過信はダメ? 標準化する「オートブレーキホールド」の落とし穴とは
くるまのニュース / 2021年3月9日 9時10分
信号待ちの際などに、ブレーキ状態を保持する「オートブレーキホールド」という機能が近年標準化されつつあります。一見、ドライバーにとってはメリットだらけの機能ですが、過信し過ぎは禁物のようです。
■実は危険!? オートブレーキホールドの落とし穴
技術の進歩により普及してきた便利な機能は多くあります。クルマに関する身近な機能のひとつとしては、停車中にブレーキを維持してくれる「オートブレーキホールド」が挙げられます。
しかし、過信しすぎると思わぬ危険に繋がることがあるようですが、どのような危険が伴うのでしょうか。
オートブレーキホールドとは、ブレーキを踏んで停止した際にブレーキ機能を保持して、停止状態を維持してくれる機能です。
国産乗用車では、2006年に発売されたレクサス「LS」で初めて採用されて以降普及が進み、現在ではコンパクトカーや軽自動車にも多く採用されています。
オートブレーキホールドが普及した背景には、「電動パーキングブレーキ」が深く関係しています。
従来は、「サイドブレーキ(ハンドブレーキ)」と呼ばれる手で操作する方式や、足踏み式のパーキングブレーキが主流でした。
一方、近年では電子式パーキングブレーキが普及してきたことで、その副次的機能としてオートブレーキホールドが普及することになったのです。
渋滞時など、走行と停止を頻繁に繰り返す際などに、オートブレーキホールドは重宝します。
AT車の場合、シフトを「ドライブ」レンジに入れているときには、アクセルを踏んでいなくてもクルマがゆっくりと走行する「クリープ現象」が構造上発生。
そのため、渋滞時や信号待ちなどで一時的に停車する際、ドライバーはブレーキを踏み続ける必要があります。
一方、オートブレーキホールド機能をONにしていれば、一度停止状態になればブレーキを踏み続けることなくその状態が維持されるため、ドライバーの負担は大きく軽減されるのです。
しかし、オートブレーキホールドの使用には注意も必要です。オートブレーキホールドによるブレーキは、あくまで一時的なものであり、パーキングブレーキのように継続的に停止状態を維持するものではありません。
基本的に、オートブレーキホールド機能はアクセルをわずかに踏んだだけで解除されます。
そのため、オートブレーキホールドによる停止状態のときには、ドライバーは常に前方に注意し、すぐに走行を開始できる状態にする必要があります。
さらに、オートブレーキホールドは車種によって、エンジンを切ると機能がキャンセルされるものと、エンジンを切っても機能の設定が維持されるものがあります。
そのため、オートブレーキホールド機能のON/OFFは絶えず注意することが求められます。
自動車メーカーも、オートブレーキホールドはあくまで補助機能であることを強調しています。
例えば、マツダ「CX-5」の取扱説明書には「オートホールドは、あくまでも停車時のブレーキ操作を補助する機能です。機能を過信してブレーキ操作を怠ると、意図せず車両が動き出し思わぬ事故につながるおそれがあります。道路状況や周囲の状況に応じて、適切にブレーキを操作してください」という注意事項を記載。
また、日産「セレナ」のオートブレーキホールド機能の説明には、「急な坂道や滑りやすい路面、外的要因で自動車が動くとオートブレーキホールド機能が作動していても、車両が動き出すおそれがあります」と明記されています。
つまり、オートブレーキホールドはあくまでドライバーに対する補助機能のひとつであり、ドライバーは自己の責任のもとで機能を使用するという意識が必要です。
オートブレーキホールドについて、警視庁交通課の担当者も以下のように話します。
「オートブレーキホールドは、あくまでドライバーの責任のもとで使用し、システムを過信することなく、常に道路状況に注意する必要があります」
※ ※ ※
オートブレーキホールドを実際に使用している男性は次のように話しています。
「クルマを買い替えた際に、オートブレーキホールドが搭載されていました。信号待ちや渋滞時には便利な機能ですが、以前にゲート式の精算機で足がアクセルに触れてしまい、発進した際には危うくゲートにぶつかるところでした。
また、駐車時など細かな動きが求められる際には不便な部分もあり、そのあたりは機能のON/OFFを上手く使い分けることが大切です」
※ ※ ※
オートブレーキホールドなどの運転支援機能は、ドライバーにとって運転時にゆとりが生まれることで操作による疲労やミスが軽減されます。
しかし、機能を過信すると思わすトラブルに発展する可能性は常に気にしておかなければいけません。
■オートブレーキホールドは自動運転に向けた第一歩?
オートブレーキホールドの普及には電動パーキングブレーキの採用が関係していることは先に述べたとおりですが、より大きな視点でいえば自動運転に向けた第一歩ということもできます。
「自動運転」という言葉を文字通りにとらえるならば、「走る」「曲がる」「止まる」といったクルマの基本的な機能のすべてをクルマそのものに任せることになります。
日本や米国で採用されている自動運転の定義では、これは「レベル5(完全自動運転)」に該当しますが、現時点ではレベル5相当のクルマは市販されていません。
現在、市販されているクルマのほとんどは「レベル1(運転支援)」もしくは「レベル2(部分的自動運転)」です。
オートブレーキホールド機能自体はレベル1の「運転支援」に該当しますが、オートブレーキホールドの基礎となる電動パーキングブレーキは、「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール」や「衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)」などを含めた部分的自動運転支援システムの一部となっている場合が多く、オートブレーキホールドが搭載されているクルマの多くは、「レベル2」の自動運転車に該当する可能性もあります。
いわゆる自動運転車について、前出の警視庁交通課の担当者も以下のように話します。
「現状の法規制では『レベル2』の自動運転車による事故の責任は原則としてドライバー側にあるとされるため、ドライバーは常に対応できるような体制をとっておかなければなりません」
※ ※ ※
オートブレーキホールド機能のみならず、近年では便利な運転支援機能が多く登場しています。
しかし、そうした機能はあくまでドライバーの運転を支援する補助的機能であり、法的にも原則としてドライバーの責任に帰するということを理解しておかなければなりません。
「自動運転レベル3:条件付自動運転車(限定領域)」に適合する先進技術「ホンダ センシング エリート)」を搭載した新型「LEGEND(レジェンド)」
そのなかで、2021年3月5日に世界初の「レベル3(条件付自動運転)」の自動運転車となるホンダ「レジェンド」が発売されました。
100台限定かつリース販売のみではありますが、渋滞時などの限られた条件において、運転をほぼ完全にクルマに任せられるのが特徴です。
さらに、自動運転中に発生した事故についてはメーカー側に責任を問うこともできるという点が、これまでの自動運転車とは大きく異なる部分です。
レジェンドのようなクルマが登場したのは画期的ですが、レベル3以上のクルマが普及するまでは、あくまで運転はドライバーがおこなうものだという意識が重要です。
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