは、ステーションワゴン、SUV、セダンでデザインコンセプトが統一されており、、どれも流麗なフォルムですが、1980年代までのボルボ車は安全性を重視した無骨で質実剛健なイメージがありました。
ところが1985年に発売された「780」は、そんなイメージを覆したモデルとして話題となります。
780はセダンの「760」をベースにした2ドアクーペで、イタリアのカロッツェリア「ベルトーネ」がデザインから生産まで担当しました。
ベルトーネといえばランボルギーニ「ミウラ」やランチア「ストラトス」など、数々のスーパーカーやスポーツカーのデザインを手掛けた名門カロッツェリアです。
780の外観は直線基調の平面によって構成され、ボルボの質実剛健さ残しつつも均整の取れた美しいクーペのシルエットを実現。
また、内装には本革と本木目をふんだんに使い、ゴージャスに仕立てられています。
780は1990年まで生産され、日本でも正規輸入されていたことから、稀に中古車が市場に出ることがあります。
■スズキとホンダが発売した異色のモデルとは!?
●スズキ「キザシ」
スタイリッシュなミドルクラスセダンとして誕生した「キザシ」
スズキは2009年に、グローバルカーとして同社初のミドルクラスセダン「キザシ」を発売しました。
ボディサイズは全長4650mm×全幅1820mm×全高1480mmとグローバルセダンにふさわしい体躯で、これまでのスズキ車でも最大です。
外観は欧州製セダンをイメージさせる、ロー&ワイドかつスタイリッシュなフォルムにデザインされました。
エンジンは最高出力188馬力の2.4リッター直列4気筒を搭載し、欧州や北米でテストを重ね、熟成された足まわりによる上質な走りと乗り心地の良さを両立。
しかし、国内では受注生産のみということもあり、販売は極端に低迷し、2015年には国内向けの販売を終了しました。
ところが警察の捜査車両として数多く導入されたことで、全体の販売数は少ないものの一部地域では目撃例が多いという珍しいモデルです。
●ホンダ「リッジライン」
ホンダらしさあふれるピックアップトラックの初代「リッジライン」
アメリカでは、税金や保険料が優遇されるピックアップトラックがベストセラーとなっていますが、その市場に参入するべくホンダは、2005年に北米市場専用モデルとしてダブルキャブのスポーツユーティリティトラック(SUT)、初代「リッジライン」を発売。
リッジラインのボディサイズは全長5253mm×全幅1976mm×全高1786mm、ホイールベースは3099mmと、ホンダがそれまで販売したモデルのなかでも、もっとも大きなサイズですが、北米ではミドルサイズにカテゴライズされました。
ピックアップトラックの多くがラダーフレームを採用するなか、リッジラインはモノコックシャシとすることで、キャビンと荷台が一体となったスタイリッシュなフォルムを実現。
最大積載量500kgを誇る荷台の下には、通常のトランクと同じように施錠できるスペースの「イン・ベッド・トランク」を備えるなど、ユニークなアイデアが織り込まれています。
搭載されたエンジンは最高出力253馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒VTECのみで、トランスミッションは全グレードとも5速ATが組み合わされ、駆動方式は4WDを採用。
リッジラインはSUTらしく高い悪路走破性能を発揮しながらも、4輪独立懸架による優れた乗り心地が高く評価されてヒットします。
その後、2016年に現行モデルの2代目が登場しましたが、個性的だった初代に対して比較的オーソドックスな外観に一新されました。
※ ※ ※
最後に紹介したリッジラインと同様に、メルセデス・ベンツも2018年にピックアップトラックの「Xクラス」を発売。しかし、主戦場と思われた北米では販売されず2020年に生産を終え、短命に終わりました。
また近年、フェラーリがSUVを発売するという噂が絶えませんが、いまだに具体的なアナウンスはありません。
どんなにブランド力があっても、Xクラスのように失敗に終わることもあるので、フェラーリとしてもかなり慎重になっているのかもしれません。
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