新時代のクルマづくりのキーワード!?「TNGA」や「スカイアクティブ」って一体何?
くるまのニュース / 2021年3月10日 17時10分
トヨタの「TNGA」やマツダの「スカイアクティブ」などを目にする機会が増えましたが、これらは一体どのようなものなのでしょうか。
■トヨタが進める新時代のクルマづくりとは?
トヨタの「TNGA」やマツダの「スカイアクティブテクノロジー」など、最近目にする機会が増えました。これらは一体どのようなものなのでしょうか。
トヨタが掲げるTNGAは、「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ」の頭文字をとったものです。
同社のハイブリッド技術を軸に、新時代のプラットフォームをベースとした商品力の向上と製造コストの抑制を同時にはかる戦略として、2015年の4代目「プリウス」を皮切りにさまざまな車種に採用されています。
TNGAは、ホイールベースや床の高さの違うシャシ、形式の違うエンジン、サスペンション、駆動方式など、ほかのメーカーより圧倒的に多かったプラットフォームの数を削減して集中的に開発することで、基本性能の引き上げと利用者目線での車種開発を目的としています
具体的には、スポーツカーなどの「Aゾーン」、個人向けの量販車を含む「Bゾーン」、社会貢献に資する商用車などの「Cゾーン」、新コンセプトや新技術を提案する「Dゾーン」に分類。
それぞれ個々のゾーンに最適なプラットフォーム(シャシ)やパワートレインを開発し、地域ごとや個人によって嗜好が反映されるボディデザインや内装などを仕立てていこうという、合理的な「KAIZEN」を進めるトヨタらしいクルマづくりをおこなう手法となっているといえます。
現在では、「C-HR」「RAV4」「ハリアー」「ヤリス」「カローラシリーズ」「カムリ」「クラウン」といった主要モデルにTNGAが取り入れられており、今後も新型車に順次導入されることになっています。
※ ※ ※
トヨタの子会社となるダイハツは、「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)」を軸としたクルマ作りに取り組んでいます。
サスペンションや骨格の部品配置をゼロベースで再構築したプラットフォームを新開発。
新技術を採用した新CVTや大幅に改良したエンジンなどのパワートレインを含め、すべての機構を一新し、「走る」「曲がる」「止まる」といった基本性能を大幅に向上させました。
さらに、CASEへの技術対応とスピーディな商品ラインナップ拡充を同時に実現するために「一括企画開発」の手法を取り入れるとともに、良い商品を低価格で提供することを目指しています。
現在は、「タント」、「ロッキー」およびトヨタ「ライズ」、「タフト」といった国内専用車に採用されているDNGAですが、初の海外モデルとしてコンパクトSUV新型「アティバ」がマレーシアで発売されるなど、グローバルでの展開も進められているところです。
■マツダの「スカイアクティブ」って何?
マツダが打ち出したスカイアクティブテクノロジーは、既存のクルマ作りをゼロから見直して、根幹部品を包括的にかつ同時に刷新していくための技術です。
2012年に登場した「CX-5」など、新世代商品としてさまざまなモデルにスカイアクティブテクノロジーが採用されています。
新世代商品として2012年に登場したマツダ「CX-5」
エンジンが新設計でもトランスミッションが古かったら十分な性能は得られません。ならばシャシも含めたプラットフォーム全体を刷新して新時代のマツダのクルマづくりをおこなうという、同社にとっての大変革だったわけです。
発表当時、すでにハイブリッドシステムが普及しはじめていましたが、ハイブリッド開発で遅れていたマツダ。
そこで打ち出したのが、内燃機関(エンジン)で燃費や走行性能を追求することでした。
その結果誕生したのが、世界一の高圧縮比(14.0)を実現させたガソリンエンジン「SKYACTIV-G」や低圧縮比(14.0)のクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」など新世代のエンジンです。
これに加えて、世界初の技術「SPCCI燃焼」を採用した画期的なエンジンとして「SKYACTIV-X」を開発。
ガソリンエンジンながら圧縮着火をコントロールする技術を実現し、ディーゼルエンジンの特徴とガソリンエンジンの特徴を併せ持ったことで、内燃機関に求められる性能を飛躍的に向上させています。
さらにトランスミッションやボディ、シャシにも「SKYACTIV」の冠が付き、究極の人馬一体を目指した構造技術を採用したクルマが次々に誕生して人気を集めました。
なお、新世代商品ではデザインも一新。「鼓動デザイン」と呼ばれる、猛獣が獲物に襲い掛かるような躍動感あふれるデザインを取り入れて、プレミアムブランドとしてのマツダの価値を向上させています。
※ ※ ※
最近では、ホンダもバッテリーEVの開発において、クルマの基本骨格を共用したBEV用アーキテクチャを採用すると表明。
部品の共有化を高めながら、ボディ形状や求められる走行可能距離に合わせた多様なバッテリーの適用、四輪駆動化など、フレキシブルな商品展開と効率的な開発をおこなうとしています。
最近のクルマは、高い性能を実現するために多額の開発費が必要になっています。
そこで、ベースとなる部分をしっかり作ってから、さまざまな車種に展開する手法が主流となりました。
どのメーカーも、莫大な開発費のかかるプラットフォームを集約して開発することで、さらなる性能や品質の向上を計りつつも生産コストを抑制させる必要に迫られています。
お金をかけるところはしっかり開発し、根幹部品を上手く共有化して車種展開すれば、クルマの生産原価も抑制できるというわけです。
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