なぜトヨタ「ランドクルーザー」は世界で愛される? オーナーが語るランクルの魅力
くるまのニュース / 2021年3月9日 11時10分
国産車でもっとも長い歴史を持ち、知名度も高いトヨタ「ランドクルーザー」は、圧倒的なまでの悪路走破性と耐久性を誇り、日本だけでなく世界中から熱い支持を集めています。今回は、ランクルを所有するオーナーに、その魅力を聞いてみました。
■初代から70年近くも続くキング・オブ・オフローダー「ランクル」
トヨタ「ランドクルーザー(ランクル)」は、日本だけでなく世界中から圧倒的な信頼と人気を集める本格オフロードSUVです。
クルマの電動化が求められている昨今の状況とは真逆の、大きなボディと大排気量エンジンを搭載したランクルですが、卓越した悪路走破性を持つSUVとして世界中で愛されています。
ランドクルーザーの歴史は、1951年に当時の警察予備隊(現在の陸上自衛隊)向けに開発された試作車「ジープBJ型」がルーツだといわれており、2021年に70周年を迎えました。
民生用に1953年ごろから販売されたジープBJ型ですが、車名の「ジープ」がすでに商品登録されていたため、1954年にランドクルーザーへ名称変更。
そしてより民間向けとして1955年に2代目「20」系へ進化し、現在へとつながるランクルの歴史がスタートしていきます。
長い歴史と幅広いバリエーションを持つランドクルーザーですが、大まかに分類すると3つの系譜に分けることができます。
まず1つ目の系譜は、初代のジープBJ型を発展させていったヘビーデューティ系統です。
初代の「20」系と後継モデルの「40系」(1960年から1984年まで生産)、「70系」(1984年から2004年まで生産)などが該当します。
そもそもトラック用のエンジンやシャーシを軍用に小型化させたジープの設計理念を追求し、道なき道をも走行できるオフロード性能を追求した系統です。主に初期モデルを指す系統ともなっています。
2つ目は、屋根付きボディを採用し耐候性や快適性を向上させ、快適装備をも充実させたステーションワゴン系統。
ランクルの特徴である高い耐久性と悪路走破性はそのままに、より一般向けに進化したモデルで、「50系」や「60系」(1980年から1990年まで生産)や「80系」(1989年から1997年まで生産)、装備も充実したラグジュアリーな「100系」(1998年から2007年まで生産)や「200系」(2007年から現在も販売中)と系譜が続いています。
3つ目は、ダウンサイジングしたボディや排気量の小さいエンジンを搭載し、より乗用車化されたライトデューティ系統です。
70系ワゴンの「ランドクルーザーワゴン」(1984年から1990年まで生産)から発展した「70系プラド」(1990年から1996年まで生産)、「90系プラド」(1996年から2002年まで生産)、「120系プラド」(2002年から2009年まで生産)と続いた系譜が、現在の「ランドクルーザープラド(150系)」(2009年から)に受け継がれています。
■ランクルの魅力とは? 60系を乗り継ぐオーナーに直撃!
昨今は、コンパクトでエコなSUVがトレンドとなっていますが、ランクルはそれらとは真逆の、巨体に大排気量エンジンを搭載しています。
しかしあえていまランクルに乗っている人も多く存在。ランクルの魅力とは、どのようなところにあるのでしょうか。
ステーションワゴン系統に属する60系に2台乗り続けているオーナー(40代・男性)に、ランクルを選んだ理由を聞いてみました。
トヨタ「ランドクルーザー60系」
「もともと昔から味のある古いクルマが好きで、モーリス『トラベラー』やボルボ『アマゾン』などに乗っていました。
ランクルを選んだ最大の理由は、丈夫さにつきます。『クルマが丈夫=安全』という部分は、家族持ちには大切な要素でした。ランクルでは10万kmなんて慣らしが終わったぐらい、といわれるほどタフなのがいいです。
また専門店の優秀なスタッフと偶然知り合いになったことあり、なにかあっても相談に乗ってもらえるのもランクルを選んだ大きな理由です。
またMT車しか運転したくなかったのと、スピードがあまり出ないクルマや空力なんてまったく考慮されていない、フロントマスクやデザインが好みだったということもあります」
旧車好きらしいコメントですが、年式的にも60系は電子制御化される前なので構造がシンプルで、古いクルマに詳しい人ならトラブルを予見しやすいというのもポイントだったそうです。
「しかもこれくらい古いクルマ(1989年製)になると、走行距離で価値が下がることがなく、むしろ走るほどに機関部分が好調だという意味になります。手放すときにも意外に損をしない(下取りが高い)というのもポイントです」
最近は、昭和の終盤から平成初期に販売されていたクルマを「ネオクラシック」として楽しむ人も増えています。
それ以前のモデルも(ある意味で)クラシックカーと同じプレミアムな価値を持っており、その傾向がランクルでは顕著なのかもしれません。
古くて大きい60を所有していて感じたメリットはどのようなことがあるのでしょうか。
「メリットとして、とにかく背が高いことから着座位置も高く、視界が良好で運転が楽なことです。また絶対的な頑丈さがあると思えるのは、精神的にも楽です。
それなりに大きいエンジン(3.2リッターV型6気筒)を搭載しており、しかも古いので税金対策として1ナンバー登録になっています。
毎年車検で約10万円前後はかかりますが、古いクルマなので定期点検のついでと思えばそれほど負担に感じません」
ランクルを所有するにあたってのデメリットも気になるところです。
「デメリットは、故障しても部品がなかなか残っていないことです。また1ナンバー登録なので税金は安いのですが、高速料金が普通車ではなく、中型車扱いになってしまうので中型車は普通車の約1.4倍になってしまいます。
燃費が悪いのは仕方ないにしても、長距離移動のたびに高速料金がボディブローのように効いてきます」
それでも当分は60を相棒として乗り続けるといいます。
「居住空間は十分ですし、高いポジションからの視界は運転もしやすいです。新しく複雑になった最新型より、古くても丈夫な60はやっぱり好きです」
※ ※ ※
日本では、ランクルでないと走破できないような過酷な環境はありませんが、世界には厳しい気象条件や道路環境の国も多く、そういった国々のユーザーから絶対的な信頼性と高い耐久性が支持され続けています。
「300系」ともいわれる新型モデルが、2021年に登場するといわれていますが、ガソリン車やディーゼル車に加えて、ハイブリッド車が設定されるというウワサも聞こえています。
ランクルの次期モデルが一体どんな形で登場するのか、世界中のファンが期待しているでしょう。
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